76)シロップも覚醒しました
ミサキが倒れた後、ウィル様達が護衛を呼んで、ミサキの意識が回復すると彼女を連れて何処かに行ってしまった。
当然ドロケイは中止。
私達平民組で森に遊びに行こうと話していると、シャルル様とダニエル様がやって来た。
「僕も森に行くよ」
「オレも行きたい!」
「シャルル様、ダニエル様!ウィル様達と一緒じゃなくて良いんですか?」
「オレらは別に今のところ話聞く必要無いし」
「ウィルは王族として、セルゲイはウィルの護衛として、ロベルトは生徒会長として話を聞きに行ったので、後は大人達が対応するんじゃないかな?詳しい事は後で教えてくれるよ、きっと」
「そうなんですか?」
「そうそう!さ、行こう!」
森は今日も静かだ。
期末テストや事件があったので森に来るのは久し振りだった。
「シロップ!会いに来たよ~!」
いつものように沼に向かって呼び掛ける。
いつものように沼からシロップが顔を出した!
…でもプンとそっぽを向かれた。
「…ごめんね、シロップ。なかなか会いに来れなくて。淋しかったよね…?」
私がそっぽを向いたシロップの頭を撫でると沼から揚がって苦しい程に巻き付かれた!
「!!そうだよね、私だってシロップに会いたかったんだよ!忘れる訳ないでしょ!?」
私は何とかシロップの身体の隙間から腕を抜き出してシロップを抱き締めた。
「私達も遊びに来れなくてごめんね…」
「シロップ、ごめんな」
皆もシロップの身体を撫でるとシロップは私から離れて皆にそれぞれ抱き着いた。
「シロップは可愛いね」
「しばらく会いに来なきゃ拗ねちゃうよね?」
「オレ達も会えなくて淋しかったよ」
皆とハグしてシロップはようやく機嫌を直してくれた。
私は甘えてくるシロップの身体を撫でていて異変に気付いた。
「…前より肌がザラザラだね…。それに頭のコブもずっと大きくなったね」
「だから角だって」
「ヘビなのに?」
「まだ言ってる。シロップはもうただのヘビじゃないって!」
と、いきなりシロップが苦しみ出した!
バタンバタンとのたうち回り地面が揺れる!
「ど、どうしたの!?シロップ!?」
「地震だっ!!?避難!!」
シロップの身体が光り出した。
これは前に見たのと同じだ!
「…!!みんな!!これ脱皮だ!!!」
「脱皮!?」
目を開けていられない位に光って、少ししたら眩しさが収まってきた。
目を開けると…
「ドラゴンじゃん!!!」
目の前には前よりも更に大きくなった、
立派な角が生えた白竜がいた。
「シロップは竜だったの?」
「…角と手足が出てきた時点で薄々予想はついたけどな」
「うそ!?竜はヘビとして生まれてくるの?」
「それはさすがに分からないや…」
竜の左手には私が結んだリボンが巻いてあった。
「シロップ…大きくなったね。立派になって…」
シロップを撫でながら思わず涙ぐんでしまう。
「プリナ、それじゃまるで親戚のオバチャンだぞ…」
「オバチャン!?失礼なこと言わないで!気持ち的には我が子なんだから!お母さんと言ってよ!!」
「…突っ込むとこはそこなんだ」
私がシロップの頭を抱き締めていると、横にシャルル様が並んだ。
「何て美しいんだ…!ドラゴンなんて物語にしかいないと思っていたけど…本当に実在したんだね!」
シャルル様が目を輝かせながら恐る恐るシロップの身体を撫でると、パキッと鱗が落ちた。
「!!ごめん!!痛かった!?」
シロップは首を横に振って、シャルル様に頬擦りした。
「ふふ、それは脱け殻みたいですよ?記念に持って帰って下さい。シロップも嬉しいと思います」
「良いの!?ありがとう!一生の宝物にするよ!!」
「シャルル様ったら大袈裟ですよ!何度も脱皮するんですから!」
「えっ!?これ以上大きくなるの!?」
皆が驚きの声を挙げた。
「えっ?だってシロップの脱皮はまだ2回目だよ?ヘビってもっと脱皮するんじゃないの?」
「だーかーらー、ヘビじゃないって!!もうドラゴンになったじゃない!!」
「そうだった!…じゃあドラゴンって何回位脱皮するの?」
「知るわけないだろ!?」
辺りを見回すけれど今回は脱け殻は落ちてなかった。代わりに白い鱗が無数に散らばっていた。
皆で拾い集めた。
「この身体じゃ沼は小さいね…」
「確かに狭いね」
「何処かに引っ越しした方が良いのかな?」
「…学園に相談した方が良いかもね」
「そっか…」
私に甘えてくるシロップを抱き締めながら、この甘えん坊を置いて村に帰省するのは無理かな…と考えていた。




