100)家族の上京
私は森の入り口までシロップに運んでもらって待機していた救急車で直ぐに病院に搬送されて、そのまま2週間ほど入院した。病院にはリハビリ入れたら本当は最低1ヶ月は入院するように言われたんだけれど。
癒しの聖樹様のお陰で思ったよりも怪我が少なかったようだ。…とはいってもレントゲンで腕や腰椎、大腿骨など複数の骨折箇所が見付かったらしい。聖樹様達が自然治癒力を高めて治療してくれたお陰で骨折は修復されつつあったみたい。切り傷はクロール達の貼ってくれた薬草のお陰で悪化しなかったそうな。
ちなみに私が発見されたのは行方不明になってから5日後だったそうだ。
学園から相当離れた位置で発見されたらしい。
ミサキの力が邪魔していて捜索はとても難航したんだって。
クロール達カラスのネットワークでミドリーノ達と協力して寮の皆に私の居場所を知らせてくれたようだ。
シロップの暴れようが凄かったとメリザ達が後で教えてくれた。
「プリナぁぁ!!」
「プリナ…ああ、生きてて良かった…!」
「お父さん?お母さん!?」
「ねえちゃ!いたいいたいなの?」
「アリルも来てくれたの!?」
「プリナが行方不明だと知らせてくれて、王子様が家族皆の分の馬車を用意してくれたのよ」
「ウィル様が………」
「プリナが行方不明だと聞いて寿命が縮んだよ…。無事で本当に良かった…」
「心配かけてごめんね…。それから遠いのに駆け付けてくれてありがとう」
「当たり前だ!…しかし王都は本当に遠いな…。そして美しいな、建物も街の雰囲気も!」
「せっかくだからさ、ゆっくり王都観光でもしなよ。なかなか来れないんだから」
「…そうだよな!王都なんて一生来ることないもんな!!」
「お父さん……観光目的で来たんじゃないんだよ?プリナのお見舞いが優先だからね?」
「!もちろんだよ!ちゃんと分かってるよ!」
「どうだかなぁ…」
「うふふ!」
家族皆との再会はとても嬉しかった!
アリルも少し見ない間に大きくなって……。
夏休みに帰省しなかったし冬まで会えないと思っていたから本当に嬉しい!!
「プリナ!…これは家族お揃いのところを失礼した」
「ウィル様!大丈夫ですよ。あの、家族のこと、ありがとうございました!」
「いや、王族として当然の事をしたまでだ」
「王族!?」
あ、皆はウィル様と初対面だったのね。
「えーと、こちらはこの国の第二王子様のウィル…じゃなかったウィリアム殿下です。私のお友達なの!」
「お初……初めまして。ウィリアムと申す…ます。プリナ…嬢…さんとは親しくさせてもらっている…です」
「王子様とプリナが!?ウソでしょ!?」
家族が軽くパニック状態になった。
まぁ田舎在住の平民が王族と知り合うなんて想像もつかないもんね。
ウィル様も私の家族に気を遣う必要なんてないのに何だか口調がおかしかった。何故だかウィル様の顔が赤い。
「プリナ、身体の痛みはどうだ?」
「ウィル様、1人で先に行かないで下さいよ…。よっ、プリナ!良かった、顔色が良くなったな」
「セルゲイ様、ダニエル様!わざわざ来て下さってありがとうございます!」
家族にセルゲイ様やダニエル様を紹介すると家族は皆固まってしまった。処理能力が追い付かなくなったみたい。
家族には観光に出掛けてもらって私の個室には私と王子様達だけになった。
「今日は学校はどうしたんですか?」
「公務があったからな。プリナの見舞いに来るにはちょうど良かった」
「ウィルはプリナに会いに来るために公務を入れたようなモンだけどな~」
「!?」
「ふふっ、ありがとうございます」
「………精霊の御遣いについて知りたいだろうと思ったのだ!」
ウィル様が真っ赤な顔で言った。
確かにそれは気にはなっていた。
でも私と2人で森に入った事すら誰も知らなかったはず…。
「精霊が教えてくれたんだよ、ケルルート様に」
「ケルルート様に…?」
「ああ。それで…精霊の御遣いの能力が覚醒して、我が国に現れた聖女として丁重に扱う事が決まったから、これからは神殿で巫女として暮らしてもらうことになったのだ」
「巫女として…」
「表向きはな」
「えっ?」
「精霊の御遣いが力を暴走させたんだ。危険だから神殿に隔離するという事だ。学園も辞めてもらった」
「…!?」
私を退学させようとして、ミサキ自身が辞めることになったんだ………。
まぁそれも自業自得と言うか。
「それで…ケルルート様は…?」
「責任持って令嬢の面倒を見てもらうよ。プリナが行方不明になった時にカロに殴られたんだぞ?」
「カロが!?ケルルート様を!!?」
王族出身の神官を殴るなんて、カロが処罰されたらどうしよう!!!
私は血の気が引いた。
「心配しなくて良いよ。ケルルート様が令嬢をけしかけたのは事実だし。イルクやエクレア嬢、メリザもポリーだって殴りかかる勢いだったよ」
「うわぁ……!!」
エクレアが手を出してたら本気でヤバかった!!カロより絶対に強そうだもん!!私と一緒にケルルート様も入院する事になってたかも…!!
「ケルルート様もさすがに反省したんだろうな。プリナに会わせる顔が無いと言ってたぞ?」
「………そう、ですか」
私はケルルート様に対して怒りの気持ちはちっとも無いのだけれど。
会えないと言われるのは淋しかった。
「まぁこれで安心して復学出来るからな!僕達もストレス無くなって助かったよ」
「ホントだよ!まぁシャルルが一番喜んでるんじゃねーか?」
「だろうな」
王子様達が明るい笑顔で話してる。
そうか。
ミサキは巫女になったのか……。
私がもしも神官になったら巫女のミサキに仕えることになるのかな…?
それは嫌だなぁ……。
「それにしても酷い状態だったはずが思ったよりも怪我が浅くてビックリしたぞ!」
「ああ、それは聖樹様が助けてくれたんです」
「聖樹様?」
皆には話してある森に捨てられてからのことを全て王子様達に伝えた。聖樹様達の事も。
王子様達は顔が青くなったり赤くなったり白くなったりで忙しかった。
「…………………そうか」
「……………」
ウィル様が一言発したきり、王子様達は無言になってしまった。
聖樹が人の姿で現れて私と話してくれたなんて直ぐには信じられないかも知れないものね。
「退院したら森にお礼を伝えに行きたいです」
「この後はリハビリがあるんだろう?」
「森でしますよ。癒しの聖樹様の側ならきっと回復も早いと思います」
「…そうかも知れないが………」
「まぁ無理はするなよ」
「はい!大丈夫です!」
早く森の皆に会いたい!!
私の気持ちはそれだけだった。
ついに100話まで来ました!!
思った以上に長くなってしまいました…。




