閑話 女神たちのテルメ その四 【祝10万PV感謝】
「長いっ! いつまで待たせんねんっ!」
あれから数十話。
ワジずーっとあのまんまやで? 片パイ栓にされたまま。ずーっと待っとったんやで? この話の続きが始まるのん。すっかり湯冷めしてもうたし、どないしてくれるねん。
え? お前、誰やって?
いや、そうなんの薄々わかっとったで? さすがに第三話がだいぶ前やったし、実際、前の話を忘れとる人、めちゃめちゃ多いんちゃうかなーって。作者本人でさえ、忘れとる言うとったし――って、いやいやいや、作者なんておれへんかった! 今のナシ!
「ワシや、ワシ! 下級神ノアちゃんやあああああ!!!」
って、誰に言うでもなしに、ワシはここ最近、ずーっと愚痴をたれとったんやけど、ようやく救助が来たわ。大地の神イチが来てくれたって……いや、だいぶ前に助けてくれって頼んだんやけど。え? 寝とった? あ、ごめん。起こしてもて……。
あ、ワシがなんでここにハマっとるんかって?
そんなん、そこのバカ双子にきい――っておらへんやんけっ!!
あいつら、ワシだけ残してランチに行きよったな!
てか、他の女神らも知らん間におらんなっとるし。くそぉ! ワシだけひとり真っ裸で片パイ穴に詰まらせたままって、シュール過ぎるやろっ! いや、イチさん。クスクスわろてるけど、ホンマ怒ってんねんで? ワシ。
そんなんやのうて、助けてーな。
ワシいつまでこんな恥ずかしい恰好せなあかんねん。いくら下級神にランク落ちたからって、この仕打ちはないんとちゃう? それに、はよこの穴埋めんとあかんのとちゃうか。結構な量の神湯が下界に流れてもうてんで。
え。穴から先に片パイ抜かんと無理?
いや、それ出来てたら、ワシここにおらんて。
え。抜くの手伝ってくれんの?
え、え、ええっ? い、いや、そこ触られるとワシあかんて。いや、イチさん。ちょ……あんっ……。
「ワシ、わき腹めっちゃ弱いねんてええええ!!」
――って、えっ。もう抜けたん?
あ、ありがとうさん。え? さっきのよがり声が可愛かったって? いや、それちょっと、忘れてもらえたら嬉しいねんけど。
さっきからワシばっか、独り言しゃべっとるように聞こえるけど、大地の女神イチは訳あって、念話でしか話せんのや。だからワシだけが空回りしとるように見えんねんて。え? いつも空回り? って、どつくぞっ!
あ、ごめんごめん。こっちの話や。
さっさと退けって言いたいんやろ?
ちゃんと、退きますがな。
あ! ワシの片パイに、輪っかのアザ出来てもうとるやんっ! うっわ、最悪やあ。
長い間、穴にはハマっとったせいで、ワシの自慢の美乳にアザついてもた。くそ。あのバカ双子め。
はいはい。退きましたやん。
イチさん忙しないから。
ほなら、さっさと埋めてもろて。
ようやく大地の女神イチの仕事が開始。ワシは片パイを撫でながら、黙って隣で見とるだけ。彼女が持ってる大地の杖って神器で、ちょちょいのちょいっと穴埋め完了。ついでに岩盤も強化したらしい。
「いやーさすが仕事が早いなあ。イチさん、ありがとな」
ニコリと微笑む女神イチに、礼を言う。
これでワシはやっと、この女神のテルメから解放されんねん。いやあ~長かった。
すっかり空になった浴槽から上がったワシは、傍に置いてた手ぬぐいを肩にかけ、意気揚々とテルメの出口へと向かおうとしたが――。
「はうぅ!?」
突然、ワシに襲い掛かる刺激。
背後から感じるのは、女神特有の神気。
振り返ると、そこには赤い顔をした大地の女神、イチが。
「イ、イチさん……!?」
ワシにぴったりと寄り添うイチ。
そんな彼女の上気した顔を見て、ワシは彼女の正体を、すっかり忘れとることに気付いた。
「いや、そこは……くうっ!!」
イチの指先は、すっぽりとワシのワシへ。
ワシはその刺激に耐えられず、崩れ落ちそうになってしまう。
そうやった。
大地の女神イチは、無類の女好きの女神。
世界神さまよりもずっと年上で、彼女を開発したんも、この大地の女神イチやった。それに、彼女が念話しか話せんようになったんも、口を開けば卑猥な言葉ばっか言うとるせいで、数代前の世界神さまに罰として、しゃべられんようにされたからや。
当時はだいぶ落ち込んどったし、今じゃすっかり大人しくなったなあて、ワシらみんなで噂しとったとこやったのに、全然反省しとらんやんけ!
「はうううっ」
そんなこと考えとる間に、どんどんと指が■●▼のなかに。やばい。今度こそホンマに、ワシ食われてまうやん!
ガクガクと足が震え、今にも女神イチに陥落されそうになるのを堪えて、どうにか彼女に訴えかける。
「や、やめて……イ、イチさん……はあんっ!」
ワシの願いは届かず、更に指先を激しく動かす女神イチ。そんな彼女が、ワシの思考のなかに念話を飛ばしてくる。
「んっ……ふえっ? テルメの穴を塞いだから、今度は、ワ、ワシの?」
そんなうまいこと言わんでええねん!
ワシは朦朧とする意識のなかで、最大限のツッコミを彼女に入れる。ふふふと念話で笑う女神イチのテクニックに、とうとうツッコむ気力も奪われ、身動きも取れへんようになるワシ。
「あっ、あっ、あっ……」
無意識に洩れ出てしまう、声を抑えることも出来ず、ワシは女神イチによって、猛スピードで動く、大人のエスカレーターを、それこそ二段飛ばしくらいのステップで、一気に駆け上がらされそうになる瞬間、
「ああ。あんたまだここに居たのね、ノア。世界神さまが至急お呼びだそうよ」
ガラッと開いた扉から、ワシの友人ホロが。
た、助かった。
ワシのワシからオイタな指を遠ざける女神。
彼女はワシの親友ホロとは因縁の関係。
「あら、イチさま。私の父から罰を受けたのに、まだそんなことをしてらっしゃるのね。それでは封印を解くのはまだまだ先かしら」
そうなのだ。
女神ホロの父こそ、数代前の世界神。
セクハラ発言し放題だった、大地の女神イチのお口をチャックした張本人だ。
今はすでにこの世界にはいないが、彼が去るとき、娘であるホロに女神イチの封印を解くチカラを授けて行ったらしい。
「あら。そんな謝られても、さっき見たことは看過出来ませんことよ」
念話で反省する女神イチ。
しかし、それを許さないホロに、「チッ」と捨て念話を吐き、彼女は去っていった。
「はうう……」
大地の女神イチの、魔の指から解放されたワシ。
その場に崩れ去るも、優しいホロの腕に支えられる。
「大丈夫? ノア。ちゃんと操は守れた?」
「あ、ありがとお……な、なんとか……はあぁ」
彼女に返事を返し、ホッと息をつくワシ。
やばかった。ホンマにやばかった。てかもう、エスカレーターは乗らへんからな。
全身汗びっしょりのワシを、肩にかかった手ぬぐいで、丁寧に拭いてくれる優しい親友。
「ふふっ。実は結構前から見てたんだけどね。ノアのあんな顔、なかなか見れないし」
「◎△$♪×¥●&%#!!!」
やめええええ!!!
ワシそんなキャラちゃうねんてええ!!
前言撤回や!
ワシに親友はおらん!
ワシは一匹猫や!
「あ!」
全身真っ赤になった、ワシの顔を見てニヤけるホロが、突然、思い出したかのように声をあげた。
「そうだった。世界神さま。呼んでるわよ!」
「は? それ、ウソとちゃう!?」
「ホント、ホント。すっかり見入ってたんで、忘れてたけど」
「マジかああああああ!!!」
さっき、ホロが言っとったことは、ワシと女神イチの間に割り込むための、ただの方便やと思とった。しかし、それはワシの勘違いやったらしい。思わず頭を抱えてしまうワシ。たぶん例のことや。
「星間の間にいらっしゃるから、さっさと行きなさいな」
「うわあ……あそこか……」
星間の間は、以前ワシが下級神の降格を告げられた場所。そんな曰く付きの場所で呼ばれるとなれば、答えはひとつしかあらへんがな。
「じゃあね。気を付けて! 落ち込んじゃだめよ?」
「うん。行ってくるわ……」
服を着たあと、ホロに見送られるワシ。
重い足取りで世界神さまの待つ、星間の間へと向かった。
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