88)精霊は何処にでもいるんです
「これは…やっぱりプリナの力なんじゃないの…?」
「違うよ~。皆もやってみようか」
メリザ、カロ、ポリー、イルクと次々に特訓をしてもらう。
「…!!」
「!?マジか!!」
皆もそれぞれ大きさは異なるけれど、シャボン玉みたいな球を作る事が出来た。
「…プリナ、どう言うことなの?」
「ここが公園だからだよ」
「は?」
「学園だとね、緑の聖樹だけのパワーなの。でもここは公園にある木々のパワーを集められたんだよ」
「……」
「それと今日は鳩さん達とカラスさん達とリスさん達が協力してくれたでしょ?数のパワーが学園よりも大きかったんだよ」
「……………なるほど…」
「それでも緑の聖樹はやっぱり特別な力があるから1本でも凄いパワーがあるんだけどね」
「…どんな聖樹でも精霊の力を集められるってこと?」
「うん」
「協力してくれるのはプリナの友達じゃなくても良いってこと?」
「うん。人間よりもずっと精霊と仲良しだからね」
「…本当にプリナが特別じゃないの?」
「皆にも球を作る事が出来たでしょ?ちゃんと修業すれば誰でも精霊の力を借りられるって事だよ」
「………………」
皆は驚きを隠せない。
私は普通の女の子だって何度も言ってるのに!
「鳩さん、カラスさん、リスさん、お手伝いしてくれてありがとう!お疲れ様!」
「クルックー」
「カアカア」
みんなにお礼を言って解散してもらった。
「…誰でも精霊の力を借りられる……」
「…信じられない」
「でも…オレ達にも球が作れたのは確かだ」
皆は未だブツブツ言っていたけれど、理解してもらうのに時間がかかるのかな?
「それじゃ観光を続けようよ」
「え?…ああ、そう、ね…」
「…分かった」
ボンヤリしている皆を急かして公園を出る。
「私、行ってみたかったところがあるんだ!」
「どこ?」
私が率先して歩く。
「着いた!」
「…ここは…湖?」
「そう!ここの景色が綺麗だってクロールが教えてくれたの!カラスのデートスポットなんだって!グフフ。クロールと彼女のクロエもここで出会ったらしいよ~」
「…へぇ」
「本当に素敵な景色だね…!」
クロールが教えてくれた通り、静かで木々に囲まれた湖はとても美しい。スケッチしたくなるな!
皆もキラキラ輝く水面に見惚れている。
「おっ、ここにも聖樹発見!」
「またぁ?」
「どこにでも聖樹はあるんだよ!また校外学習する?」
「やりたい!」
「オレも!」
皆も乗り気なので修業開始!
「すみませーん!どなたかお手伝いしてくれませんか~?」
私が周囲に呼び掛けると、湖の中から大きな魚、湖畔からカエル、木々からカッコウ、猿がやって来た。
「また豪華な顔触れだね…」
「プリナはやっぱりすげぇな…」
「皆さん、よろしくお願いします!…じゃあ早速やってみよう!」
最初に私がやってみる。
「湖が…!!」
「凄い…!!」
湖が波打って辺り一面が霧に覆われた。
雨上がりのように木々もキラキラと滴が輝いた。
「湖のパワーって凄いね!」
「…これは湖の精霊の力を集めたの?」
「そうみたい!」
皆にも順番に修業をしてもらった。
皆も水面を揺らす事が出来た。
「…私達、ミサキよりも修業進んでるんじゃない?」
「ふふふ、かもね!私達には精霊の御遣いの力は無いから、いかに精霊と精霊と仲良しの助っ人のみんなとお友達になれるかが重要なのよ!」
「…あくまでもオレらが力がある訳じゃなくて、聖樹と精霊達の力なんだな?」
「そうだよ~!残念だけど私達は普通の人間だからね」
「プリナはどう考えても普通じゃないけどな」
「何度も言ってるけど、私は何処にでもいる普通の平凡な女の子だってば!」
「あーハイハイ。」
霧が晴れてきて世界全てがキラキラ輝いてるような湖周辺を見渡す。
「ウィル様達にも見せてあげたいなぁ」
「うん…本当に綺麗だもんね…」
「皆もこれを見たら驚くね」
「オレは誰にも見せたくないかも」
「…確かに私達の秘密にしておきたい気もする」
周辺の輝きが収まるまで景色を眺めて。
「…そろそろ帰ろうか」
「そうだな、日が暮れちまう」
「プリナ、疲れただろ?おんぶしようか」
「抱っこ」
「…これは本当に疲れたんだね」
「抱っこして良いのか?」
「うん」
私はカロの首に腕を回して抱き上げてもらう。
「肋骨に響いてないか?」
「…コルセットしてるから…平気…」
「これはプリナ寝ちゃうね」
「カロ、プリナを揺らさないように気を付けてね」
「分かってるよ」
ユックリと歩き出して、辻馬車が捕まる場所を探す。
「精霊の力は…みんな…優しいねぇ…暖かいねぇ…」
「そうだね、公園でも湖でも何だか暖かい気持ちになったよ」
「聖樹も…みんなも…優しいねぇ……」
「優しいのはプリナなんだと思うよ?」
「鳩さんも…リスさんも…お魚さんも…お猿さんも…みんな…優しいねぇ………」
「そうだね~」
皆の修業も無事に成功して、楽しかった王都観光は終了した。
寮に着いて転寝から目が覚めると幸せそうな顔をした皆がいた。
「今日は楽しかったね!」
「うん、スッゴく楽しかった!!湖もまた行きたいね!」
「ちょっと歩くけどな」
「普通の聖樹の力でもあんなに借りられるなら、お城にある大きな聖樹の力を借りられたら凄そうだね…」
「今度はミサキ達みたいに火の力を借りられるか試してみようか」
「どこで?」
「うーん…。学園の許可取ってグラウンドで焚き火でもする?焼き芋作ろうよ!」
「夏なのに!?」
「暑くて無理か…焼き芋…」
「焼き芋が食べたいんだな?プリナは」
「絶対に汗だくになるよ?」
「焼き芋……」
「落ち葉も無いのに何を燃やすの?」
「…そっかぁ。焼き芋は難しいか……」
「目的が変わってるぞ」
私達は修業プランについてあれこれ話し合った。




