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そこそこな幸せで十分です  作者: 蒼川りこ
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59)貴族のあなたと平民の私

「明日には腫れが治まってると良いけど…痛みはどう?」

「…冷やし過ぎて歯がジンジンする。知覚過敏かも」


平手打ちを2発くらった頬を冷やすためのタオルをポリーに変えてもらいながら答えた。


「それにしても…あの女は!!完全に逆恨みじゃないの!!」

「私がその場にいたらギチョンギチョンにしてやったのに…!!」


指の関節をポキポキ鳴らしながらメリザが言った。

本当に返り討ちにしそうだね…。


「あのね、ミサキはさ、貴族に成り立てで必死なんだと思うよ?貴族になっても高位貴族には相手にしてもらえないし、私達と親しげにすれば「元平民」って蔑まされるんだろうし…板挟みなんだと思う。あの子なりに苦労してるんだよ、きっと」

「プリナ…」


私達のクラスは公爵家子息が1人、侯爵家の子息が1人、令嬢が1人、伯爵家子息が3人、令嬢が3人、子爵家子息2人、令嬢が2人、男爵家子息が3人、令嬢が3人、平民が私達5人。

何となくグループは複数個に別れている。

ちなみにエクレアは私達にも優しいので貴族の人達に上下関係無く慕われているのが分かる。堂々と私達と友達だって公言しちゃったもんね。幸いにもエクレアは他の貴族に苛められたりすることもなくミサキよりもよっぽど誰にでも優しい貴族令嬢だと評判だ。良かった!さすがエクレア!


私は平民だから上下関係に疎いけれど、ミサキが高位貴族に見向きもされていないのは何となく気付いてた。面と向かって罵ったりはされないけれど多分見下されているんだと思う。

ミサキはミサキで自分の居場所作りに懸命なのだろう。もちろん彼女の言い分は納得出来ないし殴られた事は許せないけれど。


「ビンタされたのは痛かったけど…あの子のことが何だか嫌えなくなっちゃったんだよね」

「…プリナってば…」


メリザはそっと私を抱き締めた。


「私プリナと友達になれて良かった…」

「ふふ、私もメリザと友達になれて良かった」

「私も!2人と友達になれて良かった!」

「私もだよ~!メリザもポリーも大好き!」


ポリーが来て3人で抱き合う。


「オレも皆と友達になれて良かったよ?」

「イルク!イルクもおいで!」

「イルク!イルクも大好きだよ~!」


今度は4人で抱き合う。


「ったくもう!仲間外れにすんなよ!」


私達4人を抱くようにカロは外側から私達を抱き締めた。

「きゃあ!潰れる!」

「カロも皆も大好き!」


「プリナ、何だったら食べられそう?」

「お粥?」

「お粥はないかなぁ…リゾットならあるかも!食堂で頼んで来るね!」


私は今回も人に見せられる顔じゃないので夕食は部屋で取ることにして、皆には食堂へ行ってもらった。



皆が食事から戻って来て。


カロの過保護が更に加速した!


口の中を切って大きく開けられない私のために飲み物はストローを用意してくれて、リゾットは小さなスプーンでフーフーしながら食べさせてくれようとする。


「カロ…1人で食べられるよ…?」

「いっつも皆に食べさせてもらってるだろ!何?オレじゃ不満?オレじゃイヤ?」

「そんなことないよ!?」

「じゃあいーじゃん。はい、口開けて?」


結局カロに少しずつ少しずつ全部を食べさせてもらった。


子どもの頃、熱出した時はこうやってフーフーしながらお母さんがスープを食べさせてくれたっけ…。


「ふふ、カロお母さんみたい」

「お母さん!?……はぁ」


何で肩を落とすの!?大好きなお母さんと一緒だって言ったのに!


「カロ、今度はお母さんだって。可哀想に…」

「道のりは遠いね。カロ頑張れ」

「またそこの2人!うるさい」



私の食事を終えて、部屋でお茶の時間。私は熱いのが飲めないので常温の麦茶をストローで。


「そのミサキの言い分だと誘拐にはミサキは関わってなさそうだよね」

「うん。今さら嘘はついてないと思う」

「それにしても取り巻きを手駒と言うなんて…やっぱり最低な女だな」

「誘拐は誰が主犯だったんだろうね」

「男はプリナが知らない奴だったんでしょ?」

「うん」

「教科書やった奴と同一犯なのかな?」

「…プリナは今回の事故の件、ミサキの自作自演だって皆に言わないの?」

「言わない。どのみち証拠はないんだし、一応は事故で解決したんだもん」

「でもミサキの派閥の奴らにはこれからも睨まれるかもよ?」

「まあね。それはしょうがないよ」

「クラス会議の雰囲気だとロベルト様はミサキの仕業だって気付いてそうだったけどね」

「ロベルト様は何で気付いたんだろうね?」

「同じ腹黒だから見抜けるんじゃない?」

「イルク!ロベルト様は一応恩人なんだから!」

「プリナも一応って付けてるじゃん」


「…まぁミサキもしばらくは大人しくしてるって言ったんでしょ?当分は平和に過ごせるかも知れないよ?」

「だと良いね…」

「もうすぐ中間テストだしね、皆もそれどころじゃないでしょ、きっと」

「中間テスト…?」

「プリナ…まさか忘れてないよね?」

「うん。今思い出した!」

「それを忘れてるって言うんだよ!!」



うわぁ!ヤバい!マズイ!!

色々事件が起こりすぎて学生の本分を忘れてました!!






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