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そこそこな幸せで十分です  作者: 蒼川りこ
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23)プリナと皆の小さな冒険

メリザ達が迎えに来てくれるまで小一時間部屋で転た寝してスッキリ出来た。筋肉痛もお風呂とメリザのマッサージと転た寝のお陰で良くなったみたい!ランチはまたエクレアとも合流して一緒に食べた。


『ダニエル様もいたの!?私も間近で見たかった~!!』

『エクレアはロベルト様が好きなんじゃないの?』

『イケメンは大好物なのよ…』


イケメンは食べ物ですか?


『ところで森の聖樹について私も前世のゲームの情報を思い出してたんだけど…赤い聖樹なんて出てこないのよね』

『そうなの?』

『確かロベルト様ルートで主人公が森の中で聖樹を見付ける話は出て来るんだけど、葉も幹も真っ白な聖樹だったはず』

『真っ白?それは本当?』


ロベルト様を攻略したイルクが口を挟む。


『そういや出てきた気がするよ。主人公が苛められて森の中に捨てられて迷ってるとロベルトが探しに来てくれて、2人で白い聖樹を見付けるんだよな』

『さすが、よく覚えてるね!』

『スチルがあったから思い出せた。彼女がスクショ撮って待受にしてたんだよ…』


ああ、ゲームの代理攻略をさせた彼女ですか。

エクレアはウンウンと頷くと話を続ける。


『あと赤い鳥と言うとゲームの終盤で出てくる「業火の鳥」位なんだよね。でもボスキャラ的な存在で業火の鳥が国中を火の海にしようとするんだけど、主人公と王子様が協力して精霊の力を借りて被害を食い止めるの』

『だったら私が会った鳥さんじゃないんじゃないかなぁ。優しいコだったもの。赤いだけの別の鳥だと思うよ?』

『それはどうか分からないけど。でも怒らせたら恐い鳥なのかもよ?』


そんな恐ろしい事が起こるのか。国中燃やされるなんて私達だって命の危機じゃない!これは主人公に頑張ってもらわねば!


『じゃあ私が見付けた樹とか鳥さんはストーリーには関係無さそうだね。気にしなくて良さそうだね』

『ゲームには出てこないけど無視して良いのかどうかは何とも言えないな』

『プリナを放っておくと何だかどんどん余計な物を見付けそうだな』

『そうだね。やっぱりプリナは単独行動禁止ね』

『何でそうなるの!?』


私がブーブー文句を言ってるとエクレアが更に話を続ける。


『そうそう、白蛇もシャルル様ルートに出てくるよ?苛められているヘビを主人公が助けてあげて、ヘビがお礼に鱗を主人公にくれるの。その鱗が後で嵐を止めるキーアイテムになるんだよ』

『私が貰ったのは脱け殻だからこれもゲームに関係無さそうだね。良かった~』

『鱗よりパワーありそうだけどな』

『身を挺してヘビを助ける主人公を見てシャルル様が「何て心の優しい娘なんだ」と言って2人の距離が縮まるの』

『言われてみれば、そんなイベントがあったような…「ヘビなんて普通は怖くて触れないし主人公すごいわ」って思いながらやった覚えがある』

『ゲームはどうでもいいとして、私ヘビさんを沼に帰しちゃったけど良かったのかな?主人公と出会ってくれないと嵐を止められなくなっちゃうの?ヘビさんに頼んで来てもらった方が良い?』

『うーん…いつ起こるか分からないイベントだからなぁ。まだ学校も始まってないのにヘビにずっと主人公と会うまで居てもらうの?それにゲームの中では普通の大きさだったよ?プリナの前で大蛇になったんでしょ?大蛇が見付かったらそれこそ大事件だよ』

『そっかぁ…。じゃあ白蛇さんも別の個体がいるのかも知れないし放置しておこう』


それから私は皆をぐるりと見回した。


『この中で緑の人を攻略した人~』

『私だよ』


ポリーだったか。


『緑の人って超感じ悪かったけど!ロベルト様と大違いだったね!何であんな奴が攻略対象なんだか!』


ポリーは頬をピンクに染めて


『ダニーは基本的に俺様なのよ。それが苛められても笑顔を絶やさない健気な主人公にいつしかデレるようになるんだよ~。デレるダニーは激萌えよ~ウフフ』


ダニーって呼ぶんだね。そう言えば俺様キャラだって言ってたね。私は偉そうな人好きになれないな。俺様なんて現実で知り合ったら嫌われるんじゃないかなぁ。


『プリナはロベルト様みたいな人が好きなの?』

『優しいじゃない。いつも穏やかで感じ良い人だからそりゃ好印象だよ』

『確かに優しげだけどゲームじゃ腹黒キャラだから。見た目に騙されんなよ~?』


ああ、イルクはロベルト様を攻略したんだっけ。


『そうなの?人は見掛けによらないね~』

『でももうプリナは気に入られちゃったよね?名前も覚えられちゃったし。あまり関わらないようにこれから気を付けてね』


それから皆で食堂を出て学園内の緑の聖樹を見に行く。エクレアは「日中外を出歩くのは事前準備が必要だから今回はパス」と言って部屋に戻った。さすが貴族のお嬢様。


エクレアと別れて外に出て皆とノンビリ歩く。カラスと散歩途中に見付けたんだよね。

昨日と同じルートで歩くと聖樹があった。


「わぁすごーい!でっかーい!!」

「綺麗だねぇ!」

「抱き付くと暖かいんだよ!」


私は昨日と同じように樹に抱き付くと皆にも勧める。


「何人で囲めるかな?」


カロとイルク、メリザ、ポリーと皆の手が繋がった。


「縄文杉を思い出すな」

「カロは実物見に行った事があるの?」

「あるよ。自分がいかにちっぽけな存在かが分かって悩みなんかどっか行ったよ」

「へぇー。私も見てみたかったな…」


カロが繋いでいた手に力を籠める。


「ここで見れたんだから良いじゃん」

「ふふふ、この樹は杉じゃないけどね」

「気持ちいい…」

「本当だ…。暖かいかは分からないけど気持ちいいね」


樹を堪能した後、昨日と同じように森の中に入る事にした。今度は私はカロとイルクと手を繋いだ。メリザとポリーはヘビとか爬虫類が苦手らしくて私達の後ろを歩く。


「沢を見付けて水の流れ辿って行くと…あ、ほら!沼があった!」


沼まで順調に来れた。


「白蛇さーん!こんにちはー」


沼に向かって声をかける。


「…いないね」

「お散歩中なのかも」


深呼吸して森林浴を満喫していると沼から白蛇が顔を出した。


「うわぁぁぁぁぁ!!!」

「きゃあぁぁぁぁぁぁ!!」


ちゃんと大蛇だって言ってあるのに皆驚いて腰を抜かしてる。

私はヘビの頭を撫でた。


「こんにちはー。会いに来たよ~」


白蛇は沼からあがると私をぐるりと囲んで頭をスリスリしてきた。


「ヘビさんが甘えてる!見て見て!可愛い~」


皆は腰を抜かしたまま後退る。ポリーは真っ青な顔でメリザは震えて泣いている。


「プリナ…よく平気だね」

「ちっちゃい時を見てるからね」

「そういう問題か…?」


私はヘビをギュッと抱き締める。相変わらず大人しいコだ。


「スベスベで鱗は無いね。じゃやっぱりゲームとは関係ないんだね!良かったぁ」


ヘビが私が結わいていたリボンを咥えてほどいた。そして私をじっと見る。


「え?欲しいの?でも水の中を泳いでたらきっと直ぐに失くなっちゃうよ?それでも良い?」


ヘビがコクコク頷くので首にグルッと巻いて蝶々結びにしてあげた。ヘビの太さだとギリギリだったけれど。可愛い!


「このコ女の子なのかもね!お洒落したいお年頃なのよ、きっと」

「プリナにかかると何でも可愛いんだな…」

「…でもプリナと居るのを見てたら可愛い、のかも、知れない、と、思えてきた…」


震えながらメリザが言う。


「見慣れたら可愛くなるよ!」

「そうかなぁ…。…そうかもね、うん。…プリナがいれば」


それからヘビと別れて沼を離れる。


「ここから先は迷ったから分からないんだよね」

「もう少し奥まで行ってみようか」


また手を繋いで進んでいく。

するとリンゴじゃなくて洋梨のような実がなっている木がいくつもあった。


「食いしん坊のイグアナさんに会えないかな?」


キョロキョロ見渡すけど居ない。そう上手くはいかないか…。


すると聞き覚えがある「ドスンッ!!」という大きな音がした!


「あっ!イグアナさん!!」


また木から落ちたみたい。周りには洋梨がいくつも落ちていた。


「イグアナさん、こんにちはー!ケガしてない?」


イグアナは洋梨をシャリシャリ食べ出した。うん、ケガは無さそうで良かった。


「本当にイグアナだ…」

「どうなってるんだよ、この森の設定…」


「イグアナさん、昨日は道案内してくれて本当にありがとう。リンゴも分けてくれて本当に本当にありがとう。会ってお礼を言いたかったんだ」


するとイグアナさんは身体を使って洋梨をくれた。


「みんな~!イグアナさんが梨をくれるって~」

「私達が取っちゃったら怒るんじゃない?」

「イグアナさんがくれるって言うんだから大丈夫だよ。ね?イグアナさん!」


イグアナは洋梨をまた食べ始めた。私ももらって横で食べ始めた。


「みずみずしい~!美味しいよ!」


皆も恐る恐る近付いて洋梨を手に取って食べ始める。ポリーは「皮付きで食べるなんて…」と文句を言っていたけれど。


「ホントだ、美味しい…」

「本当マジうまい」


皆が洋梨を食べるシャリシャリという音だけが辺りに響く。

私はポケットからパンを出してイグアナさんに渡した。


「これは昨日のお礼なの。今日も梨を貰っちゃったからお礼には足りないけど…」


イグアナは私の手からパンを食べてくれる。可愛い!!思わず頭を撫でた。イグアナは嫌がらずそのまま撫で続けさせてくれた。


「イグアナって可愛いねぇ~」

「プリナは何でも可愛いんだろ?」

「そんなことないよ。ちゃんと可愛いコと可愛くないコがいるよ」


イグアナは食べ終わると身体を丸めて昼寝を始めてしまった。しばらく動きそうにないな。


「今日の冒険はここで終わりみたい。昨日は私1人だったから心配してくれたのかも。今日は皆がいるから安心してるのかもね」

「赤い聖樹は選ばれた人しか辿り着けないのかも知れないな」

「あ!前世でもそんなアニメがあったね!小さい子どもだけが森の中のバケモノに会えるんだよね?」

「バケモノって………」

「愛すべき国民的キャラをバケモノ呼ばわりするなよ!」

「違うの?じゃあオバケ?妖怪?空飛んでなかった?あ、でも移動にバス使ってたね。自分で空を飛べるのに。どうなってるんだろうね、設定」

「どれもちがうと思う…」

「設定とか言うなよ……」

「ここが日本じゃなくて良かったよ………」


イグアナさんが寝ちゃったのでソッとその場を離れて寮へ引き返す。


「でもさ、プリナならアニメに出てきた森に行ったら出会えるかもね」

「そうだね。ふふ、プリナだったら普通に辿り着けそうだよね」

「えぇ!?あんな大きなバケモノなんか怖くて嫌だよ!!」

「大蛇の方がよっぽど恐いだろ……」

「プリナの恐さの基準が分からない」


私達はアニメの主題歌を歌いながら来た道を歩いた。皆が知ってて皆で歌えるのがすごい!


イルクがちゃんと道を覚えていたので迷うことなく森を出ることが出来た。


「楽しかったね!!また皆でヘビさんとイグアナさんに会いに行こうね!」

「う、うん。ヘビに会いに、ね…」

「楽しかったけど疲れた~。私は部屋で一眠りしたい」

「私も部屋でやりかけの事があるから部屋に戻るね。プリナはどうする?」

「私は午前中に転た寝しちゃったから。カロとイルクは?」

「ラウンジ行ってゲームでもやる?」

「罰ゲームなしなら良いよ」


そうしてメリザとポリーは自室へ、私とカロ、イルクはラウンジに向かった。チェスを貸し出してもらえたのでカロとイルクが対戦。私はルールを知らないから2人の試合を見ていた。そして罰ゲームは私を抱っこしてプレイするというもので私は2人交互に膝に載せられる羽目になった。恥ずかし過ぎる!!何だ、この羞恥プレイ!!!


これ、絶対私の罰ゲームになってるよね!?














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