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そこそこな幸せで十分です  作者: 蒼川りこ
80/137

80)これで問題解決!

私はシロップを胸のポケットに入れてカロとイルクに支えられながらニコニコ歩いていた。


「…ねぇ、プリナ。小さくなるなら元のヘビで良かったんじゃないの?」

「メリザったら何言ってるの~?シロップはリボンが外れちゃうのが嫌でおててを作ったんだよ?ヘビに戻ったら意味ないじゃん!」

「あぁ、そっか」

「…タツノオトシゴって水の中にいるんじゃないの?」

「シロップは出会った時から陸にいたんだよ?脱皮したって変わらないよ!平気だよねっ、シロップ!」


私がシロップの小さな頭を撫でると目を閉じて気持ち良さそうにしてくれる。


「でもその身体じゃ陸の上じゃ自分で歩いたり出来ないんじゃないか?」

「そうだねぇ。ポケットにずっといてもらえば一緒にいられるけど…」

「別にトカゲとかでも良かったんじゃね?」

「トカゲだとご近所のフクロウさんとかに食べられちゃうかも知れないじゃない」

「シロップだって自由に動き回りたいかも知れないよ?」

「そうだよねぇ…」


私はシロップをポケットから手のひらに載せるとシロップは私の人差し指に身体を巻き付けた。


「じゃあ、ドラゴン繋がりで。コモドドラゴンって名前の生き物がいたよね?」

「!?それは止めろ!!メッチャ凶暴らしいぞ!?」

「え~?昔テレビでお散歩させてるの観たことあるよ?」

「シロップって何にでもなれるの!?」

「分かんない…」



私達の前でシロップが脱皮してタツノオトシゴに変身した時、ロベルト様はそれでもシロップを何処かに連れて行きたいと言ってきた。

私は絶対にロベルト様に触らせず、ドラゴンだと思ったのは気のせいで引っ越しも不要だと言い切った。それでもロベルト様は何か言いたそうだったけれど。

私が怪我したので皆で森から帰ることにして、ロベルト様とは寮の前で別れた。



「シロップはプリナが望めば何にでも変身するの?」

「どうだろう?あの時は「シロップがちっちゃくなれば」としか願ってなかったよ?」

「シロップもプリナと一緒にいたくて2人の願いを叶えようとしたんだな」


カロが私の手のひらのシロップの頭を撫でながら言った。


「うん!シロップはとっても優しい子だから私のお願いを聞いてくれたの!」


私達は寮に戻ると医務室に向かって全身打ち身だらけの私の治療をしてもらった。身体中に湿布を貼られて臭い。肋骨にはひびが入っていた。


「満身創痍じゃねーか!!」


包帯だらけの私を見てカロの過保護振りが再発してお姫様抱っこしようとする。


「抱っこの姿勢は肋骨に響くから…」

「…………」

「プリナ…痛くない?」

「くしゃみすると痛い」

「今度は私がプリナのお世話係になるね!1日中側にいてあげる!」

「ポリーだって怪我が治ったばっかりなのに」

「私がメインでお世話するから大丈夫!」


私はポリーとメリザの申し出に甘える事にした。

カロは不満そうで、一緒にいる間は自分がお世話係になると言い張った。


「カロは私のお母さんだからね」

「…お母さんは止めろ」

「しょうがない!お母さんの頼みじゃ私達も断れないもんね?」

「そうね、お母さんじゃねぇ?」

「カロ、頑張れ」

「だーかーらー、2人はうるさい」


「!プリナ、これならどうだ?」


カロは両手で私をひょいと持ち上げて幼児を抱っこするように片腕で私を抱えた。上半身が真っ直ぐなので痛みはなかった。


「…痛くない」

「よし。じゃあ、プリナの怪我が治るまでこれからはこうする」

「…ありがとう。…私、湿布臭いでしょ?ごめんね」

「湿布の匂いは昔から割りと好きだから気にすんな」

「ふふ、分かる。スーッとする匂いだよね?」


視線が高い。カロも見下ろす形になった。

でもある意味お姫様抱っこより恥ずかしい!!

…夏休み中で良かった。


「…これじゃ長距離移動は無理そうだね」

「サポーター?を着けてるし、そんなに心配いらないよ?」



皆で私の部屋に戻ると私はシロップをコップに容れた。


「身体を縦にしといた方が良いよね?止まり木があれば良いんだけど…」


私が寝室に行こうとするとシロップは不安そうな顔をした。


「着替えて来るだけだよ?直ぐに戻るからね」


私の姿が見えなくなるのが怖いらしい。

シロップは本当に甘えん坊さんなんだから!


シロップは私が室内を移動する度にコップの中でオロオロしていた。


「やっぱり自由に動けないのは可哀想だね…」

「せめて足があるか羽があれば良いのにね」

「!?プリナはまた…!!」

「?」


その途端、シロップがコップの中で暴れ出した!


「えっ、シロップ!!?」


コトン!


コップが倒れてシロップがテーブルの上をのたうち回る。


「シロップ!!」


そして身体が光り出した。


「また!!?」

「今度は何!!!」


フラッシュが焚かれたように光って目が眩んでしまった。



「…シロップ?また脱皮したの…?」




目が慣れてきて目を開くと…



「可愛い…!」

「やっぱり動き回りたかったんだね…」

「本当にプリナが大好きなんだね」

「マジか…」

「…自由自在だな」




シロップは今度は手のひらサイズのドラゴンになっていた。

しかも今度は小さな翼が付いてる!



シロップはどんな姿でも本当に可愛い!!


私はパタパタと飛んで来て私の肩に止まったシロップの頭を撫でた。


「もうロベルト様には会わせないから安心してね」

「私達でシロップを守ろう!」

「シロップの嫌がる事をしたらマジで凶暴化しそうだしな」

「ドラゴンだから火を吹いたり出来るようになるかもね」



私は心配事が無くなって安心したら眠くなってきた。


「プリナ?…ベッドで眠る?」

「…やだ。みんなと一緒がいい…」

「ちゃんと横になった方が良いよ?」

「…………やぁーの………」

「痛み止めが効いてきたんじゃないの?」

「身体を起こしておいた方が辛くないんじゃね?」



私は目が覚めるまでカロに凭れて寝ていたらしい。

お腹にシロップを載せて、とても幸せな気持ちで。


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