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「036」終わり

 食事を終えてソファーに座ると一気に疲れが襲ってきた。


 慣れない家事のせいだろう。


 卵焼きは亜里沙が食べた後、俺も食べたが正直良い出来とは言えなかった。


 亜里沙の美味いというのはお世辞だったみたいだ。


 ……かなり遅い食事になったからな。空腹は最高の調味料というわけだ。


 さすがにちょっと凹む。


 でも、おかしなことに亜里沙のやつ、卵焼き完食したんだよな。


 しかも、俺より食べてた。


 卵焼きが好物なのか?


 ……うーん、わからん。


 疲れから自然と瞼が閉じてきた。同時に意識が遠くなる……。


「先輩、ちょっといいですか?」


 亜里沙が声をかけてくる。


「……ん?」


 めっちゃ眠いんだけど。


「先輩が家族家族ってうるさい気持ちちょっとわかりました」


「よかったな」


「ありがとうございました」


「それくらい当たり前だ」


 返事がおざなりだけど眠いんだから仕方ない。亜里沙は気づいていないようだが。


「でも、先輩ってめちゃくちゃあたしに尽くしますよね? それって同情ですか? それとも」


 家族になろうっていうのもあったけど。放っておけないという気持ちもあった。でも、なにより。


 ――泣いてる子供を見捨てないところ。


 ――俺を家から追い出してもよかったのにそうしなかったところ。


 ――さりげなく気遣ってくれる優しいところ。


 その全てが好ましい。


 だから何かしてやりたかった。


 と、説明したいがぶっちゃけ眠い。


 だから、一言だけ。


「好きだからだよ」


「……え」


 亜里沙の戸惑った声が聞こえるが眠気のほうがすごい。


「……悪い。ちょっと寝る」


「ちょ、せ、先輩、それってどういう」


 もう駄目だ。


 ……。


 …。


――亜里沙視点――


「……えぇ」


 す、好きって!


 は? うそ! マジで!?


 わかってるよ! 先輩は家族してって意味だって!


 でもさ! それでも意識しちゃうじゃん!


 え無理待って。


 意識してるってことはあたし先輩のこと好きなわけ?


 ちらりと横目で先輩を見る。


 寝てる姿めっちゃキュンキュンじゃん!


 もーなにこれ!


 先輩しゅきしゅき!


 マジ尊い!


 やっば~~!!!!


 マジであたし先輩のこと完全に好きじゃん!


「先輩、ずるいし」


 言うだけ言って寝るなし!


 ……顔が熱い。


「真央先輩の気持ち、……わかっちゃったかも」


 この状態で一緒に暮らすわけ?


 やばくない?


 きっとこれが恋の始まり。


――亜里沙視点終了――

「面白い!」



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