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そこそこな幸せで十分です  作者: 蒼川りこ
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31)会議という名の雑談

明けましておめでとうございます!


結末まで頑張りますので、どうか最後までお付き合い下さいませ。


本年もよろしくお願いいたします!!

ランチの時間になったので食堂へ行く。

あ、ウィル様が満面の笑顔でこっちに来る!

お願い!!誰か止めて!!

あ、悪役令嬢ガブリエラがウィル様の足止めしてくれてる!ウィル様も婚約者を無碍には出来なくて諦めて対応してる。あれは営業スマイルだね!前世でよく見たよ。ガブリエラ、グッジョブ!


「プリナ、全部声に出てるよ」

「ウソ!?」

「心の中だけにしておきなよ…。気持ちはまぁ分かるけど」


ウィル様から従者経由で私達と森の探検がしたいと要望があったのだ。今日は私が病み上がりなので皆が断ったのだけれど、明日の午後から森に行きたいと強い申し出があった。王子様は多忙なので時間が取れるのが入学式当日のみで、それ以降はスケジュールがかなり先まで埋まっているのだとか。皆で話し合って「明日は大丈夫」って返事をしたのが耳に届いたのだろう。


ウィル様と一緒の姿を他の人達に見られたら平穏な学校生活を送れない!


私達はイソイソと食堂を出た。



『何それ!!もしもこの場にゲームの製作者がいたら絶対に怒り狂うよ!?』


午後、エクレアが部屋に来てくれて今までの経緯とこれからの私達の方針について話した。


『それにしても良いな~プリナ!私もウィル様から友達になりたいと言われてみた~い!!』

『エクレアなら貴族だし友達になろうと思えばなれるんじゃないの?』

『ガブリエラがいる限り無理に決まってるじゃない…。家に縛られない平民のプリナだからこそ出来たことだよ』

『ウィル様良い人そうだし身分とか気にしないんじゃない?友達になって下さいって言えばなってくれるよ』

『プリナが特別なだけだって…』

『そんなことないよ、ね?皆も友達だもんね!』


皆に同意を求めたのに、皆が首を振る。


『プリナは特別。例外。規格外』

『人を珍獣扱いしないでよ!』

『珍獣っていうか特別天然記念物?』

『そうだね、国で保護が必要かも』

『何それ!私はどこにでもいる普通の女の子だよ!?』

『あ~ハイハイ。ソウデスネ~』

『プリナが特別天然記念物であることはさておき、今は重要な話があるでしょ!』

『そうだった』


さておくな!…とは思うけれど、エクレアにゲームの話を聞かなきゃいけなかったんだった!


『先ず最初にバッドエンドに関していうと、どのルートでも災害は防いで終われるからそこまで心配しなくても平気よ。主人公と攻略キャラが結ばれないだけ』

『そうなの?良かったぁ』

『途中までは普通に学生生活で好感度を上げてく感じ。で分岐点が夏休み前の終業式パーティー。ここでどのルートに進むか決まるの』

『なるほど』

『パーティー中にガブリエラの悪意で階段から突き落とされそうになる主人公を庇って攻略キャラと一緒に落ちる時に相手を助けるために「精霊の御遣い」の力が覚醒するの』


攻略経験がある皆は思い出してるのか頷いて聞いてる。


『夏休みは攻略キャラと精霊の御遣いのレッスン、後は学園イベント』

『フムフム』

『冬から国の状況が悪化するわ。ウィル様ルートだと森の木々が枯れ出して、王都の森も枯れ始めて聖樹も枯れ始める。怒った業火の鳥が全土を燃やし尽くそうとするのを精霊の力を借りて森を助ける』

『国を救う女神だね!』

『まあね。どのルートも国の危機を救うんだけど。ハッピーエンドならウィル様に全校生徒の前で告白されて、バッドエンドだと国政に進んで行く王子に別れを告げられて終わり』


バッドエンドと言うか、常識的に考えたら普通の結果じゃない?


『ダニーは大吹雪を精霊の力を借りて止める、シャルルは雪が止まなくなるのを精霊の力を借りて春を呼ぶ、ロベルトは氷に閉ざされてしまうのを精霊の力を借りて溶かす、セルゲイは病が流行するのを精霊の力を借りて食い止めるの』

『…どれも深刻だね…』


エクレアは頷く。


『ルート選択しないことで何が起こるのか分からなくなるよ?それでもやるの?』

『…うん』


『オレらが今から動くことで災いを防げるかも知れないし』

『主人公のミサキの行動を見張ってれば守れるかも知れない』

『とにかくあのミサキって女が嫌いだ』

『プリナに酷いことを言ったんだよ?私達の敵よ!あの性悪女の邪魔をしてやる!!』


皆も私も私情が入ってます。


『私もゲーム内容はうろ覚えだからさ、ザックリとした説明でごめん』

『そんなことないよ!国が滅んだりしないと分かっただけでも安心したよ』


エクレアがお茶を飲んで長く息を吐いた。


『プリナが会ったイグアナとかホワイトタイガーなんてどのルートにも出てこなかったよ。聖樹も』

『そうなの?じゃあどうして森にいたんだろうね?』

『かなりシナリオ上の重要なキャラに見えるけどな』

『…普通の森にいるような生き物じゃないもんね』

『聖樹もこの世界のキーアイテムな気がするよな』

『まぁゲームはあくまでも主人公と王子様達との恋愛がメインだから。あとは主人公がチート能力で都合良く災害を防ぐってだけで、精霊の御遣いの力が何で強大なのかまでは説明もないんだよ』

『あんな性格悪くて精霊が協力してくれるのかって話だな』

『そもそも精霊って何なんだろう…皆は見えるの?』

『見えないよ?見えるモンなの?』

『精霊が見えます~って人、見たことも聞いたこともないんだけど』


『前世の話だけどね、お祖母ちゃんの家に行くと山の神様とか海の神様とか土地神様だとか色々教えてくれたし、山には祠があって手を合わせたりお地蔵様にお供えしたり、あちこちに神様がいてくれて皆を守ってくれてるんだと教わったの。だからこの世界の精霊も同じようなモノだとずっと思ってたんだ』

『日本には八百万の神様がいるからな』

『確かに考え方は似てるかもね』

『うん。…なのに何で災害が起こるんだろう?バチが当たるような事をしちゃうのかな?』

『災害は神様にも防ぎようがないんじゃない?』

『どうなんだろうね…』


会話が途切れる。


『災害が起こるのは冬だしゲームは1年生が終わるまでなんだ。だからこの1年が勝負だよ』

『じゃあ引き続き情報を集めて、私達は学生生活をエンジョイすれば良いね!』

『プリナの言う通り!私達が国を救う訳じゃないし』

『ウィル様以外のキャラとも友達になって皆でこの国を守ろう!私達は王子様達の応援団になろう!』

『おーっ!!』



結論。学生生活を楽しむ。攻略キャラ達と友達になる。精霊や聖樹について調べる。以上。


エクレアが部屋に戻ると言うので話し合いはお開き。


『…ここにゲームやり込んだ人間がいないのも不思議な話だよね。どっかに完全攻略した人がいないのかな?』

『他の転生者の可能性か。もしいたら学生生活で知り合えるかもな』

『学校が始まったらもっと一緒にいられると思うわ。また女子高生をやれるんだと思うと楽しみなんだよね!』

『ふふっ。そうだね、楽しんじゃおうね!』


笑ってエクレアは出ていった。出会った時は修道院送りになる未来に怯えていたのに、これから始まるゲームを楽しみに出来るようになっていたのが嬉しい。


「私も部屋に戻るよ。夕食の時間になったら迎えに来るね」


メリザが出て行こうとする。


「やだ。行かないで」

「え、プリナ?」


メリザに抱き付く。


「行っちゃダメ。プリナと一緒にいて?」



「ヤバい!!プリナがお疲れモードだぞ!?」

「何で!?プリナまた熱が振り返したのか!?」


皆が何故か慌て出す。


メリザは私をギュウと抱き締め返してくれる。


「分かった!私はずーっとプリナと一緒にいるからね!」

「エヘヘ。メリザだーいすき!!」

「私もプリナだーいすき!!」

「メリザ、ズルい…」

「プリナを寝かせた方が良いんじゃね?」

「朝から色々あっていっぱい考えて疲れちゃったんだね」

「いきなり甘えん坊モードに入られるのは厄介だな…」


私はメリザと抱き合って目を閉じる。


「メリザ、良い匂いがする。だーいすき……」



「寝たな」

「このまま寝かすか。メリザ、もうプリナから離れても大丈夫だよ。部屋に戻るんだろ?」

「いいよ。プリナが起きるまでこうしてる」

「私が代わってあげる!部屋に帰りたかったんでしょ?」

「今動いたら可哀想。部屋に戻るのは夕食後でも大丈夫だから気にしないで」

「ズルいよメリザ…」

「次はきっとポリーの番だよ。今は私にプリナを独り占めさせてね」

「もう絶対プリナの側から離れない!」

「プリナを疲れさせないようにするのが大事だろ?」

「私もプリナに甘えられたい…添い寝もしたい」

「…オレらは部屋に帰るわ。メリザ、良い?」

「うん。私とプリナを2人きりにしてくれて良いよ?」

「…それはダメ」




私が夕食の時間に起こされた時には皆が未だ部屋にいてくれていた。私が寝ている間に皆で何話してたんだろう?置いてきぼりはちょっと悔しい…。








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