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そこそこな幸せで十分です  作者: 蒼川りこ
35/137

35)欲しいのは敬愛より友情

聖樹(仮)のお膝元にて休憩中。

私の膝でイグアナが寝てる。私はイグアナの頭を撫でながらボンヤリしていた。

水筒の水を飲むとウィル様が話し掛けてきた。


「今日はありがとう。プリナのお陰で聖樹も見付けられた」

「赤い聖樹じゃありませんでしたけどね」

「それでもこれ程見事な樹だ。プリナ達が居なければ見付ける事は出来なかっただろう。心より感謝する」

「殿下、そろそろ日が暮れます。戻りましょう」

「ああ、そうだな」


皆も立ち上がって出発準備を始める。


「プリナ、疲れたろ。背中に乗れ、ホラ」


イルクが私の前にしゃがむ。


「疲れてるのはメリザもポリーも同じだよ?」

「私達は大丈夫!プリナは甘えなさい」

「そうだよ、ウィル様達の前で甘えん坊モードに入ったら大変!」

「甘えん坊モード?なあに?それ」

「あ~良いから良いから!プリナは素直に背負われてちょうだい!!」


皆に言われて素直にイルクにおんぶしてもらう。

恥ずかしいけど楽チンだ。


「イルク、ありがとう」

「ん」


イグアナさんが歩き出す。そしてまた振り返る。


「帰り道は分かるか?」

「またイグアナさんが教えてくれるみたい」


行きと同じように皆でイグアナを追いかける。

イグアナさんのペースに合わせてユックリと。


「また此処に来れると思うか?」

「どうでしょうね。森に入るといつも違う場所に連れて行かれますから」

「前にプリナが言っていたように、森がわざと辿り着けないようにしているのかも知れません」

「そうか…」


「こないだはトラさんにラベンダー色の聖樹に連れて行ってもらいました」

「トラだと!この森はそんな危険な獣がいるのか!?」

「トラさんは危なくないですよ?聖樹に案内してくれたし帰りも知ってる場所まで送ってくれました」

「聖樹の話も初耳だぞ?」

「言ってませんから」

「殿下、この森は立ち入り禁止にした方が良いかも知れません」

「そうだな…。ロベルトにも相談しよう」

「そんな、困ります!ヘビさんやイグアナさんは私の友達です!友達に会えなくなるのは嫌です!」

「プリナ達は森へ入るのを認める。プリナ達にしか見付けられない物も多そうだ」

「良かった…。ありがとうございます」


「今日は本当に楽しかった。また一緒に森に行ってくれるか?」

「もちろんです」

「ありがとう。…友達というのは良いものだな」


ウィル様はとても嬉しそうに言った。


「ダニエル様やセルゲイ様もウィル様のお友達じゃないですか」

「私が殿下の友人などとは!畏れ多い事にございます!」


直ぐ様セルゲイ様が否定する。


「それじゃウィル様が可哀想ですよ。私達は学生です。今はまだ友達で良いと思います」

「…プリナの言う通りだ。子どもの頃は私をウィルと呼んでくれていたではないか」

「殿下…」

「学園では昔のように私をウィルと呼んでくれ」

「…はい。…ウィル様」

「畏まりました。…ウィル様」


ダニエル様もセルゲイ様も一瞬躊躇っていたみたいだけれど、笑顔のウィル様を見て2人も嬉しそうに笑った。


イルクの背中は暖かいな…。

このまま眠っちゃいそうだ。


「イルク」

「ん?」

「もし私が寝ちゃったら、イグアナさんにお礼伝えておいてくれる?」

「ん、分かった。…お休み。プリナ」

「まだ寝ないもん」



「プリナや、君達と出会えて良かった」

「オレらもウィル様と出会えて良かったです」

「ありがとう。これからも良い友達でいて欲しい」

「もちろんです」


皆の話し声がだんだん遠くなる。


「イルク、交代しようか?プリナ寝そう」

「ん?まだ平気」

「君達はプリナが本当に好きだな」

「はい!大好きです!」

「危なっかしくていつもハラハラさせられるけど…私達はプリナが大切です」


メリザ達が嬉しいことを言ってくれてる…。

幸せだなぁ………………



「あ、寝た」

「朝まで寝ちゃうかな?」

「明日も学校だし後で起こすよ」

「今日は甘えん坊モードに入る前に手を打てて良かったよ」

「何だ?甘えん坊モードと言うのは」

「何でもないです!」

「ええ!ウィル様は気にせずいて下さい!」


「この後の夕食は一緒にどうだ?」

「ウィル様とご一緒なのはさすがに…他の生徒達から睨まれてしまいます」

「そうなのか?…面倒だな」

「君達と過ごせるように何か対策を考えよう。僕も君達と一緒にいるのはとても楽しい」

「オレも。ウィル様も嬉しそうだし。メリザ嬢、ポリー嬢とも仲良くなりたいし?」

「ダニエル様ってそういうキャラなんですか?」

「残念キャラだとは思わなかった…」

「残念キャラって何だよ!?オレだって貴族の間ではメッチャ人気あるんだぞ!?」

「自分で言うとか」

「お前達はどんな男がタイプなんだ?」

「私達より貴族のお嬢様で探して下さい」

「冷たいな!」

「…プリナが起きちゃうんで。ダニエル様静かにして下さい」

「……プリナを好きになってやる」

「止めてくれ」

「それは止めて!!」

「だから貴族でお相手見付けて下さいってば!!」

「だ~か~ら~、静かにって言ってるだろ!メリザ達も相手にすんな」

「カロ殿が一番容赦ないな…」




私は皆が騒いでいることも知らず、幸せな気持ちのまま夕食の時間まで眠っていた。




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