55)特別扱いは困ります
雪を被ったように真っ白な聖樹。
日差しを浴びてダイヤモンドのようにキラキラと輝いている。
真っ赤な聖樹も美しかったけれど、この樹もまた特別な美しさがあった。
私も、他の皆も見惚れてその場からしばらく動けなかった。
私は聖樹にそっと触れてみた。白樺のようにスベスベな木肌。
ホッソリした幹も枝も繁る葉っぱも真っ白だ。
感触を確かめてから抱き着いてみた。
「気持ち良い…」
真冬に日向ぼっこするような幸せな感じ。
うっとりと浸っていると声を掛けられた。
「…プリナ様」
「…?プリナ、さま?」
ロベルト様が膝を折って騎士が忠誠を誓う姿勢を取っていた。
「えっ、な、何なんですか!?一体どうしちゃったんですか!?」
私が慌てて駆け寄るとウィル様、ダニエル様、シャルル様、セルゲイ様も同じポーズを取った。
「皆して何やってるんですか!!立って下さい!!」
「プリナ様。貴方のお陰で私達は聖樹を見付ける事が出来ました。貴方は私達に…いいえ我が国にとってとても大切な方です。心より感謝いたします」
「イヤイヤイヤ、待って下さい!聖樹に案内してくれたのは森の住民達ですよ!?私は何もしてません!!」
「いいえ。貴方のお導きがあったからこそ私達は長年探し求めていた聖樹に出会えたのです」
違うよ!?絶対に違う!!
私は何もしてないってば!!
聖樹ってそんなに特別なものなの!?
「皆…何とかしてよ!?」
メリザ達に助けを求めたけれど皆は首を振るだけ。
「…ウィル様達は感動してるだけだよね?」
「感動してるのは間違いないけど、プリナを神と崇め奉っても仕方無いよ…」
「プリナが居なければ見付けられなかったのは事実だし」
「森の住民達とお友達になれたら誰でも案内してくれるのかもよ?」
「…そもそも友達になれると思わないし、相手も友達だと思ってくれないよ、普通」
ロベルト様は熱の篭った眼差しを向ける。
…気持ち悪い。
「プリナ様は我が国の至宝!私達にとって女神のような方です!」
「ちーがーいーまーすー!!私は平凡な普通のただの女の子ですー!!」
「平凡に拘るな…」
どうしてくれようか、この人達は!!!
「感謝するなら私じゃなくてシロップやイグアナさん、トラさん達にして下さい!!私が何かした訳じゃないです!私は皆と友達になっただけ!!特別なのは森の住民のみんなです!!!」
何とか王子様達を立ち上がらせて森の住民達と友達になれるように皆で遊んだ。
最初は怖がっていたけれど少しずつ仲良くなって皆もシロップに抱き着かれるようになった。
帰り道。
いつものように森の住民達は沼まで送り届けてくれた。
私はカロの背中でぐったりしていた。
精神的に疲れた…。
「ねぇ。やっぱりロベルト様が居たから白い聖樹を見付けられたのかな?」
「…そうかも。ロベルト様がキーパーソンだったのかもな」
「ねえプリナ。私達もプリナ様って呼んだ方が良い?」
「やめて」
「聖樹、綺麗だったね」
「うん。…これもイベントだったのかな?」
「分からないね…。もうシナリオとは別物なのかも」
「でもロベルト様ルートでは白い聖樹を見付けるのは重要だった訳でしょ?私達で1つ条件達成したんじゃない?」
「隣に主人公が居ないよ?」
「…あぁ~そうだね~。私達が見付けちゃった事で主人公が覚醒出来なくなったりして」
「性悪女のミサキが本当に精霊の御遣いになれると思う?」
「やっぱりプリナが代わりになれば?」
「私はただの普通の女の子だってば」
私は何も変わらない。
だから皆も変わらないでね。




