09 城砦都市キルウーロ
遠くに見えていた壁が、近づくにつれ大きく見える。
5mほどの高さだろうか。思った以上に発達している感じがする。
「あれが、城砦都市キルウーロだ。」レオが誇らしげに紹介してくれた。
大きな門が見える。その脇には人が通れるくらいの通用門。いわゆるところの針の穴。
『らくだが針の穴を通る方がまだ易しい。』 なんかのベストセラーの本の文言だよね。
あれ?そこまで出るのに思い出せない。あれは間違えて解釈されているケースもあったりなんだり。
右の頬を打たれたらって、普通の人なら利き手ではない左手で打たれない限りありえない。その侮辱に対して左の頬を出せ。非暴力や従順ではなく、反抗なんだって。
ほら、あたしはこう見えても.....あれ?なんだっけ?
毎回出だしはいいのに、その後を知っていたかのような誇りが沸きあがる前に、記憶が読み出せなくてもがいている様な。様なぢゃない、もがいている。
気がついたら門のそばで、御車台に座るレオが右腕を横に出してひじから先を上に曲げる。
衛兵も槍を左手に持ち替えて右手で同じ応答を。
あたしはよくわからないので頭をちょこんと下げるとにこっと笑ってくれた。
まぁ、お辞儀とかはきっと三千世界共通よね?
門をくぐるときに馬車がまた大きく揺れる。門の礎に当たるところがレンガでできていて土の地面だけ削られているからだ。いや、正門なら何とかしようよ。
街中に入り中央の通りを真っ直ぐ進み、整った白漆喰の街並みを眺める。ガラス窓位はあるみたい。その他やっぱりレンガがベースかなぁ。暫くすると、また馬車が急に揺れて、その後、水平に戻ったものの、断続的に振動が伝わってくる。
「なになに?」
「あー、舗装されている区画に入ったからなぁ。」
いやいや、コレだけ振動が酷くなるのは舗装とは言わないでしょうに。でも、大変な作業だよね、紅いブリックロード。
「すまん、もう少しで抜けるから我慢してくれ。」
「はーい。」 あたしに選択権は無い。無いけどとりあえずできる限りの便宜?は図ってくれる。目的地も間近。街自体もある意味目的地だけど、その中の特定の場所という明細な目的地が間近と言うわけだ。
「ダナ ダナ ダーナ...♪*゜」
「またその歌かい。」
引っ張られていくってのは同じだから間違っては無いと思うけどなぁ。目的地が市場なのか伯爵様の所なのかは違うけど。
とりあえず、後少しで目的地と言うことで、じっと我慢の子。欲しがりません帰れるまでは。
今週はドタバタしているので話の筋だけ進めて、落ち着いたところで投稿の先頭から誤植直しやら表現直しやら。ちょっと手は入れたいところだなと思いつつなかなか作業が捗りません。まぁ、文章は書き続けていないと力は落ちていきますし、書き続ければそれなりに熟れてくる。そんなものだと思ってます。あの日のレベルに戻すまで。そうなるとこの作品はリハビリ用という位置付けとも言えなくもないかな。生暖かい目で見守って頂ければ幸いです。