117)創立祭
新学期早々から準備した創立祭がやって来た!
ミサキが学園を去ってから学校生活も平和になって準備も順調に進められた。
未だに「平民ガー」という一部貴族はいるけれど高位貴族が睨みを効かせてくれている。
音楽室で行われたエクレアとイルクのセッションはとても素敵だった!2人とも息が合って楽しそうに演奏していた。これだけはミサキのお陰だね!
飛入りでカロがトランペット、シャルル様がバイオリンで参加して超盛り上がったので、私もタンバリンで参加しようとしたらメリザとポリーに拘束されて止められてしまった。
ポリーは何と演劇の主役に抜擢されていた!
ミサキが主役だったのだけれど、彼女が退学したため急遽役付きでなかった人に交代する事になったのだ。
お相手の王子様役が公爵子息だったために代役立候補者は多かったけれど、王子様役が相手役にポリーを指名したんだって!
ポリーは本当に彼に気に入られたんだね!
物語は前世の「眠れる森の美女」のような内容だった。
王子様がお姫様を目覚めさせるキスシーンでは観客席から悲鳴が上がった。
ポリーが真っ赤な顔をしていたので、もしかしたら王子様は本当にしたんじゃないだろうか!!
許すまじ!!公爵子息!!!
メリザは裏方として舞台裏でも頑張っていたみたいだ。演劇の稽古で親しい人も沢山出来たみたいで楽しそうだった。
セルゲイ様は闘技場で剣舞を披露していた。とても格好良かった!
男子生徒にも女子生徒にも歓声が上がっていたので男女問わず本当に人気らしい。
ウィル様とロベルト様は多忙だから合同研究として論文発表で済ませたみたい。
テーマは「我が国と聖樹の守護について」。
難し過ぎて途中で読むのを断念した。
ガブリエラ様は隣のクラスの演劇の主役をやっていた。とても綺麗だった。
ガブリエラの親衛隊の歓声が凄かった。
そして、私達の発表したオブジェは…
「…これ、何?」
「もしかしてシロップ?」
「いや、これはグリフォンだろ?」
「違うよ、ペガサスだよね…?」
「……………」
私とカロ、ダニエル様は無言。
どれも正解でどれも間違い。
私はシロップを作ろうとしたのだけれど馬好きなダニエル様はペガサスだと思い込み、カロはキマイラだと思っていた。
結果、前世の万博の塔に大きな翼と足が付いたような私にも説明不可能な作品に仕上がった。
ま、これはこれで面白いのでヨシ!
3人とも満足な出来だったので結果オーライ!
作品を観に来てくれた美術教師が「これは…聖樹の化身だね?」と言ったので声を揃えて「そうです!」と答えておいた。
ダニエル様は絵を二点、私は三点出した。
ダニエル様の恐竜みたいな湖の絵、牛と見間違えた「馬」の絵。
私はクロールとクロエのカップルの絵、ミツバチの群れ(題材は言うな、とカロとダニエル様にキツく言われた)、そしてフルール様の絵。
フルール様の絵は先生方に物凄く評価されてしまって額縁に入れられて正面玄関口に展示された。
手元に帰って来たら寝室に飾って一生の宝物にしようと思う。
私は切なさも混じった幸福な気持ちでフルール様の絵を1人見上げていた。
「プリナ」
「!」
振り返るとウィル様が近付いて来るところだった。そして後ろには何人か人がいた。
「プリナに紹介したい。父上と母上だ」
「父上……って王様!!?」
そういえば入学式で遠目で見た!!
「えっと、初めまして…あの…」
王様にどんな挨拶すれば良いの!?カーテシーってやつだっけ!?
「そう身構えなくても良い。ウィリアムから話は聞いておる。息子が世話になった」
「…………いいえ、とんでもない……」
「そなたが精霊の御遣いの覚醒を手助けしたそうだな」
「…………いいえ、そんな……」
殺されかけて、ですけどね!
「先日の森の火災もそなたの尽力があって事なきを得たと聞いておる。助かった。……礼を言う」
「……勿体ないお言葉です……」
緊張して顔を上げられない。
「この絵はあなたが描いたのですってね」
「!…はい」
王妃様はとても優しそうな綺麗な方だった。
「とても素敵な絵ね。…愛情が伝わります」
「!…ありがとうございます……!」
王様と王妃様は私の絵を見て微笑んでくれていた。
「プリナ・リンカ嬢」
「はい」
「そなたと出会って息子達は大きく成長した。これからもよろしく頼む」
「……はい」
お二人は御付きの者達を連れてその場を去った。
「本当は兄上と姉上も紹介したかったのだが…」
「はい?」
ウィル様は顔を真っ赤にして残っていた。
「プリナのご家族には紹介してもらったのに…すまない」
「はい?…あれは…紹介した事に…なりますね……」
私の家族に会ったから自分も紹介したいなんて、ウィル様は律儀だなぁ。
「兄上は姉上の独奏会に行っているんだ。必ずプリナに紹介するから、安心して欲しい」
「……?はい。分かりました」
安心?よく分からないけれど、私が頷くとウィル様は目をキラキラさせて破顔した。そしてご両親を追い掛けて行ってしまった。
1人になって、私はまた自分の絵を見つめた。
「プリナ」
「カロ。カロも見に来てくれたの?」
「……ああ」
2人でフルール様の絵をずっと静かに見ていた。
「…本当に良い絵だな……。オレは好きだよ」
「ありがとう」
カロはそっと私の手を取って握ってきた。
「……すごく好きだよ」
「ありがとう」
しばらく黙って絵を見た後は2人で学園内を見て回った。
お読み頂きありがとうございます!
恐れ入りますが、今後は多忙のため更新速度を落とし1日1回とさせて頂きます。
最後までお付き合い頂けたら幸せです!




