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君がいる日々。  作者: 福田有希
第一章;三浦大輔
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第一章;第十五話

 外見が女性になっているので予想はしていた。

 けれど現実として僕には受け入れることが出来なかった。


 アニメで朝起きたら女の子になっていたというものは見る。

 変身したら女の子だったというのもアニメでみる。

 朝起きて女の子に変身して女子高に通う。

 女子の更衣室で下着姿の女の子たちがたくさん居て、

「やべぇ、まともに見れないよぉ」とか言っている主人公の物語。


 でも現実に女の子になり、女の子として高校に通い、

 実際に子供が産めると言われると、どうしていいのかわからない。


 この女性の身体について、本当によくわからない。

 子供が産める身体。

 自分の身体の中に生命を宿すことの出来る身体。

 そう言われて僕はどうすればいいんだよ。


 もっと力強く生きることが出来ないと駄目なんだろうけど、

 こんなにも筋肉もあるように思えない細い手足で、

 こんなにも力の弱い身体なのに、

 どうしてにあんなに強く生きれるの?


 お母さんを見てきて、お姉さんを見てきて、

 真奈ちゃんやお友達を見てきて、

 どうしてあのように強く生きれるのか不思議でならない。


「これから本当に僕はどうなるんだろう」


          ☆彡


 次の日の午後に真奈ちゃんがクラスメートを連れて面会に来た。

 僕が大怪我を負い入院したということは、

 クラスだけでなく全校生徒が知ることとなった。

 心配してくれた真奈ちゃんがお見舞いに行こうと思っていると、

 みんなで行こうという話しに広がり、米倉先生があわてて止めに入り、

 クラスの代表ということで数人を選出して

 今日、お見舞いに来てくれたという。


「結ちゃんって本当に人気者だから、みんなとても寂しいんだよ。

 だから早く怪我を治して元気になって学校に来てね」

 真奈ちゃんの言葉はとても嬉しかった。


 真奈ちゃんが僕が入院中、

 授業に遅れないようにノートを取ってくれて持って来てくれた。

 僕専用に細かく必要なことや大切なことを

 マーカーを使って丁寧に判りやすく書き込んでくれていた。


 その後にまだ体験入部だというのに、部活動の人たちが来てくれた。

「第二校の苛められている男子生徒を助けて自分は大怪我するって、

 結ちゃんはどんだけ正義を振りかざして生きてんだよ」

 武道部居合道の先輩達が爆笑していた。


「もう本当に結ちゃんって心配ばかりかけるんだから。

 危なそうな子だなって思っていたけど、

 ここまで無鉄砲な子だとは思わなかったわ」

 アーチェリー部の人たちが来てくれて笑っていた。

 部活の先輩たちはとても優しく僕に接してくれていた。

 部活のときは厳しいんだけど、先輩との話も僕を勇気つけてくれた。


 そしてお姉さんが僕の着替えやタオルとか持ってきてくれた。

「着ている服は全部脱いで」

 そう言ったお姉さんは濡れたタオルで僕の背中を拭いてくれた。


「僕はいつまで入院するの?」

「明日、精密検査をして結果がよかったら退院だよ」

 やっと退院できる目処が立って、僕は嬉しかった。


「学校は僕の処分とかあるのかな?」

「それについては私が学校と話しているから、結ちゃんは心配するな」

 やっぱり処分があるんだ……。

 喧嘩をして沢山の人に迷惑をかけたんだから当たり前だ。

 すべて学校の処分に従おう。


「ただせさえ僕は勉強が苦手なのに勉強がまた遅れちゃったな。

 遅れた分はしっかり取り戻さないといけないね」

「結ちゃんの口から勉強という言葉が出るとは思いもよらなかった。

 本当に変わったね。悪い意味じゃないよ。本当に自慢の妹だよ」

 お姉さんからの言葉がとても嬉しかった。


          ☆彡


 また一日が過ぎ、僕は精密検査を行うことになった。

 検査結果は2~3日ということだった。


 そして検査の結果、

 土曜日に退院することとなった。

 お母さんとお姉さんが来てくれるので一緒に帰ることになった。


 ちょっと長い入院生活だったけど、

 僕にとって沢山考えることが多かったと思う。

 この身体とどのように向き合っていけるのか本当にわからないけど

 僕は本当に女性なんだ。女性になったんだ。


 朝、目覚めたら女性になったという

 現実にはありえないことが僕には起きた。

 でも事実は事実だ。

 この事実を僕はしっかりと見つめないといけない。

 僕自身の身体なんだから、この身体を大切にしていこう。


 辛いときも苦しいときもあると思う。

 だけど僕にはお母さんが居てくれる。そしてお姉さんが居てくれる。

 とても心強い大切な僕の家族が支えてくれるんだ。

 そして僕には大切な友達や先輩達が居てくれるんだ。

 だからどんな困難にも立ち向かえる気がする。


 

 本当にみんな、ありがとう。

 そしてこれからもよろしくね。




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