4話
虚「これで実技試験終わりですか?」
楽「ううん、なんか看破されちゃったから別のやろうかなって思案中」
麓「帰って良いですか」
楽「よし、決めた。全員戦闘配置について」
虚「生徒に向ける殺気じゃないだろ」
楽「実践経験。さっき書いた問題。大切な人を襲っていきます。それを止めてください。この天才から」
目の前から消える先生。目で追えない速度。
初「虚…」
楽「はい、1人目」
虚に拳が降りかかる。
虚「避け…」
目を閉じた瞬間、風圧だけが顔を撫でる。
麓「神童もこの程度か」
片手で受け止める青年…。
楽「お、これ止めた子初めてかな。でも麓はなしって書いてたよね」
麓「こうなるってわかっていたからな」
楽「これが。未来視にも似た能力を持つ天眼の一つだね」
麓「この目見たことあるのか」
楽「だって持ってるからね。僕も」
麓「な…」
麓の体が飛ぶ。
楽「でもさ、手加減していることも目で見えないのならその目は欠陥品かな」
すでに目の前にいるその手は目を狙っていた。
楽「必要無いよね。こんなに弱かったら」
虚「すみません。忘れものです」
風切音は空を切る。
楽「惜しい。普通の人間だったら首チョンパしてたけど」体を捻り、すでに避けていた。
虚「おかしいなぁ。当たると思ったんだけど」
楽「あ、当たってるよ。麓に」
虚「あ…悪い」
胸に一文字切り傷ができる。
落ちながら先生は笑う。
楽「あれは可哀想だねぇ…切れ味いいからなかなか治らないんじゃないかな」
初「漆喰」
楽「ああ、術使ってもいいけど。こっちも使わせてもらうからね」