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「014」仲が悪いと

「許嫁なんて勝手に決められて亜里沙も怒ってるんだろ? それなら、許嫁を解消してもらうように一緒に協力しないか?」


「は? あたし、別に嫌じゃないですけど」


「……え。だ、だって、玄関でマジありえないとか言ってなかった?」


「それは許嫁が知らない人だったらの話ですって。とりま、先輩ならいーかなーって思ってるんで」


 それはそれで嬉しいけど。


「で、でも、許嫁だぞ! 学生には早くない!?」


「……先輩、マジ考え方古いし。いーじゃん。お試しってことで」


 お試し許嫁なんて聞いたことないって。そもそも男女の付き合いなんてお試しでやるもんじゃない!もっと……厳粛というか真剣というか。とにかく真面目にやるもんだろ。


 それに経済的にも自立するために男女の付き合いなんてする暇はない!


 考え方が童貞百パーセントっぽいけど。でも、紛れもない本心だ。


「それとも先輩はあたしと許嫁なんて嫌?」


 うるうるとした目で見るな! あざといんだよ! でも、可愛いんだよ!


「い、嫌じゃないけど」


「じゃー、いいじゃん」


 ……ぐ、駄目だ。口では亜里沙に勝てない。


「そ、そうだ! ご両親は!? 許嫁のことなんて思ってるんだ!?」


 途端に里沙はつまらなそうな顔をする。


「母はいないですよ。幼い頃死んだんで」


 思いっきり地雷踏んじゃったよ。


「……悪かった」


「あー、昔の話なんで。気にしてませんし」


「じゃあ、父親とは?」


「あの人とは折り合いが悪いんで別居してます」


 父親をあの人呼ばわり。相当嫌っているのがわかる。


 ちょっと親近感が湧いた。


「あの人、今回いきなり連絡してきたと思ったら『許嫁がいる。こちらの役に立つから上手くやれ』ですよ。マジふざけんなしって、最初は思いましたよ」


 俺と同じじゃん。


 父さんの友人だけあって似たような価値観を持っている人らしい。


 街が良くなったから市長のこと結構好きだったけど取り消しだ。


「そうそう、わかるよ。普段帰ってこないのに親だからって子供を好きに使っていいわけじゃないよな」


「マジでそれ! 利用価値があるときしかあたしんとこ来ないわけ! しかも、面倒なことばっか!」


「ほんと勝手だよな。俺なんて住んでる家を売られたよ」


「マ?」


「まじだよ」


 と俺が言った瞬間、


「あははははっ!」


 亜里沙が腹を抱えて爆笑した。俺は笑えないんだけど。 


「あー、おかしかった」


 笑いすぎて涙が出たらしく、亜里沙が目元を(ぬぐ)う。


「……」


「……」


 会話が途切れると、互いに顔を見合わせる。今までと違って、なんというかシンパシーを感じる。


 真央ですら感じたことのない仲間意識。


「先輩のところも親と仲良くないんですね」


「……まぁな」


 『親と仲が悪い者同盟』の完成だ。


「でも、母さんとは仲良かったんだよ。今は離婚して別の街に行っちゃったけどな」


 母さんに言って父さんを何とかしてもらうという手もあるけど向こうは妹のことや働きなれていない職場で大変みたいだ。あまり迷惑はかけたくない。


「母さんが離婚したときも父さんは何もしなかった。離れていく母さんと妹を見送っただけ」


 今でも思い出す。あの時のことを。


「面白い!」




「続きが気になる!」




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