10 粉雪
やっとのことで港町「ポルト」までたどり着いた。
親友の粉雪に事情を説明して、現世に戻る方法を一緒に考えたい。
いつものたまり場に向かうと、粉雪がいた。
「こな、やまだのおろちだけど」
「やまさんお久~」
「しばらく見ないと思ったらサブキャラ作ってたんだ」
「いやそれがさ、驚かないで聞いてほしいんだけど」
「ん?」
「ゲームに転生しちゃったみたい」
「何それwww」
「絶対信じられないよね…w」
「いや信じる信じるwww どう? ゲーム内はw」
「信じてないじゃんw まぁ現実とそんなに変わらないかな」
「そうなんだw 俺も転生してみたいわーw」
「もう信じなくていいからさ、俺の本体がどうなってるか知りたいから、空いてるときに俺の家の中見てきてくれない? 傘立ての下に鍵置いてあるから」
「えー、それで出てきてドッキリでした~は無しね?w」
「無いからなるべく早めに頼むわ」
「じゃー今から見てくるわ。今度奢りな?」
「ありがとう、あとさ、どうすれば現世に戻れると思う?」
「んー、ゲーム内で死んでみるとか?」
「それは怖くてできないんだわ」
「じゃあゲームクリアしてみたら? この前アプデあってメインストーリー完結したみたいだから」
「そうなんだ。メインストーリーは全然進めてなかったわ」
「がんばw じゃあの」
粉雪がログアウトした。
信じてもらえたかはさておき、やっと打ち明け話ができる人物と会えた。
全身の力が抜けて、その場にへたり込む。
果たして俺の本体はどうなっているのだろう。
とりあえずメインストーリーをクリアしてみるか。