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君がいる日々。  作者: 福田有希
第一章;三浦大輔
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第一章;第一話

 まずこの物語について最初に言うことがある。

 今から話すことはアニメや漫画で出てくるような展開なのだが、

 すべて自分の身に起きたことであり、

 なぜこのようになってしまったのか見当も付かない。


 自分の身に起きたことはアニメや漫画でよく見ることが出来る。


「願望」


 そう、男であれば一度でいいから経験したいと思うような事が、

 実はありえない話ではあるが僕の身に起きたのだ。


 物語というものは読者に面白可笑しく書いてあることが多く、

 そして常に読者を楽しむように出来ているものである。

 それが読者の願望であったり現実社会から離れたことであったりする。

 現実社会から離れているからこそ楽しめるものだと思っている。


 交通事故や事件に巻き込まれ異世界に転生するもの。

 何かの拍子に異世界に転移してしまうものがそれである。

 そして悪と戦い最終的には主人公が勝つのである。


 ほかにはありえないほどの美少女との恋愛をしたり、

 少女マンガでは美少年との恋愛というものもある。


 人には「こうありたい自分」「こうなりたい自分」というものがあり、

 その人の願望がアニメや漫画や小説、ゲームといった媒体によって

 現実に体験(妄想)が出来るものである。

 その体験(妄想)が心地良い気分にさせてくれる。


 自分が主人公になることで現実では起きないことが、

 さまざまな媒体によって現実として体験できる。

 僕はその体験こそ素晴らしいことだと思っている。

 現実にありえないことだからこそ楽しめるというものだ。


 では、そのありえないことが現実に起きてしまったらどうだろう。

 僕はその「現実ではありえないこと」を実際に体験した話である。


          ☆彡


 僕はいつものように学校に行った。

 そしていつもと同じ毎日がとてもうんざりだった。

 勉強は得意ではない。

 こんなもの得意といっているやつの気が知れない。

 もちろん得意教科というものはある。

 嫌いな教科が多いということだ。文学は特に嫌いだ。


 ある日のテストの出来事の事。

『このときの主人公の気持ちを答えよ』という問題があった。

 主人公の気持ちなぞ知るわけが無い。

 まず普通に考えれば文脈を読んでみて、

 こう主人公は思っているだろうと予想は出来る。


 しかし僕は思うのだ。

 このとき(物語はたぶん昼ころだ)お腹が空いていたに違いない。

 このお昼時にいろいろと話をされてイライラしているに違いない。

 頭の中は今日のお昼は何を食べようかなと思っているに違いない。

 このときの主人公の気持ちは?


『お腹が空いてるのにわけのわからないこと抜かしやがって!』


 当たり前の事だが、正解をくれるわけも無い。

 これで丸をくれる先生が居たら紹介してくれ。

 僕はこの気持ちを判り合えたことの嬉しさのあまり

 その先生を抱きしめることは確実だ。


 このように僕は人の気持ちを考えるということは

 ほかの人にはありえないくらいに苦手だ。


 僕には一つ年上の姉が居る。

 姉は地元で有名な私立の進学校に通っている。

 とても頭が良い。

 容姿端麗、成績優秀、スポーツ万能。

 いつも僕と比較されている。

 男子と女子を比較されるというのはどういう意味だ?とおもうだろう。

 僕はというと前述のとおりに成績ははっきり言わなくても良くない。

 スポーツは好きだ、身体を動かし汗を流すとストレスの発散になる。

 しかし姉のように県大会に出場できるほど運動神経は良くない。

 容姿はというと背は173センチと高い。細身の身体ではあるが。

 顔は、かっこよくも無く、悪くも無い。平凡で影が薄い。


 こんな僕に姉が居たら色々と比較されて当然であろう。

 スタイルも良く、可愛くて、頭も良く、運動神経抜群で、明るくて、

 慕ってくれる後輩も多い姉がいたら周りからどう思われるだろう。


『三浦さんのところの由依ちゃん、また学年一位だったそうですわ』

『本当に頭も良くって、とっても可愛らしくて、明るくって、

 いつも挨拶してくれてよく出来た娘さんですよね』

『それに引き換えあの弟さんは……ねえ……』

 こういうことを毎日のように聞かされる僕だ。

 はっきり言う。

 僕は姉が大嫌いだ!親も嫌いだ!近所のおばさんも大嫌いだ!


 お姉ちゃんは良く出来るのに、お前はなぜ出来ないの?

 お姉ちゃんは本当に素晴らしい子。

 お姉ちゃんは本当に頭の良い子。

 お姉ちゃんは。お姉ちゃんは。お姉ちゃんは。

 こんなことを聞かされていてどこの世界に好きになる人がいるんだ。


          ☆彡


 ちょっと休憩しよう。

 僕も熱くなってしまった。


 とりあえず僕の日々の生活はこのような生活である。

「なんだ、ただの愚痴か」

 そう思われた人も多いことであろう。


 前置きは長くなってしまったが、

 この毎日がたった一夜で一変してしまう。


 この物語は現実ではありえないことが実際に起きてしまった。

 僕の身の上の物語である。




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