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そこそこな幸せで十分です  作者: 蒼川りこ
134/137

134)ゆく年くる年

ポリーがヒルド村に来た翌日、メリザがロックドラゴンに乗ってやって来た。


「プリナ~!みんな~久しぶり~!」

「メリザ~!いらっしゃーい!」


その時ちょうどやぐら作りから戻ってきてた父と兄とお隣さんのクートンさんと鉢合わせしてしまった。


「!?ドラゴンじゃないか!!」

「あ」

「本当だ。君はドラゴンに乗って来たのかい?」

「……はい」

「そりゃあ便利だねぇ。一家に一頭いたら助かるなぁ」

「牛車より速そうだもんな」

「…父さんもクートンさんも驚かなすぎだよ」


クリム兄さんはマトモ?に驚いていたけれど、父もクートンさんもスンナリ受け入れてくれた。


村の人達ならシロップも受け入れてくれるかも。




「メリザは実家で精霊祭してこなくて良かったの?」

「いーのいーの!どーせ商店街の皆が集まってただの宴会なんだもの」

「オレんとこもそうだよ。どこも一緒だな」

「それより…ポリーは公爵様の領地で過ごすんじゃなかったの?」

「……彼とは別れました」

「えぇぇっっ!!?」



私の部屋に移動して、事情を知らなかったメリザにポリーが経緯を説明した。一晩経ってずいぶん落ち着いたみたいでアッサリと話せるようになってた。吹っ切れたみたいで良かった!



「そりゃあ愛人なんて言われてもねぇ…私でもお断りするよ」

「もう彼の事は良いの!!私は実力で婚約破棄出来るように頑張るよ!」

「ポリーならきっと出来るよ!あんなロリコン変態クソキモ男、粗大ゴミに捨てよう!!」

「うん!」

「オレ達も協力するからな!」

「うん!ありがとう!」



我が家の大晦日の夕食は毎年チーズフォンデュだ。

皆で鍋を囲んで楽しく食事をした。



夜になってから村人達と集まって森の聖樹に向かう。

ヒルド村は人口が少ないのもあって、村人全員が聖樹に集まり祈りながら新年を迎える。子どもの頃からの習わしで1年で唯一夜更かし出来るのがとても嬉しかった。

今年は家族だけじゃなくて友達も一緒だから、楽しさも倍増だ!



村の神父さんが聖樹にお神酒をささげ有難いお説教をして、全員で祈りを捧げ、教会の聖歌隊が歌を捧げ、今年1年を無事に過ごせた感謝の気持ちを伝える。

皆が手に持っているランタンの灯りが真っ暗な森に幻想的な雰囲気を醸し出す。



「もうすぐ年越しだね」

「カウントダウンとかはしないの?」

「しないよ~。都会はするの?」

「するよ~。王都は花火も上がるもん」

「へぇ!それは見てみたいかも!」


その時、村長さんの向こうに見える聖樹が輝いたのが見えた。

聖樹は毎年新年に生まれ変わると言われている。


森一面がダイヤモンドダストのようにキラキラ光る。


今年も無事に新年を迎えられたようだ。


神父さんの新年の宣言があって、新しい1年への祈りを捧げて、聖歌隊のお祝いの歌があって、村人全員で合唱して、新年の儀式は終わった。



「明けましておめでとう!今年もよろしくね!」

「おう!明けましておめでとう」

「あけおめ~!ことよろ~!」

「ふふ、それ、懐かしい!」


皆がそれぞれの自宅に帰って行く。



「新年の目標とかある?」

「そうだなぁ…。私は1着は着物作るのが目標かな?まだ反物に出会えてないんだけどね」

「私は和食を追い求めるよ!お米をもっと食べられるようにするの!」

「そっかぁ。それは私も嬉しい。メリザ頑張って!」

「オレはエクレアとのライブ成功させるのが目標だな!上手くいけば定期的に開催出来るかも知れないし」

「うんうん!イルク、頑張って!ライブ絶対観に行くからね!」

「サンキュ」

「オレは……今年こそちゃんと伝える」

「伝えるって、なあに?…あ、好きな人に!?」

「……ああ」

「そ、そっか………。頑張って…ね………」

「……………おう」

「………………………………………」

「カロ、頑張れ」

「……そういうプリナはどうなの?」

「私?私は……自分が何したいのか考える……」

「そっか。…そうだね。皆で見付けようね」

「うん」


真夜中は芯から冷える。

防寒対策はバッチリしてきたけれど、それでも寒い。


「プリナ、鼻の頭が真っ赤」

「!?もう!カロったらそんなとこ見ないでよ!」


カロは自分のマフラーをほどいて私にグルグル巻き出した。


「!大丈夫だよ!私は自分の巻いてるんだから!これじゃカロが寒いでしょ!?」

「大丈夫。これ長いから2人分巻ける」


カロはマフラーの反対側を自分にも巻いた。

本当に長いんだね。


「…首絞まるからオレから離れんなよ?」

「分かった!ありがとう」


カロは私の右手を掴むと自分のポケットに突っ込んだ。


暖かい。


寒いからカロにピッタリくっついて帰り道をゆっくり歩く。


カロに恋人が出来たら……きっとこんな風に過ごせなくなるんだよね………。


ちょっと切なくなって、私は立ち止まってカロにギュッと抱き着いた。


「プリナ?どうした?」

「……寒いから」

「そっか」


カロが優しく抱き締め返してくれた。



今年はちゃんとカロの恋の成就を祝福出来ますように。



私は皆には秘密の今年の目標を決めた。





「もう少しだと思うんだけどなぁ」

「何か私達がじれったいよね……」

「たまにイライラするね」

「もういっそのことドーンと行っちゃえば良いんじゃね?」

「何か私達でお膳立てしてみる?」

「まぁまぁ。カロのペースを見守ってあげようじゃないの」




新しい1年のスタートです。


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