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第八十話  ペイトンの苦悩



「……さん。……さん」


 誰かの声が聞こえる。

 最初は遠くからだった声が、徐々に耳元へと近付き、やがてはっきりとした口調で僕の名を呼んだ。


「お兄さん!」


 この声はジーナか。

 僕は何をしていたのだろうか。確か、黒狼族の追手との戦闘が始まり、えっと……なんだっけ。


「お兄さん! しっかり!」


 しっかりって言われても、思い出せないものは仕方がない。ジーナだってあるだろう? さっきまで覚えていたことをド忘れすることくらい。で、どこまで思い出したっけ。確か、土魔法使いが死んで、罠があって、あいつらが逃げて。


「ヨースケさん!」


 今度はアルテシアか。

 ちょっと待ってくれ。もう少しなんだ。もう少しで全部思い出せそうだから、もう少し僕に時間をくれないか。それで、あいつらが逃げたあとに罠が暴発して。


「主さん。なんか寝ぼけてないか。目は覚めてんだよな」

「ええ。頭を打ったようで、少し意識が混濁しているみたいです」


「お兄さん! アタシだよ! ジーナちゃんだよ! お兄さんの奥さん、可愛いジーナだよ!」

「ジーナ! ウソはいけません」


「そうだぞ、ジーナ。嫁はあたしだ」

「リサメイさんまで!」


 わかった。わかったから、僕の耳元で騒がないで。

 それで、えっと。罠が暴発して僕らは死んだはず。いや、この耳元で騒ぐ彼女たち。これは別の意味での天国かもしれないけれど、本物とは違う。なんせ僕は一度経験済みだ。あそこには、あの下級神ノアもいるはず――。


「おい! 起きろヨースケ!」

「痛っ!!」


「「「あっ!」」」


 突然両ほほを思いきり叩かれる痛みが。

 ハッとした拍子にペイトンと目が合う。


「ペイトン……?」

「ったく。いつまで寝ぼけてんだよ。みんな待ってんだ。それとあんたたちもこいつを甘やかし過ぎだ」


 いつまでも夢のなかに居る僕に、いい加減焦れたペイトンが、実力行使で起こしに来た。彼はなかなか僕を起こそうとしないアルテシアたちにも小言を言うと、呆れたように僕から離れる。それによって周りの景色が、一気に視界へ入りこんだ。


「ここは……」


 辺りはすでに暗く。僕が倒れていた地面は平たんになっている。うしろを振り返ると山があり、その頂上は黒い雲に覆われ、あの魔力暴走の痕跡なのか、山の半分が消し飛んでいた。やはりあのトラップは驚異的な破壊力を秘めていたらしい。でもどうやって僕らは助かったのか。


「ヨースケさんが気絶したあと、私と獣人の方々でヨースケさんとジーナ、それにペイトンさんとロジを抱えて脱出しました」

「なるほど。あの場で逃げるには、それしかないよな」


「ちっ。お前は気絶してたから良いけど、あれは乗り心地としては最悪だったぜ」

「うん、知ってる。僕は何度も経験してるから。そっか。ある意味、気絶してて良かったよ」


 普段から揺れのない馬車に乗っているせいか、人に抱きかかえられて走るという経験のないペイトンは、うんざりしたようすで僕に愚痴る。そんな彼のうしろから、心配そうな顔のロジが現れた。


「ヨースケ様。ご無事で良かったです」

「ありがとうロジ。キミも無事で安心したよ。ところでその剣はもしかして――」


 ロジは胸に一本の剣を抱えていた。

 あの山頂で負傷した僕に、アルテシアが自分の持っていた剣の鞘を、そえ木として使ったあと、その場に置いたままだった剣だ。七聖剣で戦っていた彼女に代わり、ロジがその剣を預かってくれたようだ。


「そっか。ロジが持っててくれたんだね」

「ふふ。アルテシアさんから、大事な剣だとお聞きしたので」


 思わずロジの頭を撫でてしまい、ハッとなって離そうとしたが、意外にも彼は喜んでくれたので、そのまましばらく撫でることにした。


「ヨースケさん。実は馬たちが行方不明でして」


 ロジと遊んでいると、アルテシアがそんな報告を。

 戦いの最中、僕らが手放した拍子に逃げてしまったらしい。ペイトンの馬を含め、あの場には合計八頭もの馬がいたが、みんなはぐれたようだ。


「あの爆発だと、もし近くに居たら助かってないかもな」

「ええ。ローザさんから借り受けた馬たちですから、申し訳なくて」


「おっと! その話。俺も混ぜてもらっていいか」


 僕らの会話に突然、ペイトンが割り込んだ。

 ふたりして彼の乱入に目を見開いていると、ニヤリと笑う彼がこう言った。


「その馬たちのことなんだけど、ダメ元でも良いなら、ちょっと試したいスキルがあるんだよ」

「スキル?」


「ああ。と言っても、俺と馬たちの絆次第ってやつなんだけどな」


 またもペイトンのスキルが活躍するらしい。

 僕らとしても、あの立派な馬たちをローザの孫という人物へ、無事に届けたいと思っている。彼も自分が購入した馬たちをみすみす手放したくはないのだろう。両者の意見が合い。彼のスキルにすべてを託すことになった。

 

「じゃあ、始めるぜ。最近手に入れたスキルなんだが、まったく使い道がなくってな。なんせ俺は馬たちと離れたことなんてなかった――」

「ペイトンさん! 早くっ!!」


 ペイトンの長い口上が始まるのを、ジーナが阻止。拗ねたように肩をすくめるペイトンが、咳ばらいをひとつして、スキルを唱え始める。


「紡いだ絆を手繰り寄せるは愛する主のため。万物の彼方に消え去りし愛馬を救い出すは主の務め。散らばる絆を呼び集め、我らの誓いを今、ここに示す。スキル【馬寄せ】!!」


 スキル詠唱を終えたペイトンが指笛を吹く。

 それはただの指笛ではなかった。透き通るような音色は、山々の隅々まで響き渡り、やがて木霊として返ってきた。


 だが、返ってきたのは木霊だけではない。暗くなった山道から、徐々に聞こえる蹄の音。それはだんだんと大きな騒音となり、主の下へと戻って来る馬たちの姿を、僕らに見せてくれた。


「すげーな、ペイトン! ホントに馬たちが戻って来やがった!」

「うっそ! マジで!? 信じられないんですけど! ペイトンさんやるぅ!」


「すごいです! ペイトンさん!」

「さすがはペイトン!!」


 歓喜する僕らは、次々にペイトンへの賛辞を贈る。

 戻って来た馬は全部で八頭。ペイトンの二頭も当然入っていた。みんなに褒められたのが恥ずかしかったのか、少し顔の赤いペイトンが、リサメイの手荒なスキンシップで揉みくちゃにされながらも、自分の呼びかけに応えてくれた馬たちへと近寄って行く。


「二日間ちゃんと面倒を見てて良かったぜ。ありがとよ。お前ら」


 そう言って馬たちを労い、一頭ずつ優しく撫でるペイトン。しかし突然、最後の馬を撫でる手を止めて、彼は黙ってしまった。


「どうしたの? ペイトン」


 声をかけると、なぜか彼は落ち込んだ表情で振り返った。


「いや。なんか余計な奴が一頭ついて来てるんだが」

「え?」


 僕らのやり取りに気付いた他のメンバーも急いで馬の下へ。彼らが取り囲むなか、最後の馬に寄り添うようにして、一頭の小さな仔馬のような生き物を見つける。


「なにコイツぅ~! チョー可愛いじゃーん!!」


 真っ先にジーナがその生き物に抱きつく。

 大人しく彼女に抱かれるその生き物は、見た目は馬らしいが、やけに筋肉質で、頭から二本の角が生えている。


「牛……でしょうか」

「ユニコーンでもないな。角が牛のように生えてるし」


 ジーナのうしろに立つアルテシアとリサメイがそんな感想を述べる。僕も見る限り、純粋に馬というよりも、馬っぽい牛か何かだと第一印象で感じた。


「ねーねーペイトンさん。これなんだと思う?」


 仔馬牛を抱くジーナが、馬に詳しいはずのペイトンに尋ねる。少し難しい顔をした彼は、ジーナの問いかけに少し表情を戻し、ゆっくりとその仔馬牛の近くに腰を下ろす。


「こいつは新種だ。他にはいない珍しい馬だ」

「新種!? 馬にも新しい種族とかあるの?」


「ああ。めったに生まれないんで、絶滅を繰り返してるんだが、たまに普通の馬から突然生まれたりするんだが……まあ、ほっとけば勝手に死ぬさ」


 仔馬牛を睨みながら、そう説明するペイトン。

 真剣な彼の表情とは別に、彼の手をペロペロと舐める仔馬牛が愛らしい。見た目は迫力があるのに、まだ仔馬のためなのか、大人しく他の馬たちに寄り添っている。


「たぶんだが、あの山の爆発で親たちとはぐれたか、それとも最初から単独でいた奴が、こいつらに懐いたところを、俺のスキルで一緒について来てしまったんだろう」


 ペイトンなりの解釈に、皆が頷く。

 あの魔力暴走による爆発がなければ、この仔馬牛は親ともはぐれることなく、山で幸せに暮らせていたかもしれないのだ。全員が仔馬牛を見て黙り込んでしまう。


「でもさ! ペイトンさんが呼ばなかったら、この子あの山で死んじゃってたかもしれないっしょ? そしたらやっぱ、ペイトンさんのおかげで助かったってことじゃん! ペイトンさんは良いことしたんだって!」

「……」


「もう助けちゃったものは仕方ないじゃん。ペイトンさんにも懐いてるし。連れてくしかないっしょ」

「……」


 ジーナの正論に、誰も意見する者はいない。

 なぜかペイトンだけが渋っているのだ。馬と絆を育むのが得意な彼にしては、なぜこうも仔馬牛のことになると、口数が少なくなるのか、全員が不思議に思っていた。それとなく彼の心境を探るべく、こんな提案をしてみる。


「とりあえずこのまま置いて行くわけにいかないし、馬のことはペイトンが専門だよね。じゃあペイトンが面倒見てやってよ」

「……マジかよ」


 露骨に困った顔をするペイトン。

 そこまで嫌がるわけが知りたくなり、彼の顔をじっと見つめる。


「な、なんだよヨースケ……」

「なんか理由あるんだよね。ペイトン」


「……っ!」

「馬好きのキミが、ここまでこの仔馬の世話を嫌がるのって、いったい何が理由なんだい」


 ペイトンに視線が集まる。

 僕を含め、仔馬牛を抱くジーナもじっと彼を睨んでいる。そのプレッシャーに耐えられなくなったのか、一瞬ムッとした彼は、力が抜けたようにその場にしゃがみ込む。


「くそっ! なんで俺の夢が実現するって手前で、こいつに会っちまったんだよ……」


 膝に顔を埋めながら不満を口走るペイトン。

 その理由には、彼が馬車使いとしてフリーになる夢が関係しているらしい。仔馬牛とフリーの馬車使い。このふたつの繋がりとはなんだ。そんな疑問が沸くなか、彼がボソボソとその理由を語り始める。



 ※  ※  ※  ※  ※  ※  ※  ※



 ペイトン・トウェイン。

 彼の一族は、代々、馬車使いと馬の牧場主として繁栄していた。トウェイン一族と言えば、この世界でも有数の馬車馬を育てるホースメイカーとして名を馳せており、彼の先祖であるペーター・トウェインの代には、王国騎士御用達の馬牧場と国内を行き来する荷馬車運業を営む一族にまでのし上がっていたという。その彼の先祖には、順調だった一族の盤石な地位を脅かすほど陶酔していた夢があった。


 角を持つ強靭な馬の育成と繁殖。

 当時から希少種であった、角馬の繁殖に人生のすべてを賭け、当時で換算すると、王国の国家予算に匹敵するほどの財産を投じたという彼の先祖。しかし結果は失敗に終わり、ホースメイカーの権威、ピーター・トウェインはすべての事業から撤退した。


 その子孫であるペイトン。

 彼の先祖の痛烈な失敗を教訓とし、堅実な馬車使いとしての道をスタートした彼には、一族代々の遺言が伝わっていた。


 ― いつかあの馬に会ったとき、

 

        一族の夢を実現してくれ ―


 彼の先祖、ピータ―・トウェインの願いであった。

 ペイトンは笑った。家族の前で堂々とこう宣言した。そんな馬には会わない、会いたくもない。自分は夢だったフリーの馬車使いになるんだ。もし旅先で会うようなことがあれば、考えないでもないが、そんな奇跡、自分は信じてはいないと。


 そんな彼が角馬と出会った。いや出会ってしまったのだ。



 ※  ※  ※  ※  ※  ※  ※  ※


 

「まさか、自分のスキルでこいつを呼び寄せちまうなんて、皮肉なもんだな」


 仔馬牛を睨みつけるペイトン。

 彼の表情には迷いがあった。自分の夢か先祖の夢か。


 家族の前で宣言した言葉は、先祖代々続く一族の願いを、息子に託す両親の手前、今さら撤回など出来ないのだろう。しかし、誰もペイトンがこの仔馬牛と出会ったことを知らない。結局は彼自身が課した家族への誓いに、どれだけの意味があるかの問題なのだ。


 一族を没落させた呪われた角馬との関係。

 苦悩するペイトンの前には、まだ穢れを知らない純粋無垢な角馬の子供。彼が手を差し伸べなければ、今日明日にでも命を失うかもしれない不安定な存在。


「くそっ。俺を……そんな目で見るな」


 仔馬に毒突くペイトンが、その綺麗な瞳から目を逸らす。


「ヒヒン!!」

「――!?」


 突然の仔馬の悲鳴。

 逸らした顔を戻したペイトンが、目の前で起こった事象に戸惑う。


「リ、リサメイさん。いったい何を!」


 仔馬を持ち上げるリサメイ。

 彼女の突然の行動がわからず、困惑するペイトンが尋ねる。


 そんなペイトンに冷たい視線を向けるリサメイが、おもむろに仔馬の首根っこを掴み、頭上高く掲げると、嫌がる仔馬がさらに悲鳴をあげた。


「リサメイ! なんてことをするんだ!」

「リサ姉酷いよ! その子を離してよ!!」


 僕やジーナがリサメイを非難するが、彼女はそれを手で制し、ペイトンを睨みつける。


「お前が要らないんだったら、こいつはあたしがもらうよ。悪いが、あたしらの一族は仔馬の生肉が大好物なんだ。こんなうまそうな仔馬なんて、ここ最近食ってないんでね。ペイトン。あんたがこいつを拒否するなら、今からあたしがこいつを殺して食う!」

「そ、そんな……!!」


 ペロリと舌なめずりをするリサメイ。

 彼女の発言に、ペイトンの顔は歪む。誰よりも馬を愛する彼にとって、その行為は決して許されないモノだ。種族の違う彼女を食文化の違いで責めることは出来ないが、明らかに彼の表情にはリサメイを非難するものが見られた。


「リサメイさんっ!!」

「リサ姉!!」


 女性陣たちから、リサメイへの非難の声があがるなか、暴れる仔馬を高々と上げる彼女は、依然としてペイトンを睨んだままだ。


「いいんだね。ペイトン」

「――くっ!」


 リサメイの手からかぎ爪が伸び、仔馬の首元に突き付けられる。追い詰められたペイトンが、苦渋の表情を見せる。そんな彼の顔を見て、ため息をついたリサメイが、夜空へと黒い仔馬を放り投げると、それを目撃したペイトンが叫ぶ。


「やめてくれええええ!!! 俺が……俺がそいつの面倒を見る!! 一生かけて見るからっっっ!!!」


 空に飛んだ仔馬に走り寄りながら、ペイトンが叫ぶ。途中、地面によろけてしまったものの、彼は地面に這いつくばりながらも、懸命に仔馬の命乞いを叫んだ。


 しかし、かぎ爪を伸ばしたリサメイが、そのまま空へと飛びあがり、仔馬に近付くと、もう終わったとばかりにペイトンが地面へと伏せる。


「くうっっっ!! ちくしょう……俺が……俺が……!!」


 後悔の念に押しつぶされるように、地面に拳を叩きつけるペイトン。自分の迷いが仔馬を殺した。そう嘆く彼は、地面に血が滲むほどに自分の額をこすりつける。


 シンとした空気。それは夜のとばりが降り、空気が冷えてきたせいではない。地面に伏せ、ひとり嘆くペイトンに、誰もが声をかけられなかったからだろう。


 うつぶせるペイトン近付く気配。

 小さな歩幅で歩くのは、ロジ少年か。自分を慰めに来たのが彼なら、今は放っておいて欲しい。そんな風に見える彼の痛ましい姿に、誰もが沈黙する。


 地面越しにその足音を聞き、じっと押し黙るペイトン。突然、そのほほに何かが触れるのを感じる。


「――!」


 あわてて顔を上げるペイトン。

 その目前には、リサメイのかぎ爪に倒れたはずの仔馬が。


 チロチロとペイトンの顔を舐める無垢な仔馬を前に、戸惑うペイトン。


「どうして……」


 彼の言葉に応えるかのように、仔馬を解放したリサメイが彼に近付いた。


「バ~カ。黙って素直にさっきの言葉を言ってれば良かったのによお、ペイトン。あんた、コイツに会った時点で、ホントは覚悟してたんだろ? あたしにはピンと来たね」

「リサメイ……さん」


 起き上がり、じゃれつく仔馬を胸に抱くペイトン。

 呆然とする彼に、リサメイが笑いかける。


「決まりだね。今から仔馬の親はあんただ。ペイトン」

「じ、じゃあさっきの仔馬を食べるって話は……」


「あたし馬なんて食ったことないんだけど、ホントに美味いのかい? だったらちょっとだけ味見を……」

 

 そう言って仔馬に手を伸ばすリサメイ。

 すかさず自分のうしろへと仔馬をやり、リサメイから守ろうと叫ぶペイトン。


「ダ、ダメだ!! 馬は食うもんじゃねえ! 愛でるもんだ!! そ、それにウソつきは嫌いだ!」

「冗談だよ! そんなに怒んなくったっていいだろーペイトン」


 珍しく怒るペイトンに、冗談だったと謝るリサメイ。どちらにせよ。彼女のついたウソのおかげで、ペイトンの覚悟が決まったことには変わりはない。そんなリサメイの優しさに胸が熱くなった。


「疑ってゴメンリサ姉!! チョー最高だったよおお!!!」

「うわっ!! いきなりくっつくなってジーナ!」


 泣きながらリサメイに飛びかかるジーナ。

 あわてて彼女を受け止めるリサメイが、泣きっ面のジーナの頭をくしゃくしゃと掴む。そんな光景を見て、アルテシアも涙ぐみ、ちょうど周囲の警戒から戻って来たばかりの黒狼族たちは、ポカンとした表情で立ちすくんでいる。


「あ、兄貴……なんかあったんですか」


 状況を察せないようすのロックロックが、僕に近寄りそんな風に尋ねてくる。


「ううん。僕の仲間は最高だってことだよ」



 山頂での死闘のあと、暗くなった夜空の下で、僕らは泣き、そして笑った。


ここまでお読みいただきありがとうございます。

次回もよろしくお願いします。


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