130)里帰り
目が覚めると私はカロの膝の上で2人で毛布にくるまれて寝ていた。
カロはまだグッスリ眠っている。
「あれ?」
「あ、プリナ起きた?」
「ポリーおはよう……えっと何で?」
ポリーが緑茶を淹れてくれた。
「プリナが寝ちゃった後カロも直ぐに寝ちゃったんだよ~。それでイルクがプリナを寝室に運ぼうとしたんだけどカロが腕を離さなくってねぇ」
なるほど。
今も私はカロにシッカリ抱き締められていた。
「うんしょ」
私は何とかカロの腕から逃れてお茶を飲んだ。
それでもカロは目覚めなかった。
「珍しいね。カロがこんなに爆睡してるの」
「昨夜はカロも良い気分で酔っ払ったからじゃない?」
メリザがキッチンから顔を出して言った。
「良い気分?」
「プリナがカロのホッペににチュウしたじゃん」
「は!?何それ!!?」
ウソでしょ!?
私は顔から火を吹いた。
「……やっぱり覚えてないんだ」
「もしかして私って酒癖悪いの!?」
「今さら………」
メリザとポリーが溜め息を吐いた。
そんなに!?
「それじゃ帰省準備もあるから早くカロ達を起こそう!朝ごはん食べなきゃ」
「!そうだね!」
それからまだ寝ているカロとイルクを起こして食堂に行った。
そして朝食後は部屋の後片付けや出発準備をして、森の住民達に挨拶してから私達は帰省した。
メリザとポリー、エクレアとはしばしの別れ。
「私は後からお邪魔するね!」
「うん!待ってるよ、メリザ」
「ポリーも楽しい休暇を過ごしてね」
「ありがとう」
「道中気を付けてね」
「うん!エクレアもね!」
皆とハグしてお別れの挨拶。
「じゃあシロップ、遠いけどよろしくね」
「ガオ!」
私とカロとイルクはシロップの背中に乗ってヒルド村に向かって出発!
2回程休憩を入れて、お昼頃に出発して夜には無事にヒルド村に着いた。
「見事に田舎だな!」
「そうだよ、田舎だよ!収穫終わって寂しいけど春になったら一面小麦畑なんだから!」
「オレの前世の地元みたいだなぁ」
『紅くんは地方出身だったの?』
『まあね~。オレもかの子さんと同じく高校出て上京したクチ』
『そっかぁ。ヒデは?』
『オレは生まれも育ちも横浜。桃子さんは?』
『私は東京出身だよ~』
『へぇー』
私達はヒルド村の森に降りて実家まで歩いた。
田舎だから真っ暗。
月明かりとランタンの灯りが頼りだ。
「ここが私の家です!ただいま~!!」
「えっプリナ!?」
「えぇ!?ちょっ、どうやって帰って来たの!?」
お母さんとモーラ姉さんが慌てて玄関までやって来た。
「お友達のドラゴンに乗ってきた!」
「はぁ!?ドラゴン?」
「病院で会ったよね、カロとイルクだよ!」
「お世話になります」
「よろしくお願いします」
「あ、ああ…娘がいつもお世話になって……」
「ようこそ、何もないけれどゆっくりしていって!」
「おお、プリナ!よく帰ってきたな!」
「お父さん、ただいま~」
「あれ?ポリーちゃんは一緒じゃないのか?手紙には皆で来るって書いてあったよなぁ」
「ポリーは貴族様に招待されたの。メリザは後から遊びに来るって」
「そうか。まぁ貴族様に誘われたら断れないもんなぁ」
「ねえちゃ!!」
「アリル~!!」
アリル爆弾が飛んできた!
シッカリ受け止める。
「アリル~!!ただいま~!!会いたかった!!」
「ねえちゃ!!おかえりなさい!!」
お風呂上がりでホカホカのアリルをギュウギュウ抱き締めた。
やっぱり私の弟は天使だ!!
「そうしてるとプリナもお姉さんなんだな」
「そうよ!姉っぽいでしょ?」
「どこからどう見ても末っ子体質だと思うよ」
「イルクの目はフシアナね!」
「先生の娘と同じ扱いされてるくせに」
「カロは黙ってて」
それから私は家族にシロップを紹介した。
「この子がお友達のシロップ!ここまで私達を運んでくれたんだよ」
「ギャウ」
「ほぉ~こりゃ可愛いドラゴンだなぁ」
「ホント!こんなに小さいのに……」
「皆を乗せて飛べる位大きくなってくれるんだよ!でもドラゴンなんて珍しいから他の人には内緒にしてね」
「そうよねぇ。いきなり目の前にドラゴンが現れたら皆はビックリしちゃうわねぇ」
「そうだなぁ。ここにいる間は小さくいてもらわないとな!」
私の家族はシロップをアッサリ受け入れてくれた。
「さすがプリナを育てた家族だな」
「すげーよ、プリナの家族……」
家族は既に夕食は終えてたので私達3人に夜食を作ってくれて、学校生活を話したりして夜が更けていった。
「明日は領主様にご挨拶に行って、森の聖樹を見に行こうか」
「おう」
2人と別れて久しぶり自室のベッドに入った。
コンコンコン。
ドアを叩く音がした。
「プリナ、もう寝た?」
「モーラ姉さん?どうしたの?」
姉さんがホットミルクを持って部屋を訪れた。
「…ねぇねぇ。聞いておきたいんだけど」
「なあに?」
「カロト君とイルク君。どっちがプリナのお婿さんなの?」
「!!?」
ミルクを吹き出してしまった。
「な、何言ってるの!?」
「違うの?私達家族に紹介するために連れて来たんじゃないの?」
「もう、考えすぎだよ!!違うから!!」
「え~?でもどっちかプリナの恋人なんでしょ?」
「もぉ~!!本当に違うから!!」
「真っ赤になっちゃって…。姉の推理としてはカロト君かなぁ!イルク君もガタイが良くて農家でやってけそうだから、どっちでも良いけど!」
「姉ちゃんは嫁入り前で浮かれすぎ!!本当に本当に違うから!!」
「ハイハイ。……で、どっちが本命?」
「姉ちゃん!!!」
姉さんに深夜までからかわれながら帰省初日が終わった。




