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昨日の好敵手は今日の恋人候補!?  作者: 龍威ユウ
第一章:あべこべ世界
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第五話:平穏な学園生活を望む

 あべこべ世界でも授業までは変わらない。

 変わらないが、予習復習をきっちりとこなす龍彦も歴史の授業ではついていけずにいた。

 歴史自体が大きく狂っているので、予め会得している知識がまるで役に立たない。

 あの有名な織田信長も女として存在している。

 どこのエロゲーだと、ツッコミの連続をさせられる一時間を過ごして――現在、昼休み時間を龍彦は満喫していた。

 昼休みは学生にとって最大の癒しだ。

 空腹を訴える胃を満たすために食事を取る。友人達とくだらない会話で盛り上がる。

 学生でしか味わえない時間。女子に絡まれない龍彦にとっても、この時間だけは何よりの楽しみだった。

 それはそうとして。


「飯中やのにいい加減落ち込むんやめぇや」


 食堂の一角。

 龍彦が食事を摂っているテーブルに座る友人達の顔色は暗い。

 薄墨をぶち撒けたかの如く、どんよりとした空気に包まれている。

 龍彦はその空気が気に入らない。彼にとって食事とは楽しく食べるものであって、落ち込んでするものではないからだ。


「そんなこと言ったってさぁ……」


「次の授業体育だよ? 気が滅入らない方がおかしいよ……」


「たかが体育やろ。何がそんなに嫌やねん……って聞くのは野暮っちゅうもんやな」


 友人達……否、男子生徒全員が落ち込んでいる原因は次の授業が体育だからだった。

 体育を嫌う人間には二種類いる。

 一つは純粋に運動が嫌いだから。

 もう一つは運動神経のなさを周囲に馬鹿にされるから。

 特に女子と合同で行った場合には圧倒的に後者が際立つ。実際に体育になると見学すると逃げる輩がいたし、そうした友人に龍彦は喝を入れて無理矢理授業に引っ張り出してきた。

 だが、あべこべの世界では違う。

 彼らは決して体育そのものが嫌いなのではない。

 嫌っているのは――。


「ハァ……また女子がジロジロと見てくるんだろうなぁ」


「僕……休もうかな」


 女子生徒から性的な目で見られることが、男子生徒達の気を滅入らせていた。

 それについては、まぁ。わからんでもない。龍彦は記憶を過去に(さかのぼ)らせる。

 女子生徒の体操服姿は、普段とは違うエロさがある。

 特に運動後、汗で濡れた体操服が透けて下着が見えることも多々あった。

 男子からすれば幸運で、女子生徒からすれば不運だったことだろう。好きでもない相手に下着を見られたのだから。

 それに倣えば、男子生徒達が嫌がるのも当然と言えよう。

 とは言え。


「シャツぐらい見せたれよ……減るもんちゃうんやし」


「嫌だよ! いきなり何言い出すんだよ龍彦!!」


 下着を見られたぐらいで刃崎龍彦(はざきたつひこ)は動じない。

 見たければ見ればいい。その代わり対価をもらうまで。

 男子と言う立場を利用して女子の身体を心行くまで堪能する。

 ただし、知っている顔は駄目だ。元が男だから吐く――楓の時は、欲望が勝ったから大丈夫だったけどとにかく駄目だ。

 深い溜息ばかりを吐く友人達を残して、龍彦は先に食堂を後にする。

 特に予定はないが、このまま落ち込んでいる空気に浸るのは性に合わない。

 それならば、知識のない【聖アマトゥリス学園】を散策でもした方がまだ有益だ。

 自分の教室と食堂以外の校内を龍彦はまだ把握していない。

 そう思うとちょっとした探検みたいで、柄にもなく好奇心に胸が躍った。


 校舎内を一通り見て回る。

 視聴覚室や空き部屋。

 普段見慣れているものなのに、どうしてかとても新鮮に感じる。

 初めて学校に来た幼少期を懐古して、ふと龍彦は思う。


「誰もおらへんな……」


 龍彦の知る昼休みは、廊下にはいつも学生達で溢れていた。

 会話を楽しんでいたり、子供のようにじゃれあっていたりと、ひょっとすると教室以上に賑わっていたかもしれない。

 【聖アマトゥリス学園】の男子校舎は――驚くほど静かだ。

 元々男子生徒の数が少ないこともあるが、いかんせん広すぎるのが悪い。

 教室もいくつも無駄にあるし、彼が歩いている廊下も大人数が歩いても余裕があるように設計されている。

 貧乏生活を送ってきた龍彦からして見れば、【聖アマトゥリス学園】は無駄使いの具象化だった。

 ところで、あれはなんやろうか。龍彦は視線の先にあるものを凝視する。


「ちょっと刃崎くんがいるわよ!」


「ちょっ、マジで!? カメラ撮らなきゃ!!」


「龍彦さまこっち向いてー! できればこっちに来てー!」


 たくさんの女子生徒達が叫んでいた。


 男子と女子を分け隔てる一本の連絡通路。

 基本、連絡通路を使ってもいいのは男子生徒のみとなっていて、もし女子生徒が通ろうものならキツいお仕置きが待っている……らしい。

 よって校則から女子生徒は連絡通路を渡れない。

 渡れなければ男子に絡むこともできない。

 だから彼女達は連絡通路の向こう側で男子生徒が通るのを待っている。

 僅かな期待を胸にひたすら待ち続けていたのだろう。足元を見やれば、弁当やら空き缶やらゴミが散乱している。

 そうしてどうやら、俺がその念願の男子生徒となったらしい。龍彦は苦笑いを浮かべて、手を振ってやることにした。

 歓声が上がる。その様子がとてもおかしくて、思わず頬がニヤけてしまう。


「さぁ来いよ龍彦。恥じらいなんか捨てて私のとこに来い!」


 見知った顔が何か叫んでいるが、無視することにした。


 一頻り女子達の反応を楽しんだ後、龍彦は探検を再開する。

 休み時間は限られている。おまけに次が体育ともなれば更衣する時間も含まれる。

 あまりのんびりとはしていられない。時間は有限なのだから。

 校舎から外へと移る。

 とりあえず時間配分から考察して、中庭を探検することにした。

 外は無法地帯だ。女子生徒も利用するから、遥希や楓と遭遇する可能性もある。

 そうなれば面倒だが、まぁ逃げ切れればいい。

 校内ではさすがの彼ら……いや、彼女達も暴力沙汰には持ち込んではきいひんやろう――と、五分前の自分を殴り飛ばしてやりたい気分に龍彦は駆られる。


「こんなところで出会うなんて、やはり私達は運命の糸で結ばれているみたいですね龍彦さん」


「ぜぇ……ぜぇ……お、俺は全然思わへんけどな」


 衛と遭遇して龍彦は全速力で逃走を図った。

 図って、衛の縮地にあっという間に追いつかれる。

 縮地とは武術を学ぶものであれば到達すべき究極の歩法。達人ともなれば瞬きの間に間合いを詰めて敵手の命を奪えると言う。

 たかが男子生徒を追いかけるために使われては、せっかくの縮地も台無しだ。世の中の武術家達は今すぐ怒りをぶつけていい。

 しかし、だ。元の世界でも縮地で追い掛けられているから、龍彦からしてみれば今更な話でもある。

 さて、と乱れた呼吸を整えつつ龍彦は衛を見やる。

 

――なんでそんなにかわいいねん……おかしいやろ!


 現実の衛も女体化したらこんなにもかわいくなるんやろうか。そんなことをふと思う。

 男であれば誰しもが彼女に美を感じよう。

 あの手この手を使ってアピールして交際しようとするだろう。

 出会いさえ違っていれば、知り合いでさえなければ。

 きっと付き合ってたやろう。龍彦は自嘲気味に小さく笑う。

 巨乳でポニーテールで女子学生、三つの要素は龍彦の性的に強く働きかける。

 早い話が、刃崎龍彦(はざきたつひこ)が抱く異性へのイメージとほぼ一致していた。


「……それで、俺に何か用ですか? 真宮先輩」


「そんな他人行儀な呼び方をするなんて、龍彦さんらしくないですね――いつもみたいに衛と呼んでください」


「やかましいわ! 縮地で追い掛け回す奴が何を言うてるねん!」


「ふふふ、相変わらず照れ屋さんですね龍彦さんは」


「今すぐ脳外科連れてってアンタの頭がどないなってるか見てやりたい気分やわ。とにかく俺は今アンタと関わる気分やないんです。せっかくの昼休み、邪魔せんでもらえますか?」


「つれないですね。せっかくこうして出会えたのですから、もっと親睦を深めましょう。例えば、お互いの将来のこととか」


「少なくとも、アンタの思い描く将来と交わることは絶対にありえへんわ」


「……なら、やはり強制的に私の物になってもらうしかありませんね」


 携えられていた腰の木刀が静かに構えられる。

 場所は校舎の裏側。人の気配は皆無で、助けを呼ぼうにも誰かが聞いてくれる期待はあまり持てそうにない。


「……最初から逃げ場がない場所に誘われてたっちゅう訳か」


 真宮衛は他者に邪魔されることを極端に嫌う。

 彼にとって戦いは神聖な儀式なのだ。

 それを穢そうものなら、敵手そっちのけで乱入者の排除に当る。

 遥希と険悪な仲となったのも、戦いの最中に彼が乱入してからだった。

 その性格は女体化しても変わっていない。もっとも、男に飢えている彼女の場合は戦いではなく情事のためにだが。


「不純異性交遊はアカンやろ……真宮先輩?」


 龍彦は拳を構えた。

 相手が美少女でも元を正せば天才剣士……男だ。

 元男に強姦されるなど笑えない。行為に及んだ瞬間、気絶できる自信がある。

 本当に気絶したら、その時はもう彼女にされるがままだ。目が覚めた頃には人生の墓場に入っている。

 それだけは是が非でも避けねばならない。


「目の前でご馳走をちらつかせられ続けて……もういい加減我慢の限界なんですよ。だから大人しく、ここで私に犯されてください龍彦さん!!」


「今のアンタは最悪そのものやで!」


「責任はちゃんと取りますから!!」


「丁重にお断りするわ!」


 左手を柄頭に添えて切先を相手に向ける。

 真宮の剣士が得意とする刺突(つき)の型。

 縮地に合わさって繰り出す刺突は稲妻の如し。

 一瞬でも衛から視界を外せば。その時は敗北が与えられよう。

 目を閉じるな。限界まで目を見開き、龍彦は敵手を見据える。


「さぁ覚悟はいいですか龍彦さん。私はできています!」


「そりゃ退学させられる覚悟かいな。まったく……女になっても、アンタのウザさは尊敬するで!」


《真宮衛さん、至急職員室まで来てください》


 不意に、アナウンスが校内に流れた。

 静寂が流れる。

 しばらくして、龍彦が先に静寂を切った。


「……呼び出されましたで? 真宮先輩」


「……やれやれ、これからいいところだと言うのに」


 衛から闘気が失せた。

 教師からの用事を優先させられるだけの常識は持っていることに驚きだ。

 いや、そうであるのが当然なのだけれども。


「今日はこれで失礼します。ですが次こそは龍彦さん、貴方を私の男にしてみせますので」


「ふん。お断りしておくわ」


 駆け足で去っていく衛を見送る。

 後姿が完全に見えなくなったところで、龍彦は大きな溜息を吐いた。

 学校は安全地帯でなくなった。それがたった今、身を以て龍彦は理解させられる。

 今後について、色々と考える必要がある。

 最悪転校してしまうのもありかも――と、思ったものの、遥希と衛が追い掛けてくる未来が視えた。

 伊達に長い付き合いじゃないからこそ、二人のしつこさは嫌と言うほど味わっている。

 

「はぁ……普通の学校生活をさせてくれっちゅうねん」


 愚痴をこぼしながらその場を後にする。

 道中、一人の女子生徒が視界に映った。

 翡翠色と何とも珍しい髪を腰まで伸ばしている。

 可憐で華奢。遥希達のように何かしら力を身に付けている様子も見受けられない。

 ごく普通の女子生徒。だと言うのに、龍彦は彼女から視線をそらさない。

 何故だろう。龍彦は沈思する。

 あべこべの世界に放り込まれて、たくさんの女性を見てきたつもりだ。

 その中でも彼女は群を抜いている。龍彦としては、是非とも関わりを持ちたい。

 何事も最初が肝心。最初でしくじれば軌道修正は極めて困難となる。


「落ち着けや俺……恋愛ゲームで鍛えてきた力をとうとう披露する時や」


 女子生徒へと近付く。

 そして細い両腕で必死に抱えていたゴミ箱を抱えている。

 どうやらゴミ捨て当番らしい。しかし。


「俺が一個持ったるわ」


 価値観が逆転しても女性に力仕事が不向きなのは変わらない。

 小柄な体格では、二つのゴミ箱を持つのは難しかろう。龍彦は女子生徒からゴミ箱を持った。

 金魚のように口をパクパクとさせて目を丸く女子生徒。

 かわいい。内心でそう思う。


「たたた、龍彦くん!? そ、そんな悪いよ男の子に持ってもらうなんて!」


「気にすんなや。それに一人よりも二人でやった方が早よ済むやろ」


「う……うん!」


 女子生徒の顔にぱっと花が咲く。

 やっぱりかわいい。思わず緩みそうになる頬を気合で堪える。

 女子生徒と肩を並べ、何気ない雑談を交わしながらすごすのを龍彦はずっと憧れていた。

 それがようやく叶った。

 彼女が誰なのか、龍彦は知らない。

 それでも女子生徒であることに変わりないし、何より美少女だ。

 遥希や衛のように必要以上に絡んでくることもない。

 男として今、幸せの一言に尽きよう。


「ほ、本当にありがとう龍彦くん」


「だから気にすんなや。それじゃあ、そろそろ体操服に着替えなアカンし行くわ。楽しかったで」


「じゃ、じゃあまた一緒にお話してくれるかな!?」


 それは寧ろこちからお願いしたい。


「当たり前や。俺でよかったらいつでもお相手するで」


「やった!」


「ほんじゃ、俺は行くわ」


「うん! またね龍彦くん!」


 後ろ髪を引かれる気持ちで女子生徒と別れる。

 本音を言えばもっと彼女とすごしたかった。

 喋っていて楽しかったし、趣味もいくつか共通していて更に盛り上がった。

 あのまま行けば、もっと仲良くなれていたに違いない。異例のスピードでデートも、きっと夢じゃなかったはずだ。

 だが、これ以上の寄り道は授業に遅刻する。

 後日改めて更なる友好関係を築くとして、龍彦は急いで教室へと戻った。




◆ ◇ ◆ ◇ ◆




 楽しかった昼休みも終わり、いよいよ体育の時間となった。

 男子と女子の教室がしっかりと分けられているので更衣室などない。

 教室でわいわいと雑談を交わし、それでいていつ覗かれるのかと窓の方の警戒を怠らない。

 そればかりか、同じ男しかいないと言うのに脱ぐことを誰しもが躊躇(ためら)っている。


「何をそんなに恥ずかしがってるねん」


「だ、だってさ……」


「だってもへったくれもあらへんわ。さっさと着替えな授業に遅刻するで!」


「わぁっ! い、いきなり脱がそうとしないでよ恥ずかしい!」


「な、何で頬染めとんねんお前……」


「ん? って、うわぁああああああっ!」


 突如、男子生徒の一人が悲鳴を上げた。

 脱いだばかりの制服で胸を必死に隠そうとしている。正直に言って気持ち悪い。

 いやいやいや。それよりも見るべき場所はそこじゃないやろう。龍彦は男子生徒の視線を追った。

 窓の向こう。小さな機械がふよふよと浮遊している。

 無人航空機――略してドローン。

 最近では上空の撮影や配送など幅広く取り扱われている。

 反面、重要文化財での無許可浮遊による器物破損や盗撮と犯罪に繋がる事例も多々ある。

 今回は後者。女子生徒の誰かがドローンを使って盗撮をしているようだ。


「最悪! 女子に裸見られたし!」


「本当に女子って最低だなまったく!」


 盗撮されてると知った男子生徒はパニックに陥っていた。

 そんなに嫌ならばさっさとカーテンを閉めればいいものを。呆れながらも龍彦は窓へと向かう。

 瞬間、ドローンの動きに大きな変化が起きた。

 寸分の乱れもなく見事な安定力を見せていたのに、急に大きく動いた。

 あぁ、と龍彦は納得する。

 どうやらカメラの向こうで操縦している女子生徒に何があったらしい。

 その原因を作っているのが自分なのだから、龍彦は面白くて仕方がない。

 窓を開ける。

 フラフラと不安定な飛行を見せるドローン。

 予め手に取ったチョークを構える。


「ほいっと!」


 チョークを投擲する。

 真っ直ぐと空を切り裂いて進むチョークが、カメラのレンズへと直撃した。

 レンズにヒビが入る。更にチョークが直撃した衝撃で完全にコントロールを失った。

 いつ墜落してもおかしくない飛行で女子校舎へと戻っていく。どうやら撮影を断念したようだ。


「ほら、これで落ち着いて着替えられるやろ」


「な、何やってんだよ龍彦!」


「は、裸のまま堂々と出て行くなんて君には羞恥心ってものがないのかい!?」


「変態! 変態! 変態!」


 仕方なく助けてやったというのに非難の声が次々と上がる。

 彼らの言い分が、まぁわからないでもない。

 龍彦の価値観で言えば、彼の先の行動は盗撮されているとわかっていながらあえて自ら裸体を晒した女性も同じ。

 下半身はさすがに羞恥心はあるものの、上半身の裸を見られたぐらいで差して問題ではない――などと言えば、この世界では痴女ならぬ変態のレッテルを貼られてしまうから、龍彦は納得がいかない。


「誰が変態や誰が! 別に上半身見られたぐらいで何も思わへんわ。それよりさっさと着替えな遅刻するで!」


「か、かっこいい……でも言っていることは本当に変態だよ」


「お前次から女子の前に連れて行くわ。彼女欲しい言うてるってな」


「そ、それだけはご勘弁を龍彦様!」


「冗談や冗談。ほら、さっさと行くで」


 運動場へ出る。

 既に集合していた女子生徒達がわいわいと騒いでいる。

 大方、体操着姿の男子生徒について感想を述べ合っているのだろう。

 そして数十名――全員の鼻にティッシュが詰め込まれているのは、あえて問う必要もあるまい。

 お節介を言わせてもらえれば、そろそろ交換した方がいい。白が赤に染まりきろうとしている。


 結局、女子生徒全員が貧血を訴えて見学となり、男子生徒からは安心して授業に取り組めたと感謝された。

 一部例外を除き、女子生徒との絡みを楽しみにしていた龍彦としては、実に退屈な授業だった。

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