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1.さようなら私はじめまして私

初投稿です!


御手柔らかにお願いいたします(*˘︶˘*).。*♡

全身が鉛のよう。喉も乾いている。


目が覚めると、見知らぬ天井が目に入ってくる。


(なんだろうこの布…病院?ICU…にしては何か雰囲気が…)


体を横にしようとしたが、うまく動かない。頭を少しだけ横向きにし、全く見覚えのない内装に動揺する。


(え?!特別室とか??!どうしよう、そんなお金ないよ〜!)


しがないOLの鈴木愛子29歳独身は状況が掴めず軽くパニックになっていた。

最初に目に入った布は天蓋の部分のようで、ベッドの大きさもクイーンサイズくらいあるのではと思う。壁には絵画が飾られていて、扉もなんだか彫刻がしてあり随分お高そう。


(たしか…そうだ、横断歩道で動けなくなってるおじいちゃんを助けようとして、突っ込んできた車にぶつかって……)


自分が事故にあった記憶はあるものの、その後はさっぱりすっぽり記憶が途絶えている。

とは言え今どこかに寝かせられているので、生きてはいるんだろうけれど。


ふと、お高そうな扉に目を向けたとき、同じタイミングで誰かが入ってきた。


「お嬢様、失礼いたし…っ!お嬢様!!意識が戻られたのですね!すぐに旦那様を呼んでまいりますっ!!」


何やらよくわからない事を叫ばれ、慌てて部屋を出ていってしまった。

看護師さんかな?何かフリフリしてた気がするけど。


(お嬢様ってなんだ?私に旦那はいないし、それに呼ぶならまずドクターなのでは…?え、この部屋の人は呼び方変えるとかのサービスがあるの??やだウソそんなオプション要らないし絶対高いじゃんお金ないですやめてください!)


ひとりパニックを加速させていると、バタバタと複数の人が近付いてくる音が聞こえ、勢いよく扉が開く。



「リーゼロッテ!!」



駆け寄ってきた人物に思わず「目が、目がーっ!!」と叫びそうになる。


急いだからか、少し崩れた青みを帯びた銀髪に、切れ長で知性の中にも色気を感じる瑠璃色の瞳、すっとした高い鼻、薄く整った唇、どこをとっても美しい超ド級イケメンが迫ってくるではないですか。


「リーゼロッテ…!お前まで失ってしまうかと、生きた心地がしなかった…。よく目を覚ましてくれた…リーゼロッテ…私の宝、最愛の娘よ…」


左手を優しく包む両手は冷えていて、本当に心配していたんだなとわかる。が、熱烈に何やら言われたけど全く頭に入ってこない。


(リーゼロッテ?すごそうな仮名付けられてるけど、オプション断らなきゃ)


この状況になって初めて声を出してみる。すると、激しい違和感と気持ち悪さに襲われる。


「…お父様…心配、おかけして…申し訳ございません……」

(お父様!?なんで勝手に?!違う違う、世界観合わせたいんじゃなくて…えっ…)


知らない男性に握られている自分の手が目に入り、徐々に鼓動が早くなる。腕が自分の想像より遥かに白く細く、まるで子供のようで。それに、車が突っ込んできたんだから酷い怪我をしているはずなのに、思ったような傷は一切無い。確かに意識はあるのに、声も体も、まるで自分ではないようで。そう言えば今自分の傷がどんな状態なのか確認できていない。


「…かが、み。鏡を…」


後ろに控えていたフリフリした格好の女性が手鏡を持ってくる。


「お倒れになったときに軽く頭を打ったようですが、傷にはなっていませんよ。」


鏡を渡され、自分の顔を見て愕然とする。




(な、なっ……………なんじゃこりゃーーーーっっっ!!??)




そこには以前の自分ではない、全く似ても似つかない、ほんの少しもミジンコたりともかすりもしない、共通するのは目と口と鼻がある、っていうほど異次元レベルで違う、超絶美少女がいた。

元の顔からはどんなに整形したってこの顔にはなるまい。


状況は掴めないし、自分だけど絶対に自分ではない顔があるし、知らないイケメンに超心配されてるし、部屋豪華でお金心配だし払えないし、喉も頭も体もあちこち痛いし、パニックがパニックを呼びいっぱいいっぱいになったようで、せっかく目が覚めたのにまた意識が遠のいてきた。



(………ちょっと、まじで意味わからん………うぅ……なんか、なんか……)



「本当に、申し訳ございません(マジすんません)……」



よくわからないけど謝罪の言葉を口にし、意識を手放した。

とりあえず謝るの、日本人の悪い癖だと思うんだわ…。



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