16)おにぎりパーティー開催!
ランチを終えると全員で私の部屋に向かった。男子達には後からで良いよって言ったのだけれど「炊き上がるまで見ていたい」と譲らなかった。恐るべし白米への執念…。
ではおもむろに、料理スタート。
浸けていたお米の水を切ってから鍋にお米と水を多めに入れる。
「それじゃあ今から火にかけまーす」
「寮のキッチンでの調理は初めてだしお鍋で上手く炊けるか分からないので美味しく出来なくても許してね」
「大丈夫!不味くてもメシなら食う!!」
「それも失礼だよ?」
火加減は最初は弱火だよね。
「ええと始めチョロチョロ中パッパっと」
私の知識は経験者ポリーには通用しなかった。
「お鍋が温まったら中火ね」
「沸騰したから弱火にするよ」
さすがにこの世界での料理経験者!私はお鍋はポリーにお任せしてアシスタントに徹する事にした。
カロ達はちゃっかりラウンジからトランプを借りて来ていた。抜かりないね!
ご飯だけでは寂しいのでお米を炊いている間にたまご焼きを作る事にした。出汁が無いので砂糖と塩のシンプルなたまご焼き。普通のフライパンで上手に作れるかな?前世じゃ初のお弁当作りで大失敗してるから超不安。
「うわっ!巻くの失敗した!」
「大丈夫!巻き返せるよ」
私がたまご焼きに苦戦中、ポリーはご飯の火加減の調節に余念がない。
「お鍋が静かになったね」
「うん。水分が無くなったのね。後は蒸らすよ」
お米が炊ける独特の匂いがする。懐かしい。
メリザは前世も今世も料理経験がほとんどないとの事でカロとイルクと3人でババ抜き中。でも皆ソワソワしてしきりにキッチンを覗きに来る。
「たまご焼き出来た!」
上手く卵を丸められなくて思ったよりでっかくなっちゃったし焦げ目もあるけど寮での初調理だしたまご焼きは前世振りなので許して欲しい。
たまご焼きを一切れずつ切っていると横から伸びてきた手が端っこのたまご焼きを持っていってしまった。
「ちょっと!!つまみ食い禁止!!!」
「うまっ!うわぁ~メッチャ懐かしい味!ちょっと焦げてるけど」
「うるさいよ!もう!文句言うなら食べさせないから!!」
「だってたまご焼きの良い匂いがしたんだもん」
「可愛く言ってもダメ!!大人しく座って呼ぶまで待ってて!!」
「ほーい」
「ハイそこの2人、イチャイチャ禁止~」
ご飯を蒸らし終えてドキドキしながら蓋を開けると白く光るご飯が出来ていた。
「ご飯だー!!」
「ちゃんと白米だ~!!」
「うわぁ超感動~!!」
ポリーが杓文字代わりの木ベラでご飯を交ぜるとお焦げが出来ていた。…多めに。
そしてご飯をボウルに移して、水と塩を用意。
「それじゃ今からおにぎり大会を始めま~す!みんな熱いから火傷しないように気を付けてね!」
「はーい!」
テーブルで皆で塩むすび作りに挑戦。
「あっつっっ!!!」
「熱いから火傷に気を付けてって言ったよ?」
「こんなに熱いの!?」
「そりゃ炊き立てだもん」
ポリー先生は手早く綺麗な三角おにぎりをどんどん作っていく。
「プリナのは俵型なのね」
「う、うん。ホラ食べやすいから!」
「プリナ。ちゃんと三角おにぎりの練習しようね?」
なんと!!前世では誰にもバレず上手くごまかしてこれたのにポリー先生にはあっという間に三角に握れない事を見抜かれてしまった!!!
「…皆気付いてて黙ってくれてたんだと思うよ?」
そうなの!?皆気付いてたの!!?ごまかせてると思ってたの私だけなの!!?
ショックでヘタリこみそうになってるとカロが
「ウマけりゃ何でも良いんだよ」
とフォロー?してくれた。ありがとう、心の友よ!!
「みんな初心者だからプリナも一緒に頑張って三角に握れるようになろうね!」
ポリー先生は厳しくも優しく皆にコツを教えてくれた。
メリザは元々手先が器用なのか教わって直ぐに綺麗な三角おにぎりを作れるようになっていた。ポリー先生に褒められて嬉しそう。
カロは実は前世でずっと自炊していたらしくて最初から手際良く上手な三角おにぎりを作っていた。悔しい!!!!!
イルクと私は最後までいびつなおにぎりを握り続けていた。私達も一生懸命やってるんだけどね?
皆でワイワイ言いながらおにぎり作るのはすっごく楽しかった!!
そこへドアがノックされた。先に作り終えて手を洗っていたポリーがドアを開けてくれると昨日知り合ったエクレア様が立っていた。
「こんにちは」
「エクレア様!来て下さってありがとうございます!」
部屋の中に案内すると、エクレア様は大勢でいるとは思っていなかったようでビックリしていた。
「これは…おにぎり?」
「はい!これは私の出身地の郷土料理で具がなかったんで塩むすびなんですけど」
私はおにぎりが出来たらお礼にエクレア様に食べてもらいたいと思っていた。なのでエクレア様が最初から「おにぎり」を知っていた事に気付かなかった。
「良かったら一緒に食べませんか?」
「よろしいの!?」
私達の手作りおにぎりを食べるのは断られるかと思っていたけれどエクレア様は嫌がる素振りを見せなかった。
椅子が足りずソファーとキッチンのテーブルとに分かれようと思っていたら、そこは用意周到なポリーがラグマットを持って来てくれた。私達は前世が日本人なので床に座る事に誰も抵抗がなかったけれどエクレア様には椅子を勧めた。でもエクレア様は私達と一緒に床上に座ってくれたのだ。
「いただきます!!」
「うまい!!米だ~~!!!メシだぁぁぁ!!!」
「美味し~い!!!」
「うん。初めてにしてはナカナカ上手に出来たわ!」
「この世界でまた米が食えるなんて…」
おにぎりは塩加減が微妙なのもあったけれど念願のお米を食べられて全員幸せだった。
たまご焼きも皆「懐かしい」と喜んで食べてもらえた。
エクレア様も美味しそうに食べてくれていた。
「エクレア様、お味はいかがですか?」
「えぇ。とっても懐かしいわ」
「懐かしい…?」
全員食べる手を止めてエクレア様を見つめた。
エクレア様は皆の視線に気付くと私達に問い掛けてきた。
「…あなた方も転生されてきたの?」
「えっと…転生と言うのかどうかは判りませんが、私達は全員前世が日本人だったという記憶があります」
「そうなの…」
皆の顔を見ると頷いてくれたので改めて自己紹介をすることにした。
『私はプリナ・リンカ、前世の名前は佐藤桃子、会社員でした』
『私はメリザ・シルグア、前世の名前は鈴木今日子、一応大学生でした』
『オレはカルト・モグワン、前世の名前は小林英雄、営業マンでした』
『オレはイルク・ダナール、前世の名前は山田紅、フリーターでした』
『私はポリー・ヘレス、前世の名前は高橋あゆみ、高校生でした』
エクレア様は静かに聞いていた。そして
『私はエクレア・ローレンガルム、前世の名前は木村かの子、女優でした』
エクレア様も前世日本人だった!!!
衝撃の事実に頭がついていかない…
『あなた達はこの世界についてどう思ってる?』
エクレア様が尋ねてきた。
『どう思うかって…?とりあえず地球上にある国じゃなく異世界なんだと感じてます』
『まぁそうなんだけど、そうじゃなくて。ねぇ皆は「ときめき☆学園生活」の関係者なんじゃないの?』
エクレア様は日本語になった途端砕けた口調になっていた。え、何?トキメキガクエンセイカツ?
皆も「何だそれ」って顔をしてる。…あれ?イルクは顔が青ざめてない?
『イルク?どうかしたの?』
『ときめき☆学園生活…どっかで聞いた事がある気がする』
『えっ!?何何、何なの!?って言うか何なの「ときめき学園生活」って!恥ずかし過ぎて口に出すのも躊躇ったよ!!』
皆訳が分からなくて戸惑っているとエクレア様が説明してくれた。
『あのね。私達は乙女ゲーム「ときめき☆学園生活」の世界に転生してるの』
『乙女ゲーム!?そりゃ前世で乙女ゲームへ転生するって言う小説やマンガは読んでたけど!!私はゲームなんてやったことないよ!?』
私は狼狽えて思いっきり叫んでしまったけれど、他の皆は考え込んでいた。
『ときめき学園生活…。何か聞き覚えがあるような…』
『私もなんとなくだけど知ってるような気がする…』
『うん…。私もかすかに記憶があるような無いような』
みんな記憶があるんかーい!!!




