16話
麓「低いレベルだが、一応全てできる」
楽「えぇ…みんなその程度か…まず巧技を覚えるところから教えないといけないのか…」
虚「そうみたいですね!」
楽「喜ぶなよぉ…朝まで仕事しないといけないじゃん…。まあいいや、先に鳥頭の話をしようか」
初「お願いします」
楽「月渡って覚えてる?」
虚「えっと…天歩の進化系みたいな?」
楽「そう、よく覚えてたね。それで巧技は全部次の段階がある。それを習得できていることが上衆になる条件でもある」
虚「へぇ。それじゃ見えない俺でも戦えるようになるのか」
楽「うーん。それとこれは別かな。虚はまだ術が使えるから見える可能性はある。だけどあいつは術すら使えない。一生見えることはない」
初「それならなんであの人は鬼と対等に?」
楽「簡単だよ。選ばれたものしか使えない巧技の次の次、神技。月渡でいうと即神って言うんだけど、それが全部使えるのが鳥頭。巧技の全て神技へと昇華させた努力の化け物。見えなくても気配がわかるだけで鬼をも殺す。俺以外は普通に負けるんじゃないかな」
初「はぇ…凄い人なんだ」
楽「神技までに一つでも昇華できれば頭候補でもいいんじゃないかって言うくらい凄いことなんだけどね。だいたいみんな術が使えれば術の研究に行っちゃうし、そもそも大抵が巧技の次である聖技で事足りちゃうからね」
凱「人の戦いを見て何を喋っているんだ?」
楽「あら、もう終わったの。今巧技と聖技、神技の話をちょっとね」
凱「まぁいい、処理は頼んだ」
楽「処理担当頼めばいいじゃん」
凱「お前がやったほうが早いだろ。それにそいつらに教えてやれ」
楽「あら、意外といいところあるのね」
凱「俺は次に行く」
凱は目の前から消えた。
楽「はぁ…」
腹の底から出たであろう溜め息を吐いた後、説明を始める。
楽「鬼とか妖は死骸をそのままにするとそこから他の異形を呼んじゃうのよ。だからね。痕始末しなきゃいけないの。でもあの鳥頭は異形を倒しちゃうと反応できなくなっちゃうからね。後始末は見える人間がやらないといけないの」
楽は説明をしながら懐から札のようなものを出す。
楽「異形を封印するための札」適当にポイっと投げる。