46)遊ぶ時は全力で!
食事会まで私達はプレールームで過ごすことにした。
まだ執務が残っていたウィル様とダニエル様以外のメンバーで鬼ごっこをしようという事になった。広いとは言え室内なので遊びやすいルールで。
「氷鬼にしよう!」
「氷鬼?」
「鬼に捕まった人は凍っちゃって動けないんだよ~。全員凍らせたら鬼の勝ち!」
「仲間がタッチするまで凍っててね!」
「じゃんけんぽん!」
「プリナが鬼ね!」
「プリナはじゃんけんも弱いな」
「ホント。そこも可愛い」
「この人数で一発で決まるんだもんね」
「もう皆うるさい!じゃ10数えたら行くよ!いーち!にーい!さーん!…」
シャルル様、セルゲイ様、ロベルト様は紳士だから敢えて捕まってくれたような気がする。
「…はい!タッチ!もう逃げて良いですよ!」
「カロ!大人しく捕まって!」
「やだよ~!…はい、タッチ!これでダニエル様も動けますよ!」
「ありがとう」
「も~またぁ!?これじゃ終わらないよ!」
「プリナ~!鬼さんこちら♪」
「…ポリーも意外と逃げ足早いよね!?」
執事さんが呼びに来るまで私はずっと交代出来ずに皆を追い掛け続けた。
「…良い運動になったな」
「つ、疲れた…」
「シャルルはもう少し体力付けた方が良いぞ」
「ずいぶんと楽しく過ごしたようだな」
「皆で氷鬼と言う鬼ごっこをしたんですよ」
「プリナがずっと鬼でした」
「プリナに追い掛けられるのか。…良いな」
「次はウィル様もやりましょう」
前回からかなり打ち解けられたのでとても和やかに食事会は進んだ。
談話室では少し落ち込んで見えたウィル様もとても楽しそうだ。
食事会の後はかくれんぼをした。
ウィル様は自分も鬼ごっこをしたいと言ったけど走り回るのはもう疲れたから嫌だとシャルル様やロベルト様に反対されたのだ。
公正なじゃんけんの結果、鬼はカロに決まった。
「ふっふっふっ、私かくれんぼは得意なのよ!」
「ちっちゃいからな」
「違ーう!かくれんぼは高度なテクニックが必要なの!頭脳戦なのよ!」
「テクニックねぇ…」
「直ぐに見付けてやるよ」
「隠れる範囲はこのフロア一帯だ。じゃあ1分後に始めるぞ!」
「よし、隠れろ!」
えーと、何処に隠れようかな?クローゼットの中じゃすぐに見付かっちゃうし。綺麗に整頓されてるから意外と隠れる場所が見付からない。
「あ、ここにしよう!」
私はリネン室にあった大きな籠の中に入ってシーツやタオルに埋もれるようにした。
息を殺してじっと隠れる。
廊下を走る音が聞こえる。
「シャルル様が見付かった!あ、セルゲイ様も。やっぱり髪色が目立つからなぁ」
外をパタパタ走り回る音が聞こえるけれど近付いてくる気配は無い。ふふ、難航してるぞ。かくれんぼは得意だって言ったでしょ!
かなり時間が経った気がする。あと見付かってないのは誰なんだろう?足音が増えたみたい。
「眠い…」
そうだ。今朝は早起きしたんだっけ。
シーツやタオルに包まれてヌクヌクしてきた。
早く私を見付けて…。
「プリナ!…やっと見付けた」
「…寝てるぞ」
「朝早かったから寝不足なのよ。いっぱい走ったし疲れたのね」
「シーツとタオルに埋もれてハムスターみたい。可愛い…!」
「プリナ~起きろ~」
「…ダメだ。完全に寝てる」
「起こすの可哀想」
「どうやって籠から出すんだよ」
「…僕が彼女を出そう。僕が一番力がありそうだ」
「セルゲイ様。…お願いします」
セルゲイがヒョイと持ち上げた。
「…起きないな。このまま部屋へ連れて行こう」
「セルゲイ、丁重にな」
「もちろんです、ウィル様」
「…しかし女性とはこんなに軽いものなのか?それに良い匂いがするし柔らかくて壊れてしまいそうだ…」
「セルゲイ!卑猥なことを考えるな!!」
「!ち、違います!殿下!!私は女性に触れるのは初めてでして…!誓って卑猥なことなど!殿下!?本当です!!」
「邪なこと考えるなよ~」
「ダニエル!!だから僕は決して…」
「プリナが起きちゃうんで。皆さんお静かに」
「…私もプリナを運べるように明日から鍛えよう」
「…僕も体力付けます」
「…ねぇ、ポリー。まさかセルゲイ様にもフラグ立った…?」
「どうだろうねぇ。真面目で堅物な人が初めて女の子に触ったらあんな感じになるんじゃない?」
「…だと良いけど」
「何だかんだでプリナは結構お姫様抱っこされてるよね~」
「ね。なのに本人はヨーカン先生しか覚えてないんだもんね」
「…みんな。頑張れ」
私はまたしても寝落ちたのでした。




