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そこそこな幸せで十分です  作者: 蒼川りこ
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107)お礼に参ります(2)




翌日は蝶が教えてくれた通り、朝から雨だった。

今日はフルール様に会えない…。


私はさすがに森を歩き過ぎて疲れて微熱を出してしまった。もともと退院しても数日間は療養するように言われていたのだけれど。


食事もメリザ達が部屋まで運んで来てくれてカロが食べさせてくれた。


「もう自分で食べられるよ…リハビリにもなるし」

「良いから。はい、あーん」

「…あーん」


朝食を食べ終わると皆は授業を受けに行った。



暇だ……。



私はメリザから借りた本を読むことにした。

内容は芸術的な才能に恵まれた美少年が体育会系の少年に猛アタックされると言う恋物語。


「これ、シャルル様と…セルゲイ様っぽい!…いやいや、イルクでもアリかも!?」


妄想を膨らませて、夢中で一気読みしちゃった!


「ガウ…」

「シロップも暇なの?」


私はベッドの上でシロップと毛糸で綱引きをして遊んだ。


シロップはしばらくすると飽きてしまってシロップの寝床の籠のベッドで眠ってしまった。


未だ昼休みまでは時間がある。


私は居間に移動して今までに届いたお見舞いの品を整理する事にした。

もう、ここでお花屋さんを開けそう!

何故かまた巨大熊のなぬいぐるみがあった。送り主は誰だろう?エクレアにあげようかな?…この子が気の毒か。


クロールが届けてくれた草は薬草だって言っていたのを思い出して鉢植えに植える事にした。

ドクダミみたいな独特の匂いがする。よく身体中に貼られてこの匂いに耐えられたな、私。


カラス達が必死に集めて持ってきてくれた事を思うと嬉しくて何だか泣けてきた。


手を洗ってから、急須でお茶を淹れた。

緑茶はやっぱり落ち着くなぁ…。


「何だか1人でサボってるだけみたいだよね…」


私はガウンを羽織って大地の聖樹に会いに行くことにした。部屋から出たのがバレたら怒られるかも…?まっ、バレなきゃ平気平気!




雨に佇む緑色の聖樹は葉っぱから雫が落ちて揺れて、とても美しかった。


「あなたも森の聖樹の仲間だったんだね…。1人離れていて、寂しくない?」


樹に手を触れると雨の中でも温もりが伝わってきた。


「そう言えばフルール様はこうして聖樹に手を触れていたっけ…」


私も聖樹に栄養を送れたら良いのに。


「いつも私達の修業に付き合ってくれて、本当にありがとう。これからもよろしくお願いします」


私の声に答えるように、聖樹が揺れた。


お礼を言うつもりが、逆に元気をもらっちゃった。



聖樹の側にいると、とても心が安らぐ。

まるでフルール様みたいだ。


「フルール様は聖樹そのものみたいですね」


フルール様の優しい笑顔を思い出しながらペンダントを握る。



『プリナさん。どうしましたか?』

「!?」


そうだ!フルール様に呼び掛けると声が届いちゃうんだった!!


「ごめんなさい!!あの、今、大地の聖樹に会いに来ていて、その、フルール様みたいに安心するなぁって思って……フルール様を思い出してただけなんです!…お忙しいのに、本当にすみません…!」


私は用もないのに無意識に呼び掛けてしまった事を反省して姿が見えないフルール様に一生懸命頭を下げて謝罪していた。


『プリナさんが思い出してくれて嬉しいですよ。ですが、この雨の中を出歩いているのですか?』

「!すみません!あの、直ぐに部屋に戻ります…!」


フルール様の穏やかな笑い声が聴こえた。


『そうして下さい。外にいたら風邪を引いてしまいますよ』

「はい…」

『大地の聖樹はとても喜んでいますよ。いつも大切に思って下さってありがとうございます』

「!はい!」


私は寮へと歩き出す。


『明日も雨が続くようですね。精霊達が教えてくれました』

「そうなんですか………」


明日も会えないのか……………。


『明日は大人しく過ごしていて下さいね。きっと明後日は晴れますから』

「はい!」



私はスキップしながら帰った。


フルール様とお話し出来ただけで幸せ!


ちゃんと元気な状態にしておかないと!



私もフルール様みたいに誰かを元気にさせられるような人になりたい!



その後は部屋で大人しく過ごして、昼休みに来てくれた皆と部屋でランチを食べて、午後は昼寝と遅れた勉強の復習をした。



「プリナが大人しくしてる…!」

「絶対に動き回ってると思ってた!」

「いつも大人しくしてくれてるとオレらも安心なんだけど?」

「プリナだって早く学校に行きたいんだもんね!ちゃんと大人しくするわよ!ねっ、プリナ!」

「あはは……まあね」




コッソリ聖樹に会うために外に出掛けたのは内緒。



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