10話
楽「ふぅ…待ってくれてありがとう。あなたって優しいんですね」
「いや…そうでもないさ」
楽「それで、何があったんですか?話してくれません?」
「君たちに話ほどのことでもないよ…」
楽「それじゃ当てたら、飛び降りするのやめてもらえませんか?」
「考えよう」
楽「…そうですね。あなたの名前は鈴木はじめさん」
「違いますね」
楽「…血液型はA型」
「AB型です」
楽「…なるほど、賄賂の罪を着せられましたか。相手は部長さんですね。名前は…中村さん。違いますか」
「…?」
楽「金額は4000万ほど。それでクビになり人生を悲観…と違いますか?」
「なんで金額まで…?」
楽「トリックは明かしませんよ。ちなみに今日起きたことだから新聞紙にもテレビにも載っていない。ですね」
「何者…ですか」
楽「…何者なんですかね」
「はぁ…」
楽「ま、当てたんで。考えてくれました?」
「誰かに教えてもらったのでしょう」
楽「知っているのは社長と部長のみ。2人ともこの件については他言していないはず。その場で解雇通知をその場で受け取ってそのままここに来た。誰に聞けるんですか?」
「…奥さん」
楽「自分でわかっているでしょう。奥さんに連絡を入れてないんだから」
「なんでそれを…」
楽「僕、わかっちゃうんですよねぇ」
「それなら…」
楽「あ、死ななくて大丈夫ですよ。部長の賄賂に社長の不当解雇。全部露見しましたから」
「は…?」
楽「ほら、これ今やっているテレビです」
時計を弄ると小さな画面が現れる。そこにはカメラマンと1人の男が玄関先であろう場所で質問攻めにあっていた。
楽「ほらね。死ぬ必要はない」
「本当…何者なんですか…」