06 野営野語り
昼間の光は徐々に薄れ夜が近づく。
焚き火を避け、空を見上げる。すでに明るい星がきらめいているが、星座などはわからない。
黄昏ていく空から目を背け、焚き火の前へ。
特に寒いというほどの気候ではない。ただ、人の集まるところへ来ただけだ。
レオが口火を切った
「明日の朝、明けたら町へ戻る。そしたら、お嬢ちゃんをお預けして任務完了だ」
「で、あたしはそのあとどうすれば?」
「わからんが、伯爵邸で説明を受けられると思う。詳しい話はなにも降りてきちゃいない。」
「ふーん。」
情報不足すぎて何もわからないので、出てくる言葉を追うことにする。
「ところで伯爵様はどのようなお方なのでしょう?」あたしは、レオに尋ねる。
「ん、まぁ宗教かぶれがなければ、普通にいい領主なんだろうけどな」
ふむふむ。
お犬様みたいな感じなんだろうか。
「宗教は、信仰する対象があり、その教えをとく聖職者ってのがいてだな」
いや、それくらいはわかるけど概念が違うと困るし聞いておかねば。
「その連中が中心となって、神やら精霊やら、人の上位にいるものを奉り、摂理を説きお布施をもらって質素にやってたりするんだが、ここの伯爵様は、とある宗教の上位の聖職者でもあるんだ。大抵の貴族は宗教にはあまりかかわりたくないって顔をするんだが、そこが違う。託宣を受けるからと閉じこもって多少、当地がおろそかになったりすることもあるんだが、周囲は平和だし、不在時の代官を置いているんで普段は別に問題にならない。まぁ、貴族の大半は自分を最優先で領民のことは後回しなんだが、ここでは領民のことをよく考えてくれるってことで、全体に雰囲気はゆるやかなんだが。時々訳のわからんことをいうこともあって近衛には迷惑なこともあるな。」
「レオさんは近衛の人なのですか?」
「まぁ、そのわけのわからんことを処理する係だけどな。」
「それで人を探して来いとか?」
「そうそう。まさに今回はそんな感じだ。」
まぁ、上司にぶんまわされるってのはよくある話だよね。あたしも.....あれ? 思い出せないのが忌々しい。
「大変なんだね~。」
「ま、まぁな。でも気楽に動けるときが多いから苦痛ではないな。」
空を見え上げると満天の星空だった。
「はい、毛布。」ジェナが毛布を渡してくれる。
「ありがとうございます。」
「明日は一日移動だからね。良くやすんでおきな。」