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「016」隣の部屋で本音と

「じゃあ、先輩、あたしの家に泊りってことでいいよね? あ、そうだ。だったら、あたしの隣の部屋空いてるんでそこ使ってください」


 やばい、反論しないとなし崩し的に亜里沙の家で暮らすことになる。いくらなんでもそれはまずいって!


 ここは男らしく毅然とした態度を取るべきだ。


「駄目だ。というかいい加減に離れろ」


 そう言って俺は亜里沙を突き離そうと手を前に押し出す。


 ぽよん。


 そんな擬音は出ていないが脳内でしっかり響いた。


「あ」


 俺の手は亜里沙の胸にフィットしていた。


 柔らかい!


 そんな言葉が脳内を埋め尽くす。


「せ、先輩」


 亜里沙の戸惑った声を聞いて俺は理性を取り戻す。


「わ、悪い!」


 咄嗟に手を引くと、亜里沙の顔が急激に赤くなる。ようやく亜里沙も現実を認識したらしい。


「先輩のエロ! マジスケベ!」


 ツンツンツンと連続で亜里沙が指で突いてくる。


 ……返す言葉もない。でも、この感触はずっと覚えておこう!


 しばらくすると落ち着いた亜里沙が攻撃をやめて、ため息をついた。


「ま、別にいいですけど。つーか、気にしてませんし。でも、マジ先輩ってむっつりですよね」


 ……ただの偶然だが、反論しても無駄だろう。


 というか、気にしてないって顔じゃないよね? 明らかにまだ顔赤いままだよね?


 指摘すると怒られそうだから言わないけど。


「全然気にしてないんだけど、ちょっと喉乾いたんで部屋戻りますね」


 言い終わった途端、逃げるように亜里沙が部屋から出て行く。


 あいつ、最後まで顔が赤いままだったな。


 残ったのは俺と食べ終えた食器だけ。


 一食の恩義(おんぎ)だ。せめて、皿くらい洗っておくか。……そういえばここのキッチン、食洗器あるんだった。設備は俺の家以上だな。


 キッチンに備え付けられている食器洗浄機(しょっきせんじょうき)に食器をセットしていると、


「あああああー! 先輩におっぱい触れられたぁー!」


 隣の部屋から亜里沙の叫び声が聞こえた。


 どうやら独り言のようだ。


「誰にも触らせたことなかったのに! 先輩の馬鹿馬鹿馬鹿!」


 今まで一人暮らしだった亜里沙は部屋の外にも聞こえるなんて思ってもないんだろうな。


 それにしても、女子の独り言を聞くなんて出歯亀(でばがめ)じゃん。


 耳でも塞いでおくか。


「ってか、先輩の反応もおかしくない?」


 と、思いつつもつい聞き耳を立ててしまう。


 ……だって、気になるだろ。


 普段は聞けない後輩の心の(つぶや)き。


 それは禁断の果実にも似た甘い誘惑(ゆうわく)だ。


「普通、おっぱい触ったら『責任取って結婚します』くらい言うし! そしたら思いっきりからかってやるのに!」


 言わんだろ。


 おっぱい触ってしまっただけで結婚なんてことになったら大変だ。


「……先輩、あたしのことどう思ってんだろ? ねぇ、ウサ太郎」


 ん? ウサギでも飼ってんのか?


「『あいつホモだからなんとも思ってないウサ』。いや、そんなことないし!」


 ……ウサ太郎めっちゃ甲高い声だな。ミッ〇ーか。最後に『ハハッ』とか言いそうだな。


 というか、亜里沙だ。


 え、もしかしてぬいぐるみにでも話しかけてんの?


 んなわけないか。モデルの亜里沙だぞ。そんな子供みたいな恥ずかしい真似するわけないって。


「『ウサ太郎はぬいぐるみだから人間のことなんてわからないウサ』。それはそうだけどぉ」


 ぬいぐるみかい。


「先輩の……馬鹿」


 ぬいぐるみを抱きしめて呟く亜里沙が想像できる。


 やばい、想像なのに可愛すぎる! いつもの亜里沙よりもちょっと子供っぽいところがまた良い! なんか違う世界線の亜里沙って感じだ! 世界線変動率5.65%くらいかな。って、落ち着け! これ以上は劇薬(げきやく)だ!


 もう何も聞かないように心を落ち着かせるんだ!


 そのとき、携帯が鳴った。


 ポケットから取り出して確認すると、


「真央から?」





「面白い!」










「続きが気になる!」










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