136)初めて恋人が出来ました
「プリナ、カロ、おめでとう~!!」
「やっと恋人同士になったんだね!!」
「ここまで長かったな。カロ、よくめげずに頑張った!!」
「みんな、何で知ってるの!?」
「…何言ってるの。みんな見てたよ」
「ウソ!?」
「祭りの広場で堂々とイチャイチャしてたじゃん。村中の人が知ってるよ」
「ウソ!?」
「ホントホント」
やっと落ち着いたのにまた顔から火が出た。
そう言えばお祭り会場だった…!!
酔っ払ってて忘れてた!!
恥ずかしい!!!
「カロ、プリナ傷付けたら絶対許さないから」
「分かってるよ。メッチャ大事にする」
カロの言葉に顔から湯気が出そうだ。
皆はお土産にたくさんの食べ物や飲み物を買ってきてくれていて、お祝いしてくれた。
恥ずかしいけれど、みんなに祝福してもらえて嬉しい!
「プリナ」
「!」
カロは当たり前のように私を膝の上に抱っこする。今まで平気だったのに皆の前でメチャクチャ恥ずかしい…!!
「今さら何照れてんの」
「だって………」
チラッとカロを見ると目が合って、とても幸せそうに笑うから胸がキュンとする。
「…可愛い」
「!」
カロがおでこにキスをした。
皆の前なのに!!
「だから今さらだって」
「もともとカロは超アマアマじゃん」
「今までと変わらないよ~」
皆は何で普通なの!?
私の心臓がヤバい!!
皆の顔が見られなくてカロの首にしがみついて彼の胸に顔を埋めた。
カロは私をギュッと抱き締める。
「プリナ~逆効果だぞ~」
「あ~超幸せ~」
「カロ!」
嬉しいのと恥ずかしいのとで頭が沸騰しそうだ。
「プリナ~!!帰ってるよね!?」
「!?」
玄関から姉さんと兄さんの声が聞こえてきた。
さすがに家族の前ではこの状況を見られるは恥ずかし過ぎる!!
私は慌ててカロの膝から降りた。
「あ、みんな揃ってるのね。今夜はお祝いしましょうね」
「そうだな!プリナが婿を連れて来たんだ!早く言えば良いのに!!」
「ちょっとクリム兄ちゃん!婿って…」
「モーラ、今からご馳走作るわよ!手伝って!」
「はーい、お母さん」
「姉ちゃんも!!」
家族は誰も私の話を聞いてくれず、お祝いの準備を始めた。
初カレを家族に祝われるなんて死ぬほど恥ずかしい…!!
夕方になって父が肩を落として帰ってきた。
村人から私達のことを聞いてきたらしい。
「…プリナ…。何で父さんに黙ってたんだ……」
「えっ」
「カロト君。…君はいつから娘を想ってくれていたんだ?」
「はい!学園で出会って直ぐです!」
「今まで何も言わなかったじゃないか!!」
「想いが通じたのが先ほどのお祭りだったので…」
「何!?」
「…お祭りでやっと伝えられて、やっとプリナ…さんとお付き合い出来ることになりました」
「…そうだったのか………」
「カロト君はプリナをスケベジジイから守ってくれてたのよ」
「何!?」
「ほら、プリナは酔っ払うと甘えん坊のキス魔になるじゃない?それを知ってて最近はプリナを酔わせようとする村の男連中が多くてね」
「何だって!!?」
「あらやだ、お父さんたら、知らなかったの?プリナは酒癖が悪いのよ」
「知らなかった………」
私も知らなかった!!
だから最近はよくお酒を勧められてたのか!!
でもガキンチョの私にキスされて皆は嬉しいのかな?
皆を見ると父さん以外はウンウン頷いている。
皆が知ってたことが恥ずかしい………。
「モーラの次はプリナか……。2人とも村から出ていっちまうんだな………」
「えっ」
「カロト君はどちらの出身なの?ご実家は靴屋さんだと聞いたけど」
「はい、僕…私はヒッポリーガ領出身で、両親は領都で靴屋を営んでいます」
「君は将来家業を継ぐのかい?」
「入学するまではずっとそう思っていたんですが……今は未だ判りません」
「そうか…そうだよな、せっかく王立学園に入学したんだもんな!色んな可能性があるもんな!」
「はい。卒業までにジックリ考えたいと思います」
「……君の実家でも、ここでも、王都だとしても。……娘を大切にしてやってくれ」
「はい!必ずプリナさんを幸せにします!」
「頼んだよ」
「はい!」
「…………」
それじゃ結婚の挨拶みたいだよ……………。
彼氏彼女なんて別れる可能性だってあるのに。
16歳で結婚前提のお付き合いとか気が早いよ。
あ、でも、この世界じゃ普通なのか……。
カロがテーブルの下で私の手を握り締めた。
カロの覚悟が伝わってきて、恥ずかしいけれど嬉しさの方が勝る。
「プリナ」
「!はい」
「……ステキなお婿さんを見付けてきたわね」
「!?」
母さんに言われて顔が熱くなる。
優しく微笑まれて何だか泣きそう。
「……うん」
大切な家族と大切な仲間達に祝福されて、とても幸せな夜を過ごした。
お祝いもお開きになって。
「カロト君、いくら私達が君を認めたからといって、未だ君のご家族には挨拶もしていない。つまり…未だ婚約者とは認めれない」
「はい」
「だから!娘とは清い交際をするように!!」
「?……はい」
「同じ屋根の下だからといって夜這いなんてしたら許さないぞ!!」
「!?し、しませんよ!!絶対!!」
「お父さんのスケベーッッ!!!」
「!?だ、大事なことだろ!?スケベって……父さんはプリナを心配してだな」
「お父さんのスケベ!!ヘンタイ!!ドエッチ!!!」
私はメリザとポリーの腕を引っ張って部屋に駆け込んだ。
「今日両想いになったばっかりなのに………」
「アハハ!まぁでも普通の父親はそう言うモンなのかもよ!」
「メリザもポリーもいるのに……」
「うん、まぁ心配し過ぎだよね。プリナのお父さんが許しても私達が許さないから」
「………2人はいつから知ってたの?」
「何を?」
「カロが………その………ずっと私をす、好き………だって………」
「見てたらバレバレだよ」
「えっ」
「カロ、ずっと気持ちを隠してなかったもん」
「えっ」
「プリナ以外は全員カロの気持ちは知ってたよ」
「ウソ!?」
「……この鈍感娘がいつ気付くんだろう、カロはいつ打ち明けるんだろう、ってず~っと見守ってきたんだよ」
皆が知ってたことが恥ずかしい………!
「プリナ」
「なあに」
「……良かったね」
「…………うん」
「私達のことも忘れないでよ?」
「ふふ、当たり前じゃない」
「私達のプリナへの愛はカロと変わらないんだからね!」
「そうそう!もしもカロがプリナを傷付けたら私達が成敗してくれる!!」
「ふふ、何それ。怖そう」
「そうよ!私達を怒らせたら恐いんだから!!エクレアも巻き込むし!!」
それは本気で怖い。
私は大好きな友達に囲まれて幸せな眠りについた。




