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そこそこな幸せで十分です  作者: 蒼川りこ
33/137

33)探検隊の新入りです

ランチを済ませて部屋で着替える。

動きやすいキュロットスカートはメリザが街の生地屋さんで生地を買ってきて手縫いで私達のために作ってくれたものだ。


「この世界にもジャージがあればなぁ」

「ジャージか…確かに動きやすくて良いよね」

「せめてデニムはないのかな?」

「探せばあるかも知れないけど、この世界は女の子のパンツスタイル文化が無いよね。女性もズボンを穿く職業はないのかな?」

「キュロットスカートが精一杯だもんね」

「乗馬の衣装は女の子もパンツスタイルじゃない?」

「!じゃあ今度買ってみる!」

「でも白だよ?汚れちゃうよ」

「…なくはないって分かっただけでも良いじゃん」

「今度街で探してみよう!」


森の入り口で皆で待ってるとウィル様とダニエル様と青い髪の人がやって来た。うわぁ王子様すっごい笑顔だ!尻尾が生えてればブンブン振り回してるわ、きっと。


「すまん、待たせたな」

「よう!プリナ嬢。先日は失礼した」


ダニエル様が挨拶する。今日は喧嘩腰にならないと良いけど。


「お初にお目にかかる。私はセルゲイ・サファイアニス。殿下の護衛だ。よろしく頼む」


青い人が挨拶してくれる。


「初めまして!私はプリナ・リンカ、ゼノンド領ヒルド村出身、ぜんせ」

「オレはカロト・モグワンです!」

「初めまして!メリザ・シルグアと申します!」

「あの!イルク・ダナールと言います!」

「私はポリー・ヘレスですわ!」


皆一斉に挨拶した。こないだ攻略キャラと友達になろうって話したばっかだもんね!皆超ヤル気だね!


「それじゃあ出発しまーす!」


皆で探検スタート!

前をカロとイルク、続いて私とメリザとポリーが歩こうとするとウィル様が手を差し出した。


「プリナ嬢、手を」

「はい?」

「君はいつも誰かと手を繋いでいるだろう?だったら私でも良いはずだ」

「殿下…」

「さぁ。プリナ嬢」


どうしよう。王子様から言われたら誰も断れない。仕方なく手を取るとウィル様はフワッと微笑む。やっぱり美少年、ブロマイドにしたら絶対に売れる!


「…行きますよ」


カロとイルクを先頭にメリザとポリー、セルゲイ様、私とウィル様、最後尾をダニエル様の並びで森の中を進む。


「プリナ嬢!あれは何だ?」

「あれはバナナの木ですね~。ほら、上にまだ青いけど実がなってますよ」

「プリナ嬢!見ろ、珍しい花が咲いてるぞ!」

「あれはどこにでも咲いてるタンポポですよ~」

「うわっ!何だ、この虫!プリナ嬢、知ってるか?」

「モンシロチョウですね~珍しくないですよ」


ウィル様は初めての遠足に浮かれてる園児みたい。目に映るモノ全てが目新しいらしくて瞳をキラキラさせながら1つ1つ聞いてくる。保育士さんの気持ちがちょっと分かった。


沼に到着した。


「ヘビさーん!こんにちは~!」


私が呼んでしばらくすると沼の中から白蛇が出てきた。


「うわぁぁぁぁぁ!!!!」

「うぉぉぉ、で、デカイ!!」

「殿下!お下がり下さい!!」


セルゲイ様が剣を抜く。ダニエル様は腰を抜かしたみたい。


「落ち着いて下さい!大人しい良いコですから!驚かさないで!」


白蛇は口にリボンを咥えてる。


「あぁ、ほどけちゃったんだね。待ってね、今着けてあげる」


リボンを受け取ってもう一度頚に結んであげた。そのまま白蛇は陸に上がってションボリする。


「泳いだら外れちゃうのは仕方無いよ?ほどけちゃったら何度でも結わいてあげる!だから気にしないで沼にお帰り。ヘビさんが水に入るのを我慢して干からびちゃったら、そっちの方が悲しいよ」


白蛇が私の顔を見上げる。頭を撫でて


「大丈夫、汚れちゃったらまた新しいリボンをあげるからね!」


すると白蛇が私の体に巻き付いてギュウギュウ絞めてきた!うわ、苦しい…!


「きゃあ!!プリナ!!大丈夫!?」

「…くっ、こ、これがホントのヘビ固め……」

「プリナ!冗談言ってる場合か!」

「プリナ嬢!今助ける!」

「や、止めて…このコ喜んでるだけだから…」


白蛇が体を緩めた。やっと息が出来る…。 またションボリさせちゃった。


「大丈夫だよ、嬉しくって抱き付きたかっただけだもんね?私も大好きな人にギュウッて抱き着きたくなるもの!ヘビさんは私が大好きなんだよね?私もヘビさんが大好きだよ!」


今度は私が白蛇を抱き締めてあげた。白蛇は頬擦りしてくれる。可愛い!!


「あ、ヘビさん、こちらはこの国の王子様のウィル様だよ!私の新しいお友達。で、こっちの緑の人がダニエル様、青い人がセルゲイ様だよ。仲良くしてあげてね」


白蛇はペコリと頭を下げた。ウィル様達も咄嗟にペコリと挨拶した。セルゲイ様は腰を抜かしたままだけど。


「じゃあヘビさん、またね!」


また歩き出す。


「…プリナ嬢」

「何ですか?」

「君はいつもこうなのか?」

「?何がですか?」

「大蛇と…いつも抱き合っているのか?」

「ヘビさんは私の友達ですから」

「大好きな人には抱き着きたいと言っていたな」

「はい!いつだってメリザやポリー、カロやイルクにギュウッってしたいと思ってますよ!」

「プリナ…」


皆が頬を染める。


「…では私に抱き着いても良いぞ?許可する」


ウィル様が両手を広げる。また満面の笑みだ。


「はい?」

「殿下…」

「…私今ヘビさんと抱き合った身体ですよ?大丈夫ですか?」

「…グッ」


ウィル様の両手が下がる。


「ウィル様がヘビさんとお友達になってヘビさんと抱き合えるようになったら考えます」

「……………善処する」


「プリナが王子様をあしらったぞ…!?」

「ぽっと出の王子様が図々しい!」

「ああ、ウィル様の頭にフラグが見える…」



まだまだ探検はこれから。


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