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そこそこな幸せで十分です  作者: 蒼川りこ
114/137

114)助けてみせます!!

私は生命の聖樹の元に着いた。

一晩経って、雨が止んで空が明るみ出した朝焼けにはまだ早い群青色の景色の中で、黒々と焦げた姿がハッキリと見えた。


無惨な姿にまた目に涙が溢れてくるけれど、涙を拭いて深呼吸した。



「精霊の皆さん!どうか生命の聖樹様を助けるために、私に力を貸して下さい!!どうか…お願いします!!」


クロールとクロエが仲間を連れて飛んできてくれた。

寮の部屋に置いてきたシロップもやって来た。

ボディーガードのネズミ達も更に仲間を連れてわざわざやって来てくれた。

沢山の色々な鳥達、リスやモモンガなどの小動物、カエルやトカゲ、ミツバチ、蝶々、バッタ達も駆け付けてくれた。

王宮の中にやって来れるのは翼を持つ者達がほとんどだ。


「プリナ!ここで何をしてるんだ?」

「私達にも手伝わせて!」

「1人で先走るなって言っただろ?」

「!!みんな…!!」

「僕も力になるよ!」

「私も全力を尽くそう」

「私も……プリナ様と、生命の聖樹様に全てを捧げます!」


メリザ、ポリー、カロ、イルクにウィル様、セルゲイ様、ダニエル様、シャルル様、ロベルト様も全員集まってくれた。


「…これから皆で生命の聖樹を助けます!どうか力を貸して下さい!」

「もちろん!!」

「皆でフルール様を助けよう!!」

「おーっ!!!」



絶対に諦めない!!!



『プリナ、私達にも手伝わせて下さい』

『我々も父を救いたい』

『我らのために命を賭けて助けてくれたのだ。恩返しがしたい』

「聖樹様…!!」


森の聖樹様達も王城まで駆け付けてくれた。


『これは森の意思だ。森の住民達の願いでもある』

「はい…!!」



私達は生命の聖樹を囲んで祈りを捧げる。


「…!?」


国中の精霊達の力が集まっているのが伝わる。


フルール様、この国の精霊達みんながフルール様を救いたいと願っています…!!


どうか…どうか……!!

命を繋いで下さい!!



皆の願いが集まって、生命の聖樹が輝き出した。



枯れ木となっていた枝に小さな若葉が芽生えた。


「…!!」


皆に安堵の溜め息が漏れた。


命を繋ぎ止められたんだ………!!!


『…これが精一杯です』

「…はい」

『生命の聖樹様は…それでも死に近付いています。それを止める事は出来ません』

「……………はい」

『あとは私達の父の生命力次第です』

「……………はい」

『我らの父は生きる希望を見出だした。そなた達のお陰だ。礼を言う』

「……………いいえ」


私はヨロヨロと生命の聖樹に抱き着いた。


どうか…生きて………!!!

頑張って……………!!!


「あっ!また新芽が芽吹いたぞ!!」

「フルール様、頑張って!!」

「生命の聖樹様……!!!」


また枯れ枝に小さな若葉が芽生えた。


きっと、もう大丈夫。

一命は取り止めた。


『ありがとう……愛しい人』

「!?」


フルール様の声が胸に響いた。


フルール様、生きてくれてありがとうございます!!



「皆さん。私のために力を尽くして下さって、本当にありがとうございます」

「フルール様!!?」


フルール様が生命の聖樹の元に来てくれた。

さっきまでより、ずっと顔色が良くなって穏やかに微笑んでくれる。



その瞬間、さっき自分がしでかした事を思い出した!


「!!!」


一気に全身が熱を持った。

顔が半端なく熱い…!!!


恥ずかしくてフルール様の顔が見られない…!!


「プリナさん」

「!…………はい」


聖樹様達、ウィル様達が跪いて頭を垂れた。


フルール様が私の前に来てくれたけれど、顔を上げる事が出来ない…。


「プリナさん?」

「さっきはごめんなさい…!!」

「はい?」

「必死だったんです…!無我夢中で、それで……!本当にごめんなさい!!」


私も皆と同じように跪いて…と言うか土下座しようとした。


それをフルール様に止められた。


「あなたが私を死の淵から救ってくれたのですよ。ありがとう……愛しい人」

「!!」


やっぱり私はフルール様にギュッと抱き着いた。

嬉しくて涙が止まらなくなった。


「フルール様…フルール様…!!」

「はい、プリナさん」


フルール様は優しく抱き締め返してくれる。


「フルール様……生きててくれてありがとうございます…!!大好きです!!」

「ありがとうございます」


フルール様の身体が暖かくて、それが嬉しくてどんどん涙が溢れてくる。


「プリナさんは本当に泣き虫ですね」

「……これは嬉し涙だから良いんです」


「泣かないで……愛しい人」

「!!」


さっきフルール様がベッドで横になっていた時と同じセリフだ。


あの時とは全然違う気持ちで聞けて、また涙が溢れてくる。


「フルール様、大好きです……!」

「ふふ、知ってますよ」



こんなに幸せな気持ちは生まれて初めてだ。

前世でも、こんなに幸せだと思ったことはなかった。


朝日が昇って、枯れ枝に芽吹いたばかりの新芽達がキラキラと輝いていた。




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