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そこそこな幸せで十分です  作者: 蒼川りこ
74/137

74)シナリオと違う展開みたいです

私が目を開くとカロの心配そうな顔があった。


「プリナ!?気が付いた!?」

「プリナぁ~間に合って良かった…!」


私はカロの腕の中にいた。

エクレアとイルクが側にいる。


「巾着は……」

「ちゃんとプリナが握ってるよ」


エクレアに言われて見ると確かに私は巾着を手にしていた。


「良かった………。!?カロが助けてくれたの!?怪我してない!?」

「オレのことより自分の心配しろよ…プリナは怪我してないか?」

「大丈夫…痛っ!!」

「プリナ!?どこを怪我したの!?」

「ううん…ミサキに蹴飛ばされただけ」

「クソっ!…あの女……!!」


ミサキに蹴られた脇腹に痛みが走った。

落下自体は怪我もなかったみたいだ。

カロも怪我してなくて良かった…。


「あの光は…?やっぱりミサキが覚醒したの?」

「それが…よく分からないのよ」

「?」


イルクは私がミサキに連れ出されて1人になってしまい急いで皆を呼ぼうと考えたらしい。

そしてカロとエクレアの所まで行って、エクレアがいればミサキを止められると思って2人をバルコニーまで連れて来てくれたそうだ。



私はホール外の庭にいた。

そんなに長く意識を失っていた訳ではなさそうだ。


私は身体を起こそうとしたがカロは離してくれない。


「カロ?もう大丈夫だよ?」

「…………寿命が縮んだ」


カロがまた私をギュッと抱き締めた。

カロがどれ程必死に助けようとしてくれていたかを知っているので私は起き上がるのを諦めた。

カロはいつも暖かいね。



「プリナ!!」

「プリナ!!カロ!!」

「プリナ!何があった!!」


メリザやポリー、シャルル様、ダニエル様、ウィル様、セルゲイ様、ロベルト様が次々に駆け付けて来てくれているのが分かる。


「そう言えばミサキは…?」

「知らない。プリナがカロと転落したから慌てて下に降りて来たんだもん」

「そっか…心配かけてごめんね」

「何言ってんの!!私だって寿命が縮んだよ!!プリナぁ、本当に良かった…」


エクレアが私の手を握って泣き出した。




「プリナ!!!」


メリザが私に駆け寄ってカロを突き飛ばすと私をぎゅうぎゅう抱き締めた。


「プリナ…プリナ……」

「プリナ…!側を離れてごめんね…!」


ポリーも続いて私を抱き締めた。

皆が泣くので私ももらい泣きした。



王子様達もその後に同時に着いた。


「何が起こったんだ?眩しい光が見えたが…」

「僕はメリザ嬢とポリー嬢が真っ青な顔でホールを出て行くのを見掛けて追い掛けて来たんだ」

「オレはバルコニーから悲鳴が聞こえて来たんで慌てて外に出たら2人が落ちてくのが見えて…その時パーッと光が囲んで…」

「私も眩い光が放たれるのを目撃しました」


ロベルト様は辺りをぐるりと見渡した。


「…どうやら精霊の力が働いたようですね」

「精霊の御遣いですか…?」

「プリナさんは精霊の御遣いの伝説をご存知なのですか?」

「!!えっと…確か本で読んだような…?」

「ロベルト、精霊の御遣いって何?」

「文献に残っている伝説ですよ。大昔に精霊の御遣いと呼ばれる者が現れたそうです。何でも精霊の力を従えて束ねる能力があるとか」

「…実在すると言うのか?」

「あくまで伝説ですから。分かりませんね」


王子様達も知らない存在なんだ…。

私達前世メンバーはお互いに見合って困惑の表情を浮かべる。


「さっきの光はその精霊の御遣いの力じゃないんですか?」

「違うと思いますよ。あくまで精霊が自らの意思でプリナさん達を助けようと働いたもののようです。誰かが力を使った様子はありません」

「……………」


ミサキは覚醒しなかったらしい。

どうして?イベントは起こったのに。

落ちたのが私だから?

そう言えば攻略キャラの王子様達は誰もその場にいなかったね…。




「プリナ、立てる?」


シャルル様が手を差し伸べてくれて、私は立ち上がった。


「ありがとうございます…」

「誰も怪我がなくて良かったよ。僕がその場にいたらプリナを助けられたかも知れないのに…ごめんね」

「シャルル様が気にされる必要はありませんよ?私もカロも無事でしたし!」

「…ここは冷える。ホールに戻ろうか」

「はい」



皆で庭を後にしてホールへと向かう。

私はふと足を止めた。

庭の木を見上げるとフクロウがいた。


「もしかして…あなたが助けてくれたの?」


フクロウは私のところに飛んできて何かを嘴から落とした。


「!?またネズミ!!!私のボディーガードじゃないよね!?」


フクロウがショボンと俯いてしまった。


「ごめんね!あなたの精一杯のお見舞いをくれたのに!…心配してくれてありがとう」


ネズミが私のボディーガードじゃない事を確認して、フクロウに食べてもらった。

私が頭を撫でるとフクロウは気持ち良さそうに目を閉じて甘えてくれた。



「プリナ?早くおいで」

「はい!今行きます!」



私は皆のところへ駆けて行く。




私達はホールに戻ってラストダンスに参加した。

皆は何事もなかったようにパートナーと踊った。

私もシャルル様と踊った。

踊っている時にメリザやポリー、エクレアと目が合って微笑み合う。


「プリナ、さっきよりリラックスして踊れてるね」

「はい!ちょっと余裕が出来たみたいです!」

「それは良かった。…でもダンス中は僕だけを見ていてね?」

「!!……はい」


シャルル様が耳元で囁くからせっかく慣れて来たと思ったのにまた恥ずかしくて真っ赤になってしまった。


「プリナは今夜は僕のお姫様だからね」

「!!!」


シャルル様…。

かりんとう先生の口癖を言ってみたかったんですね?

そう言えば談話室でメリザが皆に先生の話をした時に「まだ僕も言ったことがないのに!」って言ってましたもんね!

分かりますよ!名言って自分で使ってみたくなりますもんね!



トラブルは起こったけれど楽しい終業式パーティーが終わった。



「シンデレラの気持ちが分かるよ」

「何が?」

「鐘が鳴って急いで帰る時、すっごく淋しかっただろうなぁ…って」

「そうだね。パーティーの後って何だか淋しいね」

「それほど楽しかったって事だよ」

「そっか」

「本当に楽しかったねぇ」

「…夢みたいだったね」

「うん…」



「夢見れたでしょ」ミサキの言葉を思い出した。

私達がホールに戻ってからミサキの姿は見掛けていない。

あの子はあれからどうしたんだろう?


結局あの光は何だったんだろう…?



「今夜は3人で部屋で打ち上げしよう!」

「ふふ、良いね!楽しそう!」

「エクレアとカロとイルクも誘えたら良いのにね」

「エクレアは「疲れた…早く寝たい…」って言ってたよ?」

「ふふふ、エクレアは無理か」

「カロ達は?」

「パジャマ姿を見せられる?」

「……女子会で良いね」




大きなイベントが終わった。


明日から夏休みです!


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