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そこそこな幸せで十分です  作者: 蒼川りこ
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98)優しい祈り

誰かが私の頭を優しく撫でる。

気持ち良くて安心する…。


『精霊達を許してやってね』

「!?」


とても優しい声が頭の中に響いた。


何とか重い瞼を上げて目を開けると…すぐ側に全身が薄紫色のとても綺麗な人がいた。


「あなたは…………だあれ…………?」


『私はこの森の聖樹。大昔の人々に癒しの聖樹と名付けられました』

「聖樹……………?ラベンダー色の………?」

『ふふふ、あなた達は私をそう呼んでいましたね』


聖樹…!?聖樹が人の姿をしてるの………!?


癒しの聖樹様の側にはトランポリンとトラックがいた。聖樹様は私の頭を撫でながらもう片方の手でトランポリンの身体を撫でていた。


『あなたが言うこの森の住民達が、あなたを助けて欲しいと私の元へやって来たのです』

「みんなが………?」


聖樹様が撫でてくれると身体中の痛みが和らいでいくような気がした。



『災難だったな』


また別の声が聞こえて、声の方に目を向けると全身が青い人がいた。この人も聖樹……?


『私は大昔の人間に海の聖樹と名付けられた。私も森の住民に助けを求められてやって来たのだ』


海の聖樹様の側には象が控えていた。


『私は大昔に雪の聖樹と呼ばれていました』


全身真っ白な聖樹様も現れた。

雪の聖樹様の側にはキツネが寄り添っていた。


『私の名は空の聖樹。あなたは既にご存知でしたね』


全身が水色の聖樹様もいた。

空の聖樹様には立派な角の生えた鹿が控えていた。


『最初にあなたを呼んだのはこの私。いにしえの名は炎の聖樹です』


全身が真っ赤な聖樹様がそう言いながら近付いてきた。炎の聖樹様の肩には赤い鳥さんが留まっていた。


「森の聖樹は…ここに来てくださった方だけなのですか…?他にも聖樹は生えていますか……?」


『森からは外れているが、お前の通う学園にもいるだろう。大昔に名付けられた名は大地の聖樹』


緑の聖樹にも名前があったんだね…。


「ミドリーノが連れて行ってくれた松の木は…あの樹も聖樹ですか…?」

『そうだ。…あれはまだ若いが聖樹であることに間違いない。大昔に名付けられた名は光の聖樹』

「…若いのに…昔の名前があるのですか…?」

『聖樹も永遠ではない。枯れればまた再生する』


そうなんだ。普通の松の木だと侮ってごめんなさい…。

ミドリーノが連れて行ってくれたんだから聖樹であることは疑ってなかったよ?

…ウソです。半信半疑でした。

ミドリーノ、ごめんなさい。



『この森の生き物達がそれぞれ我々に助けを求めて来たのだ。我々は木の精霊、本来であれば姿は持たない』

『…こうして私達がここに来れたのは森の住民達の祈りが届いたからです』


みんなが私のために願ってくれたの…?

みんなの気持ちが温かくて嬉しくて涙が止まらなくなった。顔を拭くことも出来ないのに。


『そなたは何の力も持たない人間だ。ただ今だけは森の住民達の願いを受けて、こうしてそなたにも姿が見えるようにしているだけだ』

「………はい。ありがとうございます」


『本来、我々聖樹はただ其処に存在するだけ。その場で住民達を見守るだけ。こうして移動することなどあり得ないのだが…住民達の強い願いによって力を得たのだ』


聖樹様が教えてくれる。

森のみんなの力はすごいね…!

みんなが精霊の力を借りるだけじゃなくて、みんなが聖樹に力を分け与えるなんて。


そして、そんな奇跡を私のために起こしてくれた思いが本当に嬉しい。

私は本当に幸せ者だ!



青い海の聖樹様が私に手を翳した。

…全身にヒンヤリとした何かが流れていく。


『脱水症状を起こしていたからお前の体内に水を分け与えた』

「!ありがとう…ございます……」



炎の聖樹様が空に手を翳した。

…今度は全身に熱が入って暖まっていく。


『あなたの冷えた身体を暖めました』

「ありがとうございます…。とても暖かいです…」



そして聖樹様達が私に手を翳した。

視界が霞んでいく。


『今、あなたに私達の力を分け与えています。これで気力が回復するはずです』

「…はい。ありがとうございます…」


聖樹様の周りで森の住民達が一緒にパワーを送ってくれてるのを見て心が温まる。


涙が止まらない私の顔をトラックが必死に舐めてくれていた。


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