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政治経済エッセイ

【車認証不正問題】厳しい基準で合格して「不正行為認定」と言う矛盾【お役所仕事】

作者: 中将

筆者:

 今回は本エッセイをご覧いただき誠に光栄です。


 今回は車メーカー業界全体で最近話題となっている「型式認証不正問題」について触れていこうと思います。



質問者:

 いったい何のどういう事が問題になっているんですか?

 大体、型式認証ってそもそも何ですか?



筆者:

 僕も車を持っていないのでどういうことなのか正確には分からなかったので調べたのですが、


 自動車製作者等が新型の自動車等の生産又は販売を行う場合に、予め車種ごとに国土交通大臣に申請又は届出を行い、保安基準への適合性等について審査を受ける制度のことです。


 「型式」というのは自動車の車種やモデルを分類するためにアルファベットと数字の組み合わせで付される識別記号のことで、大体は「カローラ」とかの名前の後に排出ガスの規制度合いをどれぐらいクリアしているかでアルファベットなどが付いていたりします。


 型式ごとに審査を行うことによって1台1台検査をして合格するのではなく一括に審査を行うために効率が非常に良いんですね。


 これによって我々消費者のもとに早く届けることが可能になります。

 これは、日本の製品の安定性・信頼から行われている制度とも言えますね。



質問者:

 この型式認証の信頼性が揺らぐだなんて大変じゃないですか……。



◇「厳しいテスト」を経てるのに「法令外」



筆者:

 ただ、くるまのニュース 6月3日の

『トヨタが「認証不正」で会見 「6項目中5項目」は基準より厳しい数値で申請!? 具体的な内容は? 認証制度改革も必要か』と言う記事を長いので以下にまとめた内容になるんですが、


 6月3日の緊急会見にて豊田章男会長ならびカスタマーファースト推進部の宮本眞志本部長は、


1「エアバッグをタイマー着火した開発試験データを認証申請に使用」について

 「試験の基準よりも厳しい衝突条件を作り出すためにタイマー着火する方法を用いました(宮本氏)」と話しています。


2 「規定と異なる衝撃角度」について

 車種はカローラアクシオ/カローラフィールダー(生産中)において、

 法規では衝撃角度が50度だったの対してそれよりも厳しい衝撃角度65度という厳しい状況でのテストデータを使ったとのことです。


3 「選定と左右逆の打点、左右片側試験を両側に代用」について

 カローラアクシオ/カローラフィールダー(生産中)、シエンタ(生産終了)、クラウン(生産終了)において、

 「認証で申請した測定部位と実際にぶつけた位置が左右で逆のデータを使ったことや、片側のデータを両側分のデータとして認証申請に使用しました。ただ車両の左右で結果に差が出ない試験項目ということが確認できております」と話しています。


4 「規定と異なる台車重量」について

 シエンタ(生産終了)とクラウン(生産終了)において、

 数値的には法規基準の1100キロより重たい1800キロの評価用台車を使用し、より大きな衝撃で評価したようです。


5 「規定と異なるブロックで試験」について

ヤリスクロス(生産中)の古い積み荷ブロックの要件にて認証申請をしたものとなります。


 これら5項目については、すでに生産を終了しているものも含め、社内での徹底的な検証において法規に定められている性能に問題無いことを確認しているようです。


6「出力点の制御調整」


 この項目については他とは別の不正事案であり、

レクサス「RX」(すでに生産終了)にエンジン出力試験で狙った出力が得られるようにコンピュータ制御を調整し、再度試験をしたデータを使用していたようです。


 この件について宮本氏は「この試験においてRXは狙った出力が得られませんでした。本来は問題が発生した際は立ち止まり、原因究明の上対策をすべきでしたが、調整したデータを使用してしまいました。これは結果が基準を満たすように手を加えてしまっていることからこれまでの5項目とは性質が違う事案だと考えております。その後の調査では、試験用の排気管の潰れが原因と判断しております」と話しています。


「本来ならばもう1度認証試験としてお客様にお渡しするクルマに限りなく、近い状態で試験を実施し、そのデータを提出することが必要でした(宮本氏)」


 といった内容でした。



質問者:

 なんだか思っていたのと違う感じがしますね……。6項目目以外問題ない気が……。



筆者:

 しかも、6項目目に該当しているレクサスRXも2020年あたりに生産終了している車種であるために現状の生産ラインとは無関係であり、

 業務改善命令はあれど、生産停止する合理的理由は存在しないと言えます。


 他の会社についても「会見の内容を信じるなら」と言う前提条件はありますが、

 ホンダ22車種と今回の件で最も多いがで騒音試験、ガソリン車の定格出力試験に「不適切な行為」とありますが、上位の試験で合格していました。


 ヤマハ発動機とスズキ、マツダ、一番最初に問題になったダイハツも同様の類の上位試験合格書類を低いテストで降格したという風に改竄したという「不正行為」と僕は分析しています。


 これらの会社の記者会見で「安全性に問題ない」と言うところだけ報道されていますが、詭弁では無く限りなく事実に近いというのが僕の分析としてあります。



質問者:

 でも、普通考えたら上位の試験を合格していれば下位の試験は不要じゃないですか?



筆者:

 どのような書類であれ改竄してしまったことは問題だと思いますが、

 基本的にはその意見に賛同します。


 僕の表現が稚拙で分かりにくかったかもしれないので、

 例えて言うのなら今回問題となったほとんどの事案が、


「英検2級の合格証書」が条件の審査があって「英検1級の合格証書」を提出したところ、「英検2級の合格証書じゃないからダメええええええ!」「英検2級受けてないのなら受け直してこいやあああああ!!!!!」と行政が絶叫しているようなものだと思います。

 

  本質としては検査をして「消費者が安全に乗れること」を確認することが大事であり、

 「提出した基準でなければならない」ことはその二の次であるはずです。


 更に基準となっている品質テストよりも厳しいテストをクリアしたのであれば下位の試験は当然クリアされていると考えて良いはずです。


 これは、本来は行政の「裁量」でどうにかなるレベルであり、

 それを許さずに「不正行為」としてしまうことは、

 まさに融通の利かない「お役所仕事」と言えると思います。


 ちなみにどうして上位の安全試験に各社がわざわざ合格しているのかと言いますと、

 海外の基準の方が厳しいのでそちらの方を優先してテストしているという事です。



質問者:

 本当に頭が固いですね。

『法規に沿った認証とは異なる方法』とか記事ではあるので、

 とんでもなく悪いことをしたのかと思いきや、

 完全にこれは国の制度設計のせいじゃないですか……。



筆者:

 2015年のフォルクスワーゲン検査時だけ良燃費(低性能)の設定にし、

 販売時は(悪燃費)高性能の設定にして良燃料・高性能と偽って販売したのと全く別の質の問題と言えます。


 そう言った事実を大きく報道せずに、勘違いから起きる日本車への信頼性の揺らぎや不信感が高まることでしょう。

 世界にもこの問題が同じように報道されているため日本車ブランドが下がることをマスコミは助長していると言えます。


(テレビなどで報道されてないことは無いですが、頑張って調べないと辿り着けないレベルではあります)



◇この問題による影響



質問者:

 この問題による影響はどのようなことが考えられるでしょうか?



筆者:

 制度設計が現状から変わらない前提ですと、

 無意味にテスト回数が増えその分が車本体価格に転嫁されるか、

 日本に販売される車だけが海外と比べて頑丈で無くなるリスクがありますね。


 また、一部生産停止から経済波及効果のマイナスの効果があり、

 経済にも多少なりとも不利益が生じるでしょう。


 もっとも、一流大企業がこの問題を起こしていますので給料面においては保障されるでしょうし、下請けの損害も担保してくれる可能性が高いと思いますけどね。



質問者:

 もっと融通の利いた制度設計であって欲しいですね……。



筆者:

 僕は日頃、日本の経団連に所属している大企業について、

 社員に利益を還元していない上に外資資本割合が高くなっていることや、

 消費増税・法人減税の旗振り役として痛烈に批判しています。


 海外で売る車の輸出の関税を下げるためのトレードオフとして、日本に来る海外産の農作物の関税を下げさせて一次産業の保護しない政策を取っていることも問題だと思います。


 ですが、僕はそれ以上に是々非々で論点ごとに考えています。

 外国会社の車が日本で売れるよりは日本で日本車が売れた方が日本経済にとって絶対的に良いと断言できます。


 それを融通の利かない行政の制度・運用で日本企業の信頼低下、日本車を売るチャンスを減らす政府と言うのはいかがなものなのか? と思いますね。


 

質問者:

 日本車買えなかったら他を買うか……とか、日本車の品質が落ちたなどと誤解しそうですよね。



筆者:

 今の日本は特に車産業が倒れたらいよいよ終わりのような製造業と化していますから、

 これを守らないのは異常と言えます。


 政府とマスコミが欧米から圧力をかけられて『日本車を売らせるな!』とか言われているのでは? と疑われても仕方のないレベルでしょうもない問題だと思います。


 政府の施策のあらゆることに言えると思いますが、

 インボイス制度、外国人労働者受け入れ、定額減税など

 個別のピンポイント一点の事象の改善やお役人や政治家の自己満足ために全体を損なう事が本当に多いです。

 

 お役所の方や政治家の方々は悪くて早慶、トップは東大や外国の有名大学留学と「ご立派な」経歴をお持ちなのですから、

 もっと全体のバランスを考えて、色々な省庁と連携して施策を決めていただければと思いますね。


 という事でここまでご覧いただきありがとうございました。

 今回は「型式認証不正問題」のほとんどは「行政の融通の利かなさ」であり、

 それを正確に国内外に報道しないマスコミは国益を害しているという事をお伝えさせていただきました。


 今後もこのような政治・経済、マスコミの問題について個人的な解説を行っていきますのでどうぞご覧ください。

※三菱航空機の目指した国産ジェット機MRJの米国での認証試験に通過せず開発を

 断念させられたのも日本の“基準の方が甘かった“ことが問題視されています。

 輸出できなくなる問題からも厳しい世界基準に輸出産業は合わせる必要があるでしょう。


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