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そこそこな幸せで十分です  作者: 蒼川りこ
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60)新たな聖樹と新しい友達

それからの毎日、必死に勉強した。

朝はロベルト様が図書館で勉強されてるので押し掛けて教わったり、放課後も皆で集まって勉強会を開いたり。高校受験の頃のように頑張った!



「良かった~!何とかギリギリ10位以内に入れた…」

「ポリーはさすがだね!」

「うふふ、前世は受験生だったからね」


首位はウィル様、2位がポリー、3位はシャルル様、4位がセルゲイ様、5位にガブリエラ様、6位にダニエル様、7位はカロ、8位がメリザ、9位にイルク、そして10位が私。奨学生全員が上位10番以内に入った。皆頑張ったよ!!


「本当に良かったぁ。支援してくれてる領都に顔向け出来なくなるところだった…」

「プリナちゃん!事件に巻き込まれたり体調を崩したりしたのによく頑張ったね」

「先生!はい、頑張りました!」


かりんとう先生がわざわざ労いの言葉を掛けに来てくれた!やっぱり好きだなぁ…


「プリナちゃんが質問に来る時の顔が絵本を読むのをねだる僕のお姫様にソックリで。目をキラキラさせて可愛かったなぁ」


ああ…私はやっぱり3歳児と同じ扱いですか。そうですか。



テスト終了まで我慢した森の住民に会いに久し振りに森へ行くことにした。今回は平民組メンバーで、王子様達は都合が付かなかった。


「シロップ!会いに来たよ~!」


沼に着いて早速声を掛けるとシロップが沼からあがって来てくれた。


「なかなか会いに来れなくてごめんね!寂しかった?」


シロップはコクンと頷いた。


「か~わいい~!!本当に良いコなんだから!…あれ?シロップ頭をぶつけたの!?」


私がシロップの頭を撫でると頭にコブが出来ていた。触っても痛そうではないみたいだけれど。


「痛くないなら良かった…。おててのリボンはちゃんと付いてるね!これで悲しくないね!」


「プリナ…これ。もしかしたら角が生えかけてるんじゃないか…?」

「えっ角?もうカロってば何言ってるの!シロップは鬼じゃありませんー!」


カロがシロップの頭を撫でながら変な事を言った。蛇の頭に角なんて無いでしょ!!


「イグアナさんにも会いたいけど何処にいるかなぁ」

「どっか食べ物があるところ」

「大ヒントだけど…それじゃ絞れないね」

「ねぇ、シロップなら分かる?」


シロップが首を振った。するとクロールが飛んできてくれた!


「クロール!久し振り!良いコにしてた?」

「カァ」


クロールの頭を撫でるとクロールが近くの枝に飛んで行く。私達を待ってる。


「今日はクロールがイグアナさんまで連れてってくれるの?」

「カァカァ」

「本当!?ありがとう!」


皆でクロールに着いて行くと桃が成っている木を見付けた。これは…

ドスン!


「わぁ!やっぱりイグアナさん!久し振り!」


いつも通り木からイグアナが落ちてきた。


「桃か~うまそう!」

「私達も食べたいね!カロ採って!」

「ハイハイ」


背の高いカロに桃の実を採ってもらって皆で桃を食べた。甘くて美味しい!


「シロップとクロールには名前を付けたんだからイグアナにも付けてあげたら?」

「えぇ?イグアナさんはさすらいの旅人だから」

「は?…とりあえず本人に聞いてみたら?」


私はポリーに言われて桃を食べてるイグアナに聞いてみた。


「ねぇ、イグアナさん。イグアナさんは私が名前を付けたらイヤ?」


イグアナさんは横に首を振ってくれた!


「ホント!?じゃあ素敵な名前を考えなくちゃ!イグアナさんの体は緑色だからミドリンは?」


イグアナはフルフル首を横に振った。お気に召さなかったらしい。


「ミドリーナ。あれ?男の子だったらミドリーノ?」


イグアナがミドリーノに反応した。


「えっ?ミドリーノで良い?」


イグアナさんは今度は縦に頷いた。


「ふふふ、じゃイグアナさんは今からミドリーノね!」

「プリナは結局色から名付けるんだね」

「ネズミファミリーは違ったでしょ?」

「そりゃあ数が多いからでしょうが」

「そうなの!子沢山で困ってるの…もうイチゴまで増えたの。これ以上は名前をどうしたら良いか…」

「平和な悩みだな」


名付けの悩みを話しているとイグアナ改めミドリーノがノシノシ歩き出した。そして数メートル先で振り返る。


「あれ?またミドリーノが私達を何処かに案内してくれるみたい」

「…着いて行こうか」


ワクワクしてミドリーノに着いて歩いて行くとキャベツ畑に出た。


「これを生で食うのか…?」

「キャベツなら生でも食べられるよ?」

「問題はそこ?」


ところがミドリーノはそこで立ち止まらず更に歩いて行く。


「ここが目的地じゃないみたい」

「本当だ…」


広いキャベツ畑を抜けて更に進んで行くと…

そこにはまた新たな聖樹があった。

真っ青な幹と枝に葉っぱ。…間違いなく聖樹だ。


「これはまた綺麗だね…」

「本当…この聖樹もなんて素敵なの」

「…この森には何本の聖樹があるんだよ…」


聖樹の根本にはゾウが寝そべっていた。


「うわぁ!ゾウ!ゾウがいる!!」

「ゾウさん!子どもの頃に動物園に行って以来だよ!!わぁ大きい!!」

「この森マジでおかしいよ…」


私は聖樹に触れて、いつものように幹に抱き着いた。目を閉じると海の中にいるような、水の中にいる感覚がする。


「皆も樹に抱き着いてみて!不思議な感じがするよ!」


皆も幹に抱き着いた。


「…本当だ。不思議…」

「うん…心地良い圧迫感」

「なんだろうね、この感覚…」

「聖樹と一体になってる気がする」


泳いだ後の倦怠感みたいなものがあって、皆でその場で休むことにした。


「聖樹は何でこんなにあるんだろうね」

「本当に今まで見付けられなかったのか…?」

「…なら何で私達はこんなに聖樹を見付ける事が出来たのかな?」

「…ね、ミドリーノ。この森には他にも聖樹があるの?どうして私を案内してくれるの?」


ミドリーノは目を閉じて寝てしまった。

答えてはくれなさそうだ。


「聖樹マップを作りたいけれど毎回道を覚えさせてもらえないからなぁ」

「前にプリナがウィル様に話してたけど、やっぱり森は聖樹を隠してるんだろうね」

「森の住民にしか辿り着けないようにしてるのかも」

「…それが真実だとして。どうしてプリナには教えてくれたんだろうな…」

「森の意思があるのかもね」

「ロベルト様が言ってたけど、プリナはこの国の女神かも知れないよ?」

「はぁ?何言ってるの。この森限定で女神とかおかしいでしょ?って言うか私は何のチート能力もない、ただの、普通の、平凡な、女の子なの!運良く優しい森の住民達とたまたまお友達になれただけ!」

「…もう絶対に平凡じゃないんだけど」

「平凡だってばよ!」


それから私はゾウの背中に乗らせてもらって近くを散歩したり、ゾウが体を揺らして躍り出したので一緒に踊ったりして楽しく過ごした。


「ゾウさんも初対面なのに親切だね…桃を持ってくれば良かった……」

「桃は直ぐ傷んじゃうから仕方ないよ…プリナ?おーい」

「…疲れた…抱っこ」

「あ~ハイハイ」


「プリナ、距離があるからおんぶでも良い?」

「やだ。抱っこ…」

「うーん…仕方ないな…」


「カロ、ゾウさんが背中に乗せてって言ってるよ?プリナを乗せて送ってくれるみたい」

「!?メリザまで動物の言葉が分かるようになったの!?」

「え?…何となく?ゾウさん見てたら分かるよ?」

「普通は分かんないから!」

「…良いなぁ。私も分かるようになりたい」

「あ、ゾウさんがね、カロも一緒にどうぞって言ってるよ?」

「…そうか。ゾウ…さん、ありがとう」


「私達もゾウに乗せてもらえたら良いのにね」

「ん?…えっ本当?わぁ、ありがとう!」

「…メリザ?どうしちゃったんだよ…!?」

「あのね、ポリーの願いを叶えてくれるって!ゾウさんが今から仲間を呼んでくれるみたい!」

「マジか!?」

「メリザまで何かに目覚めた…!!」

「何で突然分かるようになったんだ?」

「え~分かんないよ。何となく?」

「オレも皆の言葉が分かればな…。いざと言う時にプリナを守れるかも」

「カロもきっとその内何となく分かるようになるよ!プリナへの愛があれば!」

「私はメリザよりプリナへの愛が無いって言うの!?」

「違うよ!!これは感覚だから!感覚掴むまでの差があるんだよ!きっと!皆プリナへの愛があるからきっと皆その内分かるようになるよ!」

「…だと良いな」

「私も絶対に分かるようになってやる!プリナへの愛は誰にも負けないもの!」

「オレだって負けない!」

「そもそもプリナへの愛が条件なのか…?」



その後はゾウが本当に仲間を連れて来てくれて、皆でゾウに乗って沼まで帰って来たそうだ。

私はゾウさんの背中に揺られて完全に寝てしまっていたので知らなかったけれど。


食事の時間でポリーに起こしてもらうまで私ゾウと一緒にダンスしている夢を見ていた。






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