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そこそこな幸せで十分です  作者: 蒼川りこ
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21)ゲームキャラとの再会

目が覚めると私は自分の部屋のベッドだった。起き上がろうとすると身体が重く足が筋肉痛で動くのが辛い…。まるでロボットのようなぎこちない動きで何とか立ち上がる。あれ、着替えてない。それより部屋に帰った記憶もない…。窓を開けるとまだ早朝なようだ。よく眠ったみたい。いつもフクロウが止まっている木には別の鳥がいる。黒い鳥。あれは…


「カラス!?」


窓を全開にするとカラスが部屋の中まで飛んで来た!昨日別れたばかりで直ぐに会えたのが嬉しい!


「よく来たね~森でお友達出来た?」

「カァカァ」

「そっかそっかぁ。私も昨日森で友達が出来たんだよ~」

「カアッ」


カラスと話しながらお風呂にお湯を溜めて朝風呂に入る。これで筋肉痛が和らげば良いけど。靴もよく見ると泥んこだ。お風呂でついでに洗っちゃおう。


ユックリお風呂に入ってから太ももやふくらはぎをマッサージしているとノックの音が聞こえた。ドアを開けるとメリザとポリーがいた。


「おはようプリナ。よく眠れた?」

「うん、お陰さまで。それより私昨日どうしたんだっけ?覚えてないんだけど」

「ラウンジで寝ちゃったんだよ~。皆でプリナを部屋に運ぶの大変だったんだからね?」

「うっ、それはかたじけない…」

「それよりプリナ。動きが何か変じゃない?」

「筋肉痛で。お風呂入ってこれでもマシになったんだよ…」

「ベッドに横になって!私マッサージ得意なんだ!」


メリザが私をベッドにうつ伏せに寝かせてマッサージしてくれる。気持ち良い~。二度寝しちゃいそう…。


「朝ごはん食べたらもう一度横になったら?」


ポリーが二度寝を勧めながら、部屋に来る時に持ってきてくれた急須でお茶を入れてくれる。


「急須に緑茶!?うわぁ~美味し~い!!」

「日本人はやっぱり緑茶が一番落ち着くね~」

「お茶がよくあったね?」

「昨日見付けたんだよ!やっぱりゲームの世界だから何でもアリみたい」

「なるほど!だから時代設定が雑なんだね」

「ゲーム作った人が緑茶好きだったんじゃない?」


マッタリ過ごしてから食堂へ向かう。カロとイルクもいた。


「おはよう!昨日は何か迷惑かけたみたいでごめんね」

「…おう」

「おはよう。元気そうで良かったよ」


イルクはニヤニヤ、カロは何だか顔が赤い。あれ、メリザとポリーもニヤニヤしてない?皆して何だろう?


「ごきげんよう、皆さま」

「エクレア!…様!おはようございます。あれ?お一人ですか?」

「今朝は皆さま王都の自宅にお戻りなの。私もお誘いを受けたけれど1人になれるチャンスですもの、残ってしまいましたわ」


さすがエクレア、この世界の言葉だとお嬢様語だ。こないだ部屋で話していたのとは別人みたい。いつの間にかエクレアと呼んじゃってたけど公共の場ではちゃんと貴族様として扱わなくちゃ!

今朝はエクレアも一緒に朝ごはんを食べる。皆で今日の予定なんかを話していると後ろから話し掛けられた。


「おはようございます。またお会いしましたね」


振り返ると黒髪の男の子が立っていた。どっかで会ったことがあるような…?


「えーと、どちら様でしたっけ?」

「これは失礼しました。昨日聖樹の前でお会いしました、ロベルト・オニキスールと申します。2年生です」

「…あぁ!そう言えば!!会いました会いました!!私はプリナ・リンカ、ゼノンド領ヒルド村出身、前世はかいしゃ」

「プリナ!!えっとちゃんと立ち上がってご挨拶しないと!!」


ハッ!確かに座ったままなんて失礼だった!慌てて立ち上がってもう一度挨拶する。


「す、すみません!失礼しました!えーと、プリナ・リンカでございます…」

「ふふ、ハイ。ありがとうございます。プリナさんですね。覚えました」


失礼な態度取ったのに穏やかに微笑む。うん、きっと良い人だ。テーブルの他の皆は赤くなったり青くなったり、皆俯いてる。どうしたんだろう。


「…おや?貴方は確かシルバードレット嬢とよくお見掛けしますよ」


彼はエクレアに目を止めた。やっぱり彼は貴族様なんだね。なんとなく分かってたよ!


「は、はい。ガブリエラ様にはいつもお世話になっております…。私はローレンガルム伯爵の娘、エクレア・ローレンガルムと申します…」

「ああ、ローレンガルム伯の。お父上は存じ上げておりますよ。それで…貴方はこちらの方々とは親しくされているのですか?」

「は、はい。仲良くして頂いております」

「そうなのですか?…なるほど…」


ロベルト…なんだっけ。名字まで覚えられないや。あれ、ロベルトって名前どこかで聞いたことあるような…前世にもある名前だからかな?聖樹のことを教えてくれた男の子か。森での事が衝撃的過ぎてスッカリ忘れてたよ。


「お食事中に失礼しました。では」

「あの!!」


立ち去ろうとしたロベルト様を呼び止める。皆も驚いていた。


「あの、良かったら聖樹について教えてもらえませんか?森の中の」

「森の中?」


ロベルト様が目をみはった。


「…分かりました。良いですよ。では食後に談話室に来て頂けますか?」

「談話室?」

「えぇ。ではお待ちしています」


今度こそロベルト様が去って行った。


「プリナ~!!」


皆が怒ってる。え、何で?


「なんで攻略対象と知り合ってんのよ!!」


攻略対象?


「…あの人か!!!あ~道理で名前に聞き覚えがあったよ!!」

「今まで気付かなかったの!?」

「だって黒髪はそれほど珍しい色じゃないし1人だったから気付ける訳ないよ!私だって赤とか青の人と一緒にいたら気付いたよ?」

「本当に髪色だけで判別してるんだね…」


エクレアが両手で顔を覆ってプルプルする。

『ヤバイ~!ロベルト様とお話ししちゃった!!しかも名前まで聞かれちゃった!!ヤバいマジかっこ良い~!!!超イケメン~!!!』


興奮すると日本語になるんだね。エクレアはロベルト様が好きなのかな?確かに綺麗な顔だもんね。優しそうだったし。


「それより!プリナは何処でロベルト様と知り合ったの?」


あ、そうだった。学園の青い聖樹の話は皆にしてなかったんだ!皆に昨日ヘビと出会うまでの事を話した。


「…そっちの方がある意味重要なんじゃない?」

「だよな。ゲームに関わって来るかも知れないじゃん」

「そんなぁ。一瞬関わっただけなのに?ちょっと話しただけの人なんてイチイチ覚えてる訳ないじゃん!」

「ロベルト様を覚えてないって…プリナって凄いね」

「名前は今聞いたんだから!」



エクレアはゲームの内容を思い出すために部屋に戻ると言うので私達平民メンバーで談話室に行く事にした。談話室は上の階にある貴族が内緒話をするための部屋なんだって。


「本当に!!マジで!!プリナを1人にさせちゃダメだって事がよーく分かった!!」

「ホントそうだよ!プリナは単独行動禁止!!ダメ絶対!!」


皆にキッチリ絞められてから、皆で談話室へゴー!

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