表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
そこそこな幸せで十分です  作者: 蒼川りこ
97/137

97)迷いの森

気が付いた時には辺りは真っ暗だった。少し動かすだけで身体中に激痛が走る。

それでも月明かりを頼りに目だけで辺りを見回すと湖か池かがあるのが分かった。きっと精霊達が私を心配してここに落としてくれたんだろうな。


激痛を堪えながらほふく前進で少しずつ少しずつ水に向かって片手で水を飲んだ。

美味しい………。


そこでまた私は気を失ったようだ。



また目を覚ますとまだ辺りは真っ暗なままだった。そんなに時間が経ってないのか一晩経ったのかも分からない。


また痛む身体を動かして水を飲んだ。

水さえあれば1週間は生き延びられるって聞いたことがある。1週間は大丈夫…。


ふと何かの気配を感じて目線を向けると大きな鳥がいた。…よく見ると頚にシュシュを身に付けている。


「……もしかして…赤い鳥さん………?」


鳥は私の頭に身体を寄せた。暖かい…。


「鳥さん…また会えて嬉しい………。前は私を助けてくれて…ありがとう………」


鳥と再会出来た嬉しさでいっぱいになってまた目を閉じた。



何かが顔を触る感覚がして目を開けるとトラックが心配そうに私の顔を舐めていた。側にはお母さんのトランポリンが寄り添って私の身体を暖めようとしてくれていた。


「ありがとう………大丈夫だよ………」


トラックを撫でたくても身体が痛くて動かせない。トランポリンが私を動かそうとして、あまりの激痛で再び意識を失った。



辺りの眩しさで目を開けるとやっと太陽が昇っている時間に目が覚めた事に気付いた。明るい中で目で辺りを見回すけれど一度も見た事が無い景色だった。湖と思ったけれど王都の湖よりはるかに小さかった。私はまた片手で水を飲んだ。


ポトッと目の前にリンゴが落ちた。


目線を上げるとミドリーノがリンゴを持ってきてくれたのが分かった。


ミドリーノが器用に私の口元まで運んでくれて、齧ることが出来た。


「美味しいね……。ミドリーノ…ありがとう」


何日振りの食事だろうか。

側にはトランポリンが相変わらず寄り添ってくれていた。


カアカア!

カアカア、カアカア!


カラスが沢山飛んでくるのが見えた。


「クロール……」


カラス達は嘴に何かの草や葉っぱを咥えていて私の身体に草を貼っているのが分かった。


皆の優しさが嬉しくて幸福な気持ちで眠りについた。



次に目が覚めた時はまた辺りは真っ暗だった。

側にはフクロウがいた。


「ふふ……フクロウさんも来てくれたの………」


フクロウが嘴で梨を私の口元まで転がした。


「ありがとう………」


何とか梨を一口齧った。美味しい………。


側にはずっとトランポリンが私の身体を暖めてくれていた。トラックも私の顔や傷を舐めてくれているのが分かる。


みんな本当に優しいね。



みんなのためにも起き上がらなきゃ…と思うけれど、身体を動かす事が出来なかった。


痛覚も麻痺してきたのか感覚が薄れてきた気がする。ただ身体が重くて眠い………。



キツネが葉っぱで私の口に水を飲ませようとしてくれていた。

ミドリーノとキミドリーナは果物をどんどん運んで来てくれていた。

リスもモモンガも木の実を集めて来てくれていた。

パンダもモフモフの身体で私を暖めようとしてくれていた。



みんなの気持ちが嬉しい。

今、私はすごく幸せ。



もう目を開けているのも辛いけれど、沢山の森の住民の思いやりと愛情に包まれて、この景色をずっと見ていたいと思った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ