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そこそこな幸せで十分です  作者: 蒼川りこ
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13)皆の打ち明け話

私達は食事を終えるとラウンジへ移動した。

思い切ってカフェオレを注文したらアッサリ出てきた。前世振りだよ!!食後はやっぱりコーヒーだよね!(カフェオレだけど)

メリザはカモミールティー、カロはコーヒー、イルクはジンジャーエール、ポリーはチャイを注文した。


『私は生まれた時から前世の記憶があったの』

『えぇぇぇぇ!?赤ちゃんからってこと!?』

『たぶん。周りの大人が知らない外国語話してるな、って思ってたし』

『それはキツかっただろうね…』

『うん。違和感半端なくて。喋れるようになったら私がずっと日本語話していたらしくて。現世の親が聞いたことない言語を話す私を心配して病院へ連れてったり偉い学者さんの所に連れて行かれたりしたよ。それで私もヤバいと思って何とかこの世界に順応出来るように頑張ったんだ。でも日本人の記憶は消せないから擦り合わせるのに苦労したよ~。幸い現世の親が商人だったから色々利用させてもらっちゃった!エヘン!』


私は13歳で記憶が蘇ったけれど13年この世界の常識の中で生きてこられたのは今となっては良かったと思う。日本人の常識と違うこの世界で生きていくのはどれ程大変だったろうか。


『…カロはいつから前世の記憶があったの?』


『オレは割りと最近だな。学園の入学が決まって修行続けられなくなるから親父にオレが作った靴を最後に贈ろうと思って不眠不休で作業してたらフラフラになっちゃって「あ~ヤバい、また倒れる」って思った時に。前世は過労死したからさ』

『前世はブラック企業で働いていたって言ってたけど本当に働き詰めだったんだね…』


カロは私が俯いていると頭をガシガシ撫でて


『そんな顔すんなよ。今は生まれ変わってオレなりにおもしろおかしく生きてんだからさ』

『うん…』


また相手に気遣わせてしまった。前世のメンバーだと最年長なのに。年齢イコール大人じゃないんだよね、本当に。歳を取ったから大人になれるという訳じゃない。10歳近くも下の女の子の方が人間的に出来てたり。うん。今世はもっとシッカリした大人を目指そう!大丈夫、まだ15歳だもの!


その時ズズズーッと音がして、音の方向を見るとイルクがストローでジンジャーエールを飲み干したところだった。やだ!皆でイルクのことを放ったらかしにしてた!!


「イルク、ごめん!!イルクの事忘れてた!!」

「ハハ。別に気にしなくて良いよ」

「でもずっと私達が何言ってるか分からなかったでしょ?」

「え?普通に分かってたよ?ちゃんと」



『…イルク。私達が言ってる事判るの?』

『え?うん。え?何?』

『……私達が話してたのは日本語だよ、ずっと』


イルクは初めて私達が何に驚いているのか気付いたようだ。そして日本語を理解していた事も、今自分が日本語を話した事も無意識だったらしい。


『マジかよ…。お前まで前世日本人かよ』

『は?え?え?前世?は?え?日本人?待って。え?』


イルクはパニックを起こしていた。まだ「え?」を繰り返し頭を抱えて蹲ってしまった。



新たに注文したコーラ(コーラもあるんだね!)を半分位まで飲んで、イルクはようやく落ち着きを取り戻した。


『それで…何か思い出した事はある…?』


イルクは腕を組んで頭を傾げてしばらく考え込んでから


『高校卒業してからずっとフリーターで。つーかバンドやってたんだけど売れなくてバイトに明け暮れてた。バンド仲間と海行って…酔っ払った勢いで海に飛び込んだら溺れて…そん時死んだっぽい。享年23歳、てことになるのかな』


…わぁ…。ごめんね、ムリヤリ思い出させた記憶が死んだ時の過去なんて。本当にごめんなさい…。

あ、また頭を撫でられてる。


『大丈夫だって!たった今思い出したんだぞ?それにカロと同じでオレも生まれ変わって漁師の子どもに生まれてずっと必死に生きてきたんだからさ!今けっこう楽しいし。あくまで前世は前世でしかないよ。気にすんなよ』

『…うん。うん。そうだね。そうだよね』


イルクは優しい笑顔でずっと頭を撫でてくれた。またしても気遣わせちゃった…。カロもメリザもポリーもイルクも、皆本当に優しくて温かい。


『プリナはきっと前世もプリナだったんだろうね』

『ね~。前世でも出逢えてたら絶対に友達になれてたと思う』

『うん。オレもそう思う』


皆の言葉に今度は涙が溢れて来た。…スッピンで良かった。顔グシャグシャだよ…。


『前世じゃ歳が違うじゃん…』


泣き笑いで言ったら


『だから、この世界で皆で同級生になれたのかもね』

『あ~なるほど。日本だと学年1コ違うのって大きいもんな』

『うんうん!私達が友達として出会えるように同い年に生まれ変われたんだね!』


メリザもポリーも泣き笑いで。温かい気持ちになって。

何も言わずにテーブルの上に皆で交互に手を重ねてた。一番上に最後に手を載せたカロが


『ヨシ!皆で白飯食うぞー!!』

『えぇ、今ものすごく感動的な場面だったのに、掛け声がそれなの?』

『本当。私達の涙を返して』

『…ブフォッ』

『いーから!ホラ、もっかい行くぞ!皆で白飯食うぞー!!』


『オーッ!!』


皆で笑いながら掛け声を合わせてパッと手を離した。


この世界に生まれ変わった理由だとか使命だとか、そんなの分からないけれど。


ここで皆に出会えて良かった!!




『さてと。んじゃ今から実家に行ってお米のこと頼んでくる』


雰囲気が落ち着いた矢先、唐突にポリーが言い出した。


『はぁ?今から!?待って!!いーよいーよ!!』

『そうよ!!まだ知り合って1時間だよ!?それに私達はポリーに無理させたかったんじゃないよ!?』

『そうだよポリー、マジごめん!!別にそんな急がせたかった訳じゃないから!!』


慌てて皆で立ち上がろうとするポリーを必死で引き留めようとするも


『私も食べたいから良いの!店にあるかどうかも分からないし、無ければ早目に頼んでおきたいし。今から行けば夕食前までに帰ってこれるから!』

『でも…』


それでも私達の無茶を聞き入れようとしてくれるポリーを何とか宥めようとする。けれどポリーは笑顔で


『お米が手に入ったら、皆でおにぎりパーティーしよう!!』


と言うと手を振って出ていってしまった。


申し訳無さと有り難さで。罪悪感があるのに嬉しいと思ってしまう自分がいて。皆同じ気持ちなのが判るのでもうポリーの厚意に甘えちゃおう、と話し合った。


この後探検を続ける気にはなれず私達はそのままラウンジで過ごす事にした。給仕さんに何か遊べる物がないかと聞くとトランプを渡してくれたので神経衰弱、ババ抜き、七並べ、大貧民…と皆が知ってるトランプゲームをやった。トランプなんて前世でも修学旅行中で班のメンバーと遊んだのが最後じゃないかな?他の皆も「超懐かしい!!」「え、こんなルールだったっけ?」とかワイワイ楽しんでた。


「プリナ、顔に出すぎ~」

「超分かりやすいよね~」

「フン。皆さんは私が演技をしているとは考えられませんの?」

「あり得マセーン」

「単純なプリナに演技なんてムリムリ」


くぅーっ。皆出会って未だ数日なのに何なのこの扱い!!こうなったら「ポーカーフェイサー・プリナ」を目指してやる!!


そしてポリーが戻って来るまで延々とゲームに負け続けたのでした…。







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