20)プリナの小さな冒険~後編~
私達は先ず心配かけた寮母さんのところへ行くことにした。寮母さんは私の顔を見て「良かった良かった」と微笑んで頭を撫でてくれた。それから2人が預けていたお土産を受け取ってラウンジへ移動する。その間もずっと私は2人と手を繋がれていた。拘束の間違いかも?
「ぷわぁ~!生き返るぅ」
「死んでないから」
グラスの水を一気に飲み干すとやっと人心地がついたみたい。それからイルクのお土産のパウンドケーキを丸かじりしながら今日あった事を話し始める。と、そこにメリザとポリーがやって来た。
「ただいま~!ってプリナ!夕食前に何食べてるの!?」
「大丈夫!これはランチだから!」
「ちょっと何言ってるのか分からない」
「せめてナイフで切り分けなよ…」
全員揃ったところで改めて今日の話を伝えた。イルクが言ってた通りメリザ達が帰って来る前に戻れて良かったよ。2人して泣きそうなんだもの。でもその後は皆して目を吊り上げて説教を始める。
「プリナを1人にさせちゃいけないということがよく分かった」
「知らない人だけじゃなくて知らない生き物にも着いて行ったらいけません!!」
「なんで?イグアナも鳥も私を案内してくれたんだよ?皆私を助けてくれた優しいコ達だよ」
「はぁ~。こういう子はどうやって躾けたら良いの?」
躾って!!相変わらず皆して失礼だな!!
「オレらで目を離さなきゃ良いんじゃない?」
「そうだね。皆でプリナのお世話係の当番決めよっか」
「チーム全体でやった方が良くね?」
「だから!!私は1人で大丈夫だって!」
夕食の時間になって食堂へ行く時はメリザとポリーに手を繋がれた。皆して過保護なんだから!…と文句言いつつ心配して怒ってくれる皆の気持ちが嬉しくて素直に言うことを聞く。何か楽しくなって両手をブンブン振ったら2人とも笑ってくれた。
食堂ではエクレアが性悪貴族と一緒にいるのを見掛けた。向こうも気が付いて小さく手を振ってくれた。貴族のしがらみも大変なんだね…。
夕食は皆ビーフシチューを食べた。メリザはパン、ポリーはお皿にお肉を、カロとイルクはニンジンをくれた。待て!カロとイルクは違うよね!?それ絶対自分の苦手な食べ物寄越しただけだよね!?2人して子どもなんだから!!…仕方ないから美味しく戴きましたけれども。
食後はまた皆でラウンジへ移動。給仕さんが私が丸かじりしたパウンドケーキを切り分けて皆に配ってくれる。半分食べちゃったから皆のサイズが薄くてごめん…。メリザ達は「食後だからちょうどいい」って言ってくれたけれど。ちなみにカロのお土産はアタリメだった。「懐かしいだろ?」だって。そりゃ見た瞬間懐かしくて感動したけどビールが欲しくなるじゃんか!
今度は皆の話を順番に聞く事になった。イルク達は楽器屋さんに行ったけどやっぱりベースは見付からなくて、他の楽器も色々見たけど値段がどれも高過ぎて早々に諦めたんだって。その後メリザ達と一緒にランチを食べてから学園の馬車で2人先に帰って来たんだそうな。
メリザは午前中は生地屋さんで買い物、ポリーは実家に帰ってて皆とランチの後はメリザと2人で私のための食器類やらお茶やらお揃いのエプロンだとかあちこちお店を回ってポリー実家の馬車でメリザと一緒に帰って来たらしい。
皆楽しく過ごせたみたいで良かった!
お腹いっぱいになったら疲れがドッと出てきたなぁ。明日は筋肉痛かも。あれ、急に皆の声が遠くなってきたよ…。瞼が重い……。今日お風呂入れるかな………。カラスにご飯あげなきゃ…………。…………………。
「それで明日は…ってプリナ?聞いてる?」
「寝ちゃったね」
「プリナったらフォーク握ったまま寝てる…可愛い」
「1日歩き回って疲れたんだろ」
「イルク、プリナを部屋まで運んであげて」
「ったく、しょうがないな。ホラ、プリナ。背中に乗って」
「抱っこ………」
「ムリ!オレが恥ずかしいからそれは勘弁して!」
「プリナは寝惚けてるんだから。お姫様抱っこしてあげなよ」
「マジかよ…。オレそんなキャラじゃないのに。てか、カロでも良くない?カロ、ジャンケンで決めようぜ!」
「ヨシ分かった!イルクが背負うのを手伝ってやる」
「狡くない!?」
「もう2人とも!ジャンケンで良いから早くしなよ!プリナが風邪引いちゃうよ」
そしてジャンケンで負けたカロに前世も含めて生まれて初めてお姫様抱っこしてもらっていた事は私だけが知らない話。




