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4.乙女ゲームの世界?

植物や食べ物の名前は地球と同じにします!

アメリーに入れてもらったカモミールティーで一息つき、横になってからまたリーゼロッテの記憶を整理する。どうやらこの世界は中世のヨーロッパと同じような世界だけど、前世とは少し異なっている。まず、科学的にそこそこ進んでいて、よほど小さな村以外なら電気もガスも上下水道も整備されている。それから魔法もあるよう(胸熱!)だけど一般的ではなく、使える人はごく限られているとのこと。

食事についてはほぼ前世と水準は同じで、日本食が恋しくなることはあるが、ふかふかのパンもあれば美味しいスイーツもある。


あと、少し気になったのが、やたらと皆の顔面偏差値が高いこと。お父様やリーゼロッテは圧倒的だけど、さすがこの国の王子だけあってフィリップも美しい顔をしている。柔らかそうな少し癖のある金髪に意志の強そうな煌めく碧眼、まさに"王子様"そのものと言った感じだ。とは言えいつもリーゼロッテに罵詈雑言を浴びせ意地の悪い笑みを向けてくるので、イケメン度は8割減だが。そしてタイプでは無い。


まぁ殿下は王族だからわかるけど、侍女のアメリーもとても美人だ。艶のある黒髪に若草色の瞳、微笑みを絶やさずいつもリーゼロッテを癒やしてくれる。それだけではなく、アメリー以外の侍女、家令、執事、たまたま見かけた下女や庭師に至るまで美男美女揃いで、公爵家だから顔で選んだのかな?とさえ思ってしまう。


もしかしたら、この世界は所謂"乙女ゲーム"の世界なのかもしれない。そうであれば、異常な顔面偏差値の高さにも納得できる。あいにくゲームには詳しくないので、どのゲームだとか本当にそうかなんてわからないけど。

突拍子もないと思うかもしれないが、まさに自分が転生などとライトノベルよろしくな目にあっているので、そう間違ってもいない気がする。

確信はないが、一応その可能性も捨てず、やはり仲良くしてくれる友達ができるよう頑張って笑う練習をしなければ。今の誤解されたままのリーゼロッテでは、火の無いところでも炎上するだろうし、陥れるなんて簡単だろう。もしこの世界が本当に乙女ゲームの世界なら、破滅エンドまっしぐらだ。


(それに、ここがどんな世界であれ友達ができるのは悪いことではないはず。平和に過ごしたいというのもあるけど、今世こそは、友達がほしい!)


前世でも友達と呼べる友達がいなかったので、今度こそはと意気込んでいる。遊んでくれる子はいたが、友達というか、少し複雑な事情があった。

なおかつ、前世では男運も最悪だった。鈍感な上に面倒見がいいから騙されやすく、告白されて付き合ったことしかないが、8股されたり、貯金を持ち逃げされたり、借金の返済を押しつけられそうになったこともあった。


そんなこともあり、前世の記憶がある今では、フィリップに対する好感度は地の底だ。むしろ嫌い。

ただ、立場や性格的にリーゼロッテからの婚約解消は絶対許されないだろうし、「不敬だ!」とか「身の程をわきまえろ!」とか言われそうだしな。


う~ん腹立たしい…、とまたイライラしてきそうなので、いったん婚約については考えるのをやめ、マナーの講師についてお父様にどう切り出すか考えることにした。


「これからのことについてお父様とお話をしたいのだけれど、今日も遅くなるのかしら…。」


仕事内容については詳しく知らないが、フュルステインベルク公爵家は広大な領地を治めているため、その分各村や町からの陳情もひっきりなしに来る。お父様は朝早くから執務室にこもり、昼食もそちらでとって夜遅くまで働いているようだ。朝から晩までろくに休憩もせず働き通しなんて、ブラック企業勤めだった身としては今すぐ職場改善してほしいところ。お父様の体が心配だ。


(あ!練習のためと言って、お父様と2人だけのお茶会を開くのはどうだろう。と言ってもただ普通のお茶の時間なんだけど。そのときに講師についても相談しよう。忙しいのはわかるけど、無理は体に良くないし、少しでもお父様に休憩してもらおう。)


そこまで考え、とりあえず今日はもう休むことにした。お父様とのお茶の時間が楽しみなので、それまでになるべく体調を整えておきたい。

最近食事もしっかり取れるようになってきたし、少し回復したら、前世の記憶を頼りにヨガを始めようと思っている。リーゼロッテは体力がなさ過ぎるので、無理のない程度で運動したいのだ。血流が良くなれば体温が上がって免疫も上がるだろうし、慣れてきたら朝はウォーキングもしよう。


(アメリーに便せんと、あとヨガをするために何か動きやすい服を用意してもらわなきゃね。アメリーも一緒にやらないかな。女性用のズボンとかあればいいけど…)



やりたいことを頭に浮かべワクワクしながら、リーゼロッテは眠りについた。



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