7話
楽「ほら、話をしているうちに」
インカムから女性の声が聞こえる。
『警察に電話です。テレビが動かなくなったみたいです。場所は…』
楽「こんな感じ。ほら向かうよ」
黒い装束を纏っている4人は夜空を翔る。
楽「みんな天歩はできるよね。その応用の月渡は知ってる?」
虚「聞いたことだけ」
楽「ま、簡単に言うと天歩より少し早く走るだけなんだけど…脚力に力を貯めると…」
一気に50mほどだろうか。楽との差が広がる。
楽「みんなそれぞれの術を使うといい。慣れるまでは遅くなるだろうから慣れたら月渡できるようになってね」
初「時口」
初が消え、楽の隣に現れる。
楽「時空を越える術だね」
初「連チャンは無理ですけどこの距離なら」
麓「血鬼足術―場陣」
足が隆々とし、隣で風を切る音がする。
楽「血を操る血鬼…他の鬼術も使っていいんだよ」
麓は何も喋らないまま、先へ行く。
虚「みんなはえーな」
初『早くー』
楽「こら、住民に見つかっちゃったらどうするの」
初「そのための服でしょ?」
楽「ま、そうだけど」
虚「なぁ、麓って方向音痴だったりする?」
初「わお、いきなり。確かに…もうこの下なんだけど」
楽「ああ、違う違う。麓は出身がね」
初「そろそろ連れ戻さなくていいんですか?」
楽「うーん…ま、見学を兼ねていいんじゃないかな」
虚「仕事忘れてんじゃ…」
楽「それじゃこのマンションの403号室ね屋上に降りて着替えようか」
―
初「なんかみんな青っぽいと面白くない…」
楽「ま、そんなもんだよって」
楽はケラケラ笑いながら403号室のドアホンを押す。
楽「すみませーん。警察の者なんですがー。どうなされましたかー?」