8話
「テレビのリモコンが見つからなくてねぇ…」
楽「あー。ありますよね、そういうこと」
ずっと楽は笑っている。
虚はそんな先生の背中を見ていた。
時計に向かって喋ったり、なんかしているみたいだけど…何をしているんだろうか。
楽「ちなみに何見るんですか?」
「ほら、今日選挙だろう?だから結果発表が見たくてさぁ」
楽「あぁ、そういえばそうですね。最後テレビつけたのはいつ頃ですか?」
「朝だったような…忙しくて見てなかった気もするけど…」
楽「なるほど…。ああ、あったあった。本の下に落ちてたよ」
「ああ、ありがとうよ」
楽「少し綺麗にしようか?」
「いいのかい?助かるよ」
楽「初―。ちょっときて」
―
虚「ドア前で待ってろって何してればいいんだか」
春でも夜は少し肌寒い。
―
楽「うん、これでいいっしょ」
「ありがとうねぇ。まさかお風呂掃除までしてくれるなんて」
楽「ま、これなら1週間くらいは持つかな!」
初「1ヶ月くらいは持ちますよね?」
「どうだろうねぇ。頑張ってみるよ」
楽「それじゃ」
「ありがとうねぇ。警察さんもお優しくなったもんだよ」
楽「いいことしてればいいことが起こるって」
初「失礼しました」
「お嬢ちゃんもありがとうね」
―
虚「自分は何をしてたんですかね」
楽「番犬みたいな」
虚「は?」
楽「一応さっき、受け持ちとかの話をしておいたから来ないとは思うけど、たまに来るんだよね。荒らし屋みたいな」
虚「荒らし屋?なんすかそれ」
楽「それより麓まだ帰ってこないんだ」