6話
虚「気にくわねぇ」
初「58個か…」
虚「何が」
初「一面の天井にある穴の数」
虚「そんなの数えていたのか。暇だったのか」
初「身体が動かないから」
虚「あの時何された」
初「幻術の類じゃないかな。爪を剥がれる。指を喰らう。手足が切り落とされる。そんな悪夢みたいな」
初は笑顔で泣いていた。
虚「それほどか」
天を仰ごうにもそこには笑っている先生がいた。
楽「ドッキリ大成功―!」
初「いえーい!」
楽「ここまで綺麗に引っかかるなんて面白いなぁ」
仲良く肩を組むこの2人をどうやってぶん殴ろうか。
―
楽「それじゃ夜廻をしに行きましょうか」
虚「なんだこれ」
楽「夜廻用の服。表は黒、裏は青。基本は黒。場合によっては裏返すの」
麓「場合によって?」
楽「基本、僕たちの仕事って夜廻だからね。これ耳につけてインカムみたいなやつだから」
初「へぇ…つけるのは左耳ね。マイクは?」
楽「この事前につけてもらっている時計。ただのオシャレじゃないんだからね。しかもそれ高いから。給料3ヶ月分くらい飛ぶから」
初「ほえー。ちなみに仕事内容は何するんですか?」
楽「えぇ…わかってて入ってきたんじゃないの?」
虚「ちょっと強ければお金稼げるよって」
楽「あ…そう…」
楽はつらつらと言葉を並べた。
楽「特殊治安維持夜間部隊―夜多乃鴉は警察、消防、病院etc…その辺の補佐。ほら、救急とかお金かかるようになったりしたでしょ。あとは色々。妖退治に取り締まりとか。ほら、何でも屋みたいな感じよ」
虚「えっと…それってどの範囲で?何人で?」
楽「うーん、いろんな場所に行ったりもするけど、大体一都道府県全体が守る範囲かな。人数は大体三十人くらい。今は君たち3人を3年間教えるけど、そのあとは個々でだから」