66)友達からの贈り物
捜査2日目の夜。
私達はエクレアも一緒に談話室で話し合っていた。談話室は貴族がいれば利用可能だ。
「その場にエクレアがいてくれて良かったよ」
「本当に。ありがとね、エクレア」
「どういたしまして。っていうか、何で昨日私が帰ってから作戦練るのよ?」
「う…ごめん」
「3人をバラバラにさせて狙わせるなんて無謀だし危険過ぎるよ!プリナが誘拐されたこと忘れたの?向こうが本気出したら何しでかすか分かんないよ!?」
「エクレア、落ち着いて。泥付けるような相手だよ?刃物を選ばなかった辺り小心者なんじゃないかと思うよ?」
「うーん、そこがまた意味不明なんだよね…」
「とりあえず泥を付けたのはミサキの仕業じゃないんだよな?」
「うん。本当に知らなかったと思うよ。ね、エクレア」
「まあね。プリナへの悪意は凄まじいけど」
「どの口が「平民なら良かった」とかほざくのかなぁ!馬鹿じゃないの!?」
「馬鹿と言うより嫉妬心と成り上がってやろうっていう野心の塊なんだよ、あの女」
「今日もメリザとポリーが無事で良かったよ。今日も成果無しってことだけど。何も起きないならそれに越した事はないもの」
会話が途切れたところでメリザが持参していた手提げ袋からガサゴソ何かを取り出した。
「この2日間何作ろうか考えて、皆に巾着を作ってみました!良かったら使って!」
テーブルの上にキレイなパッチワークの巾着が置かれた。
「わぁ可愛い!これ貰って良いの?」
「メリザ、ありがとう!ふふ、何に使おうかな~」
「オレ達の分までありがとう!手間がかかっただろ?」
「生地を裁断した時に出た端切れだからパッチワークになっちゃったけど、みんなの事考えながら作ってたら楽しくってあっという間だったよ!皆に何か贈り物したかったからちょうど良かったんだ!」
「ありがとう、メリザ。すごく嬉しい」
「皆でお揃いの物を持てるのもすごく嬉しいね」
よく見ると私のは黒い鳥、ポリーのはおにぎり、カロのはラッパ、イルクのは魚、エクレアのにはチョコレート色のケーキが刺繍してある。
「うふふ、何入れようかなぁ。宝物が良いよね!そうだ、シロップの脱け殻にしよっと!」
「え?」
「…ダメ?」
「あ、ううん!大事に使ってもらえたら私も嬉しい!」
「オレはリード入れようかな。…袋が大きすぎるか」
「もったいなくて使えないよ…!」
「汚したくないもんね…」
「巾着を入れる袋が必要だな」
「ふふ、何それ!袋の意味ないじゃん!」
皆はそれぞれ大切そうにメリザからのプレゼントをしまった。
「…話を戻すけど。プリナは今後は場所を変えた方が良いな」
「教室はまずい?」
「今日はたまたまミサキがプリナが教室に居るのを見付けて近付いて来たんだろ?教室じゃ余計な虫が湧く可能性がある」
「…そうだね」
「教室だと敵も人目を気にして安全だと思ったんだけどね…」
「そっか…。うーん…それじゃあ私は明日はお庭でクロールと遊んでるよ。ベンチもあるし」
「…そうだな。ボディーガード達も隠れやすいし良いかもな」
明日の予定が決まって皆が一息入れる。
しばしティータイム。
「…ミサキはシャルル様と踊りたかったんだね」
「そりゃまぁクラスの女子達は誰もが憧れてるでしょうよ」
「オレがパートナーで悪かったな」
「カロは運動神経が良いし上達も早くて踊りやすいよ?カロこそ相手が私で悪かったね」
「エクレアは気心知れてるから楽で良いよ。レッスン中は超恐いけど」
「そりゃ私が恥かかないように必死だからね!」
私は2人のやり取りを聞きながら落ち込んでいた。
「プリナ?どうしたの?」
「うん…ミサキにはああ言ったけど、本当にミサキがシャルル様にアプローチしてパートナー解消されたらどうしようかと思って…。ミサキのペアは私のことを散々扱き下ろした奴だから。余り者同士でアイツと組まされたら嫌だなぁ…」
「シャルル様があの極悪女に乗り替える訳ないよ!!」
「そうよ!!プリナと踊ってる時のシャルル様はムカつく位楽しそうだったんだから!」
「そうそう!本当にイライラしてくる位楽しそうだったよ!」
「…2人ともシャルル様へのアタリがキツくなってない?」
「そんなことないよ?」
「ダンスの授業中は近くでさりげなくプリナ達を守ってるよ」
「うん!あの女をプリナ達に近付けさせないから!」
「ありがとう!」
今夜の話し合いもお開きの時間だ。
皆それぞれの部屋に帰る。
明日は何か動きがあるだろうか。
そろそろ期末テストの勉強も始めなきゃならないのにな。
そしてテストが終われば終業式が待っている。
シナリオの分岐点となるイベントが。




