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2.転生?憑依??

思考は愛子に引っ張られますが、言葉はリーゼロッテのものに変換され出てきます(人*´∀`)

あれからすぐまた意識は戻ったけど、しばらく思うように動けなかったし、まだ現状が飲み込めていなかった。


最初に来てくれた女性はアメリー、私の専属侍女。知らない人のはずなのに、知っているこの感覚がまだ慣れない。もちろん、今も身の回りの世話をしてくれている。


そしてここは病院ではなく、フュルステンベルク公爵家のお屋敷。

私はリーゼロッテ。リーゼロッテ=フュルステインベルク。この家のひとり娘で、つまり公爵令嬢。


うまく頭が働かない中、だんだんと自分の置かれた状況がわかってきたが、納得はできない。でも、それしか説明はつかない。


私、鈴木愛子はあの時死んで、今はリーゼロッテとして生き返った。


これは流行りの転生?それとも憑依??少しずつリーゼロッテの記憶も思い出してきていることを考えると、病気で生死をさまよったことが原因で、前世の記憶を思い出した、ということなのかな。


何にしても、まだ調べ物もできない(お父様が過保護でまだ横になっていなくてはならない)ため、詳しい状況はわからない。だから、途中から悩むのをやめた。

多分、前世?に戻るすべはないし、戻ったとしてもすでに両親も他界し、友達という友達はおらず仕事と家の往復で寂しい日々を過ごしていただけ。


(それに、リーゼロッテの記憶も曖昧だけど戻ってきてるし、まだ怠さもあるからしばらくゆっくりしよう。お父様もイケメンだし。)


自分の身に起きたことは信じられなかったが、両親がすでにいない愛子にとっては、また自分に父親という存在ができたことは素直に嬉しかった。


リーゼロッテの母親は、今回リーゼロッテが患ったものと同じ病で10年前に儚くなっている。まだ赤子だったため母の記憶は無いが、たおやかでいつも微笑んでいる、あたたかい女性だったそうだ。そんな過去もあるためか、父のフュルステンベルグ公爵はあれほど心配し、今も不安なのだろう。



(それにしても、こんなに可愛くて美人なお顔は今まで生きてきた中で見たことないわ〜。ってもう自分なのか。)



最近よく自分の顔を見るようになった。真珠のような輝く白い肌にさらさらと癖のないシルクのような銀髪、少し小ぶりでいてふっくりとした唇、影になるほど長いまつ毛に吸い込まれそうな大きな海色の瞳。


体調が悪いことで少しやつれて見えるが、それでも誰が見ても超絶美少女であることは揺るぎない。


やっと愛子の記憶とリーゼロッテの記憶が馴染んできて顔に対しての衝撃は感じなくなったが、一点だけ困ったことがある。何が原因かはわからないが、リーゼロッテは全く笑わない。それだけではなく、ありとあらゆる感情がこの美しい顔からは読み取れない。


そう、リーゼロッテの表情筋はまっっったくお仕事をしないのだ。


(う〜〜ん、マッサージしたり口角上げる練習してるんだけど、全然変化ないなぁ…。)


もちろんちゃんと感謝や喜びを伝えたいのだが、気持ちと顔の連携がスルー状態でまさに"無"。だった。

アメリーは慣れているからか特に何も思ってはいないようだが、リーゼロッテ=自分となった身としては、もっと表情筋に頑張っていただきたいところだ。


リーゼロッテは思わずため息をつき

「わたくしが少しでも笑えれば、お父様や屋敷の皆の気苦労も減らせますのに…」



と頬に手をあてひとりごちた。



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