15話
楽「出てきた」
麓「鬼…」
楽「見にいく?どっちにしろついて来てもらわないといけないんだけど」
虚「見たことないな鬼とか」
初「意外といるよね。そんなに悪さしないけど。いつも18時くらいが多いイメージだけどねー」
楽「逢魔時ね。一番鬼が出やすい時間だけど黄昏時は夜多と暁がいるからあんまり動かなくなったよ。どっ
ちかっていうと丑三つ時が多くなってきたね。わざわざ死線に出る必要はないからね」
虚「とりあえずいこうぜ!」
楽「ま、出現地にはもう一人行っているみたいだから、間に合えば見えるかもね」
―
楽「お、間に合ったみたいだ」
初「あれ誰ですか?」
楽「ああ、鬼は基本上衆以上が対応するんだけど、あれはねー…同じ頭の一人、鳥頭凱
通称鳥頭だけど頭の中でも結構強い方だよ」
虚「あの人一人で踊っているけど、何してるんだ?」
楽「ああ、虚は見えない方の人間か。ちょっと手かして」
虚「みんな見えてんの?」
麓「ああ」初「うん」
楽「みんなが見えている景色を見せてあげる」
虚の目が一瞬霞む。目を擦り、再び見ると人間サイズの肌が赤い角を生やした筋骨隆々な異形が鳥頭と殴り
合いをしているが見えた。
虚「意外とちゃんとした服着ているんだな。虎パン一丁かと思ってた」
楽「いつの時代よ。鬼だってちゃんとコーディネートする時代だよ」
麓「加勢しなくていいんですか」
楽「ああ、手出すとこっちがやられちゃうから」
初「それにしてもあの人、術とか使わないんですか?全部体術でどうこうしてますけど」
楽「うん、だってあいつ天啓以外使えないもん。鬼だって見えてないだろうし」
虚「え?」
楽「みんなが習う巧技は5つ。空中走行の天歩に身体硬化の鐵装、感覚強化の孔明
(こうめい)、身体能力向上の解結、身体治癒能力向上の斂努はみんなできるよね」
虚「天歩と鐵装以外知らないし、できません」
楽「え…」
初「同じく」
楽「え…」