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そこそこな幸せで十分です  作者: 蒼川りこ
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15)準備は計画的に

翌朝はいつもより早く目が覚めた。体を起こすと枕元にカラスが蹲って寝ていた。可愛い!手離したくなくなるのが怖くて名前付けなかったんだけれど放鳥する時に泣いちゃいそうだわ…。


洗顔と着替えを済ませて居間を軽く掃除した。今日は皆が来るからね!窓を開けるとフクロウは居なかった。フクロウは夜行性だもんね。でもそうなると毎晩私の部屋の前まで飛んで来てるのかしら?何故?ま、いっか。


居間のテーブルやキッチンの拭き掃除をしているとメリザとポリーが朝食の誘いにやって来た。


「プリナおはよー!いよいよだね!」

「朝ごはん食べたら荷物運びたいから一緒に私の部屋に来てくれる?」

「オッケー!」


食堂でカロ達と合流して同じテーブルで食べる。

フワフワのオムレツを食べながら思わずため息が出る。


「プリナ、どうした?」

「いやぁ、毎日豪華な食事に贅沢な暮らしして、こんな生活に慣れちゃうと故郷に帰ってやっていけるのかなぁって思ってさ」

「えっ、プリナは地元に帰るつもりなの!?」


ポリーが異様に驚いていた。


「え?だって同じ国内だけど留学してるようなもんじゃん?他の人達だって卒業したら皆地元に帰るんじゃないの?平民だし」


何でそんなに驚くのか分からなくて首を傾げて言うと


「プリナは本当に世間知らずなんだから!この学園に入学した平民は言わば将来性を買われたエリート候補なの!平民の卒業生はほとんど国の政府機関や中枢に就職してるのよ!後は在学中に貴族に目を掛けられると貴族のお屋敷に勤めたりとか、とにかく地元に帰るなんて人はいないのよ!」


ポリーの話は初耳で想像もしてなかった。エリート意識の欠片もない私にはあり得ない気がするけれど。他の皆は知ってたのかな?


「私はいつか王都で自分の店を持ちたいんだよね」

「オレはいつか地元に帰りたいけどな。親父の店を継ぎたいし」

「オレは正直何にも考えてなかった。ウチは漁師だから自分も漁師になるもんだとしか思ってなかったしさ」


同じ平民と言っても王都出身で商家の娘であるポリーと私達とでは感覚とか違うんだろうな。


「ポリーは卒業したら国の機関に就職したいの?」


ポリーは少し俯きながら話した。


「私ね、婚約者がいるの。同じ王都の大商会の三男で親の希望の政略結婚よ」

「さすがに同じ平民でも違うんだね…。ポリーは結婚するの嫌だったの?」


私が聞くとキッと睨まれた。


「当たり前でしょ!?相手は40歳でバツ2の女にだらしないボンボンなのよ!?なのに大商会とコネを作りたい親の希望で…。向こうにとっては何のメリットもない結婚なのよ!ただ今度は若い女が良いってだけで!!」


うへぇ…。20歳以上も上かぁ。親より年上だわ。しかもバツ2!そりゃ嫁ぎたくないよね。


「学園に入学すれば婚約解消になるかと思ってたの。なのに昨日実家に帰ったら「卒業したら結婚して婚約者と店を継いで欲しい」なんて言うんだよ!?私は絶対に死んでもイヤ!!!」


私も皆も何も言えなくて黙ってたらポリーは落ち着きを取り戻したのか1つ咳払いをして


「だから卒業して何がなんでも良い所に就職するの。政府機関なら親も反対出来ないし高位貴族の元でも良いからとにかく親が文句言えない場所に就職してやるの!!」

「…そっか!よし、ポリー頑張れ!!オレらも全力で応援する!」

「私も!!ポリーの夢が叶うように応援する!」


皆で応援するとポリーは「ありがとう」と笑った。



朝ごはんを食べ終えて食堂から一度私の部屋へ行きカラスにご飯をあげてから皆でポリーの部屋へ向かった。

ポリーは自炊するつもりでザルや木ベラ、ボウルなどの調理器具やら大皿、エプロンなんかも持って来ていたのだ。

3人で私の部屋に運んで準備を始める。


「実際に炊くのはランチの後にするとして…どうする?寮のキッチンの火加減も分からないし午前中に半分位試しに作ってみる?」

「うーん…試しに作りたいのは山々だけど。おにぎりはご飯が熱いうちに握らないとダメだし。作ったら絶対直ぐに食べたいからランチ食べられなくなっちゃうし…先に食べたらカロもイルクも怒りそう」

「だねぇ」


ということで、洗米して水に浸けておく作業までやっておくことにした。


「5合って結構量あるね」

「おにぎり何個位作れるかな?」

「大きさにもよるからね」


お米を研ぐ感覚がすごく懐かしい。お祖母ちゃんに教わったように掌の厚くなってるところでギュッギュッと丁寧に研いでいく。


「日本ほど精米の技術が発展してないから玄米ご飯みたいな感じだよ。日本のお米より水の分量を多めにね」

「わかった!」


水が透き通ってくるまで何度も研いでザルで水を切ってから新しい水に浸けておく。後はランチが終わったら調理開始だ!


「下準備も終わったし、ランチまでラウンジにでも行こうか?」

「そうだね。お部屋でお茶出来るようにティーセットとか今度買っておくよ」


ラウンジへ向かうために部屋を出ると階段を荷物運びしている従者さんらしき人がいた。


「こんなギリギリに入寮して来る人がいたんだね」

「ね~。王子様より後に入寮してくるなんてね」


上の階へ荷物を運んでいるので貴族なんだろう。


「早くしなさいよ!トロいんだから!」


女の子の大きな声が聞こえた。チラッと振り返るとピンクの長い髪の女の子が階段を昇っていく後ろ姿が見えた。今度はピンクか!!女の子にもあり得ない髪色した人がいるんだ!?

村だけでなく学園内でも街でも現世で見たのと同じで色の濃淡はあっても黒髪や金髪、栗色、と皆至って普通の髪色なので王子様達は異形なのだと思う。女の子では初めて見た。皆が皆カラフルな訳じゃなくてホッとした!


ラウンジへ行くと暇潰しにカロとイルクが2人でトランプの神経衰弱で遊んでいた。


「2人で出来るゲームを知らなくてさ」

「ズルい!今度は私も入れて!」


昨日はポリーはトランプに参加出来なかったから遊びたかったらしい。


「じゃあ皆で大貧民やるか!」

「負けたら罰ゲームね!」

「罰ゲームはもう良いよ!!」


私の意見は通らず、3連敗したら罰ゲームというルールに決まった。


そして見事に連敗した私は仕方なく某アイドルの歌を振付けありで踊った。音楽無しでやるのはキツかった。前世で披露した時は私1人じゃなくて皆でコスプレして音楽も流してもらえたもんな…。

羞恥心を棄てて全力で歌い終えると


「プリナ可愛い!」

「うん!ホントかわいかったよ!真っ赤な顔して歌って踊るプリナ見てたら「萌え」の気持ちが分かった気がする!」


と女子の2人は高評価。一方男子は


「ダンスにキレが欲しい」

「リズム感がイマイチだね」


辛口過ぎる!!





おにぎり試食会まで進むはずが……

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