73)終業式パーティー(2)
私は先ずはエクレアに話を聞くことにした。
「…どうしたの?何かあった?」
「あのね、ミサキのドレスがガブリエラと被ってるの」
「えっ?」
「周りの女の子達がその事に気付いてミサキを冷たい目で見てるの」
「!…………あちゃー本当だ……言われてみれば……。ミサキに全く興味が無いから言われるまで気付かなかったわ…」
「ガブリエラが何色のドレスを着るか、事前に通達はあったの?」
「そりゃあね。誰だって彼女の反感を買いたくないもの。調べておくわよ」
「エクレアも知ってた?」
「もちろん聞いてたよ?だから他に赤いドレス着た子はいないでしょ?」
「…これでガブリエラ対主人公の図式が出来ちゃった…かも?」
「!」
シャルル様に断って平民メンバーで集まり、今の不穏な空気について話した。
「…そんなことでイチイチ揉めるか?」
「もう!イルク鈍い!前世だったらイビりの対象案件だよ!」
「被ってると言っても全く同じじゃないじゃん」
「カロも鈍い!周りを見てみて!他に赤いドレスの子がいる!?」
「………………………居ないな」
「でしょ?ガブリエラは全校生徒の女子で一番偉いの!みんな気を遣ってガブリエラを引き立ててるんだよ!?」
「女って怖ぇ………」
「ガブリエラ本人は分からないけれど取巻きがミサキに絡んでくる可能性があるよね?」
「そうだね…。ガブリエラの取巻きはミサキ達より家格が上だし睨まれたら貴族社会でやってけないから周りも逃げるね」
「…よし、一先ずミサキをマークしとこう」
イベントはバルコニーで起こる。
私達は1つずつバルコニーを見て回った。
大きなホールのためバルコニーの数も多い。
「いないね…。既に呼び出されてるのかな?」
バルコニーは人目が付きにくく恋人同士の逢い引きスポットで、あちこちでいちゃつくカップルに睨まれる!私もお邪魔したくないんですよ!?
「やあ、ポリー嬢にメリザ嬢!こっちで一緒にどうだ?」
「!ご、ごきげんよう…」
メリザとポリーがパートナーの子息に捕まった!
公爵子息と伯爵子息に誘われたら断れない!
時間が惜しいので2人をその場に残してバルコニー点検を続ける。
「あら?エクレア様とパートナーの方ですわね!先ほどのダンスはお見事でしたわね」
「!まあ、それは…ありがとうございます…」
「…どうも」
今度はエクレアとカロが捕まる。
エクレアの畏まった様子からエクレアより高位貴族だと分かる。2人もその場から動けなくなってしまった!
私とイルクだけになってしまい気が焦る。
「…あなた。ちょっとご相談があるのですけど少しお時間頂ける?」
「!ミサキ…さま…?」
探していたミサキに声を掛けられた!
見付かって良かった…けど。
「……分かりました」
「私達2人でお話ししたいの。男性は遠慮して下さいます?」
ミサキはイルクに断りを入れた。貴族の申し出じゃ私達では断れない。
周りを見るとミサキ1人だ。貴族に囲まれてはいない。
ミサキに促されて誰もいないバルコニーに連れて行かれる。
「ねぇ。このあとのダンス、どうしてもシャルル様と踊りたいのよ。パートナーを譲ってちょうだい」
ミサキはシャルル様と踊る事を未だ諦めてなかったの!?
「…シャルル様は私以外とは踊らないと仰って下さいました。ミサキ様もご存知でしょう?」
「あんたから私と踊るように言えばシャルル様だって踊ってくれるわよ」
「………」
「良い?最後のダンスはシャルル様に私と踊るように言いなさいよ?分かった?」
「………お断りします」
シャルル様の気持ちを無視するような事は出来ないし、したくない。
「…これ。捨てちゃっても良いの?」
「!?」
ミサキの手には私がメリザからプレゼントしてもらった巾着があった。ミサキは巾着をヒラヒラさせて嘲笑う。
「どうして!?どこでそれを盗んだの!?」
「終業式の間にカバンの中から拝借しました~」
「お願い!返して!!」
「私だってね、平民の持ち物なんて触りたくないの!あんたが今すぐシャルル様に言うって言えばこんな汚い物サッサと返してやるわよ?さぁ、どうする?」
「……………」
「早く答えなさいよ」
ミサキは巾着から手を離した。巾着がミサキの足元に落ちた。
ミサキはそれをヒールで踏んだ。
「!!止めて!!!」
「あ~ら、薄汚い袋がゴミになったわ!」
「お願い!!返して!!!返して下さい!!!」
私が取り返そうとミサキの足元にしゃがんだところを思いっきり蹴飛ばされる。
「痛っ………!!」
「早く。私と踊るようにシャルル様に言うってこの場で約束して?」
「……………」
「あんたも貴族様と踊れて良い夢見れたでしょ?次は私に譲ってくれても良いじゃない?」
ミサキが巾着をヒールの踵でグリグリ踏みつける。
「お願い…止めて………」
「このゴミ。随分と大事にしてたみたいだけど、平民の仲間が作ったんですってね?」
「!…それを知っててどうして……」
「あんたは平民の仲間より貴族と踊る方を選ぶんだ~。へぇ~?」
「…………………分かりました。シャルル様にお願いします」
「うふふ!分かれば良いのよ!」
「…だから早く返して下さい」
ミサキはゴミでも拾うように巾着を指で摘まんだ。
私は立ち上がって巾着を受け取ろうとした。
受け取る直前、ミサキがバルコニーから巾着を外に向かって放り投げた!
「!!?」
私は咄嗟に掴もうとしてバルコニーから身を乗り出した。
ドン!!
「!!」
背中を押されてバランスを崩した!
落ちる!!
手すりに全体重が載って足が浮いた。
…1人じゃ体を起こせない…!
「よく考えたらさ、あんたがここから落ちて怪我すれば別にわざわざ頼まなくても良くない?」
良くない!!!
体が半分以上乗り上げてて頭に血が昇ってクラクラする………
「この高さならたぶん死なずに済むわよ。良かったね?」
良くない!!
「シャルル様のパートナーは任せてね?じゃ今からダイビングに行ってらっしゃい!」
「!!?」
「止めろーっっ!!!」
「プリナ!!!!」
ミサキが私のお尻を押した時に誰かの叫び声が聞こえた。
でも間に合わない!!
私の身体が宙に浮いた。
落ちる!!!
「きゃあああっっ!!!!」
「きゃああ!!!」
私の叫び声と同時にミサキが叫んだ。
誰かが私の両足を掴んだ。
「!!!」
「!!…っっ!!」
「離して!!あなたも一緒に落ちちゃう!!」
「そんなこと出来るか…っ!!!!」
「プリナ…っっ!!!今すぐ助ける…から…っっっ!」
誰かが必死に抱えてくれてるけれど、ズルッと体が下がる。
もうダメだ……!!
「もう…手を離して……」
「嫌だ!!!絶対に……離す……もんか……っっ!」
「プリナぁぁ!!!」
ついに身体が急下降を始める。
誰かが私の腰をギュッと強く抱き締める。
「プリナ…っっ!!!」
目の前が暗い。
その時眩い光に包まれた…!!!
落下スピードが落ちる。
「これが覚醒………」
ついに「精霊の御遣い」の力が覚醒したんだね……………
誰かがしっかり抱き締めてくれているけれど、私は眩しい光の中で意識を手放した。
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